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障害を"溶かしたい"。第1回ソーシャルフットボール国際大会

2016年03月31日(木)

2月27日・28日に、J-Green堺(大阪府堺市)で第1回ソーシャルフットボール国際大会が開催されました。参加したのはイタリア・ペルー・日本、そして地元の大阪選抜チームの4チームです。

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イタリア・RUBEN CARNI選手


002_002_DSCN4106_R.JPGイタリアチームには本国から取材クルーも来ていました。

 

 

「ソーシャルフットボール」はイタリアで行われていた“calciosociale(カルチョソチアーレ)”(英訳socialfootball)に由来しています。精神疾患/精神障害のある選手が行うフットボールで、競技形態は一部ルールを変更したフットサルです。

イタリアのcalciosocialeは、2006年から活動が始まっています。日本よりも広義な意味合いを取っており、女性・子ども・障害・触法(※)歴の有無を問わず参加できるフットボールです。社会的マイノリティーの社会統合を目指しています。
※刑事責任を問えない人が法律にふれること

003_IMG_7300_R.JPG真ん中:ペルー戦での日本代表 竹田智哉選手



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真ん中:ペルー戦での日本代表 松嵜俊太郎選手


まず、初めて見て感じたのは「健常の選手と変わらない?」ということです。
なぜ、健常の選手と一緒にプレイしないのか、本大会の大会長であり、NPO法人日本ソーシャルフットボール協会理事長の岡村武彦さんに聞いてみました。


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初日最終試合。白熱したイタリア対大阪選抜戦。

障害があるとわかると、最初から健常者のチームに入ることが難しいのですが、プレイを見ると障害があることが分からないですよね?そこが私たちの知ってもらいたいところなんです。

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日本代表 竹内晋平選手




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日本代表 中島大輔選手



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私たちはいずれ、「なんで、別々にサッカーをやっているの?」と思ってもらえるように、障害を溶かしていきたいと思っています。


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日本代表 佐原泰明選手



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日本代表 野尻豪選手



ただ、統合失調症の選手など、ケースによっては再発の恐れがあって、治療をしながらサッカーをやっている人もいます。でも、サッカーが症状の改善にもつながっているんです。


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日本代表 森谷倫香選手



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2014年に行われた、ブラインドサッカーの世界選手権では「見えない。そんだけ。」っていうキャッチコピーがありましたが、僕らは「(障害を)見えないようにするだけだ。」ってよく言っています(笑)。そういうのは、みなさんここにきていただいて「そうなのか」と、一人でも二人でもわかっていただいきたいなと思いますね。


JFA(日本サッカー協会)では、2014年5月15日、「JFAグラスルーツ宣言」を行いました。
“Football For All” サッカーを、もっとみんなのものへ。
年齢、性別、障害、人種などに関わりなく、誰もが、いつでも、どこでも、身近でサッカーにアクセスできる環境の整備に取り組むことが明言されました。

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「切断障害」「精神障害」「知的障害」「電動車いす」「脳性まひ」「視覚障害」「聴覚障害」障害者サッカー競技の7団体を統括する組織が設立されました。


精神障害のある人たちは日頃、差別や偏見を受けることもあるのかもしれません。ですが、選手の迫力のプレイを見ているうちに、観客の方々も夢中になってボールを“追いかけている”…そして会場全体に何かが溶けていくような感じがありました。それがよく言われるサッカーの“魅力”なのでしょうか、不思議ですね。

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ペルー対日本戦。ペルーの得点でペルーチーム取材クルーが大喜び。



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大阪選抜対イタリア戦。大阪選抜チームが2-1でイタリアを破り、地元の応援団は大盛り上がりでした。

 
社会とつながりを持つことができる「ソーシャルフットボール」。つながりを持つことで孤立を防ぎ、社会的“障害”を乗り越え、心の健康も育っていくのだと思います。観客の声援もつながりのひとつです。サッカーに興味のある人は世界一・日本チームのプレイの迫力と、障害が溶ける感覚を味わってみてはいかがでしょうか。

 

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第1回大会の覇者は日本代表チーム!集中力が高く、迫力のプレイの数々、本当にすごかったです。優勝おめでとうございます!

 
関西大会は6~7月に予定、他障害の方との交流を深めて行くことも検討しているそうです。詳しくは、「NPO法人日本ソーシャルフットボール協会」のホームページをご覧ください。



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