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世界ダウン症の日:生まれてきたわけを芝居で訴える

2016年03月03日(木)

WebライターのKです。

今月の21日は国連が定める国際デーのひとつである「世界ダウン症の日」。21番目の染色体が3本あるというダウン症の特徴にちなんで3月21日をその日に制定しました。 

毎年、当日および事前に各地でさまざまなイベントが開催されます。今年そのひとつとして3月5日に横浜市で予定されているのがスペシャルイベント「21番目の素敵な出逢い」です。歌あり、演奏あり、芝居あり、トークありの盛りだくさんの内容で、ダウン症の子どもたちとご家族が準備を進めています。そのお芝居の本番直前のリハーサル会場にお邪魔しました。



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出演者の子どもたち。左端の女性は主催者の内海智子さん。
奥の笑顔の男性は演出の中山祐一朗さん。



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スペシャルイベント「21番目の素敵な出逢い」は、
横浜市で行われる「YOKOHAMA21Sun」インクルージョンフェスの一環として開催されます。


主催者であるNPO法人ドリームエナジープロジェクト代表の内海智子さんはダウン症の21歳の息子さんをもつ母親です。「ダウン症に対する偏見は少なくなってきたと思いますけど、まだまだ理解は深まっていませんし、社会との接点も十分ではないと思います」と話します。内海さんは、歌や踊りやお芝居などさまざまな表現活動を通じて、ダウン症や知的障害のある子どもたちの社会参加を促す活動をしてきました。「知的にハンディのある子どもたちに学校外のもっと楽しい学びの場を与えたいのです。好きなことに取り組むと集中力が増すし、自己表現力が出てきて、自信もついてきます。私はそういう子どもたちをたくさん見てきました」と活動の意義を語ります。

フリーライターである内海さんは、今回のステージの脚本を自ら手がけ、ダウン症児が誕生するまでの「命の旅」をおとぎ話風の物語に仕立てました。そして、ラストシーンではダウン症の子どもたちが自ら会場に向かって、「私たちが生まれてきたわけ」をコーラスで訴えます。



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中心人物の旅するふたりを演じる高井萌生さんと梅原果乃子さん。

今回の芝居の演出を手掛けるのは中山祐一朗さん。「阿佐ヶ谷スパイダース」という演劇ユニットに所属し、舞台を中心に映画やテレビでも活躍する俳優です。「障害のある人と舞台を作るのは初めてですが、楽しさはいつもとまったく変わりません。もちろん、大きな声が出しにくいなどのハンディはあると思いますけど、立ち位置を変化させると、ちゃんと場の雰囲気を作り直していくところなど、なかなかのものです」と手ごたえを感じています。

 


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演出の中山祐一朗さん

稽古の最中に急にセリフを変えたりしたために、段取りがぎくしゃくする場面もありましたが、中山さんは手を抜きません。「やればやるほどうまくなっていくのです。ふつう役者って、いきなり“第3場のシーンどこどこやるよ”と言われたら、少し準備したり、台本見直したりするのですけど、彼らはすぐスタートできるのです。頭の中に場面やセリフが完璧に入っている。それは不思議ですね。むしろ、すごいと思います。配慮はしますけど、手加減する必要なんてないと思います」。

 

 

down5_R.JPGNPO法人ドリームエナジープロジェクトを主催する内海夫妻。

NPO法人ドリームエナジープロジェクトの共同代表で、内海智子さんの夫である邦一さんはテレビの放送作家です。中山さんの演出を見て、「ガンガンいくじゃないですか、それがありがたいし、すごく勉強になりました。当初はセリフを覚えるのはかなり難しいだろうし、大きな声も出しにくいだろうから、声優の人にナレーションしてもらって、台詞に合わせた動きをつけようなんてことも考えていました。でも、まったくそんな心配はいらなかったですね」と期待を超える出来栄えに満足しています。

保護者の金田雅之さんも、「稽古を始めた当初は、一列に並べなかったり、声も満足に出ていませんでした。それがみるみるうまくなっていった。みんな、実は家に帰って親子で必死に練習しているのだと思います。この団体はすごくアットホームだから、みんなで頑張ろうという気持ちが強いのです」と笑います。

プロンプターをしたり、きっかけ出しをしたり、テープで立ち位置をバミッたりと、保護者の方たちも大忙しで動き回っていました。「練習に付き合って夜遅くになるのは辛いけれども、子どもたちの上達ぶりが励みになる」とみんなが口を揃えます。すでに予約チケットは完売。子どもたちは緊張しながら楽しみな本番を待つばかりです。


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金田雅之・美由樹さんご夫婦と娘の樹里さん(12歳)。
樹里さんの元気のもとは納豆ご飯で、毎日食べているそうです。

コメント

私の孫は、ダウンちゃんです。長男の第2子です。嫁が、26歳で、産みました。
それはもう、最初は大変でした。息子夫婦はなかなか受け入れられなかったようでした。高齢出産ではないので、全く予想しなかったのです。
心臓の手術も受けました。あぶない状態にも何度も打ち勝って来ました。
私にとっては、天使の孫です。5歳になりました。まだ、ばぁばと呼んでもらえませんが、長生きして、この子の成長を見守りたいと思ってます。いろいろと、メディアで、取り上げていただいてるので、昔に比べると世間の理解もあり、助かります。この生まれてくる命には、罪はなく、生きる意味があって、生まれて来たのです。この命、大事にしたいです。

投稿:けいばば 2016年03月21日(月曜日) 21時25分