本文へジャンプ

難病の診断が適切にできるネットワークを構築したい 前編

2015年11月16日(月)

WebライターのKです。

11月7日に東京浅草橋で開催された「難病・慢性疾患全国フォーラム2015」にうかがいました。難病患者の団体や家族会が病気の違いを超えて、一堂に会し、交流および発信するイベントで、当事者とその家族をはじめ、支援者、国会議員、厚生労働省の担当者、医療関係者など400人が集まりました。

そこでお会いした二人の難病患者をご紹介します。前編ではパネルディスカッションに登場された福島かおりさん、そして後編では会場の参加者だった香取久之さん。お二人に共通するのは、診断の過程で大変苦労された経験から、難病情報を社会が共有する重要性を訴えられていることです。

福島かおりさんの病気は、キャッスルマン病です。1956年にベンジャミン・キャッスルマン博士らによって報告された難病です。全身のリンパ節からインターロイキン6というたんぱく質が過剰に分泌され、全身が炎症を起こし、貧血や発熱、倦怠感などの症状を示し、間質性肺炎、腎機能障害、ガンなどの合併症を引き起こすこともあります。現在の患者数は1500人。指定難病には加えられていないので、医療費の助成はありません。

20151117_001_R.JPG

福島かおりさん
 

キャッスルマン病が認知されてから60年近くが経っていますが、専門医が少ないために、診断が確定するのに長期の時間がかかります。福島さんの診断が確定したのは、病気が発症してから15年後です。「発症当時は原因不明ということで、紹介状に次ぐ紹介状で、病院をたらい回しにされ、やっと診断されたときには、“悪性リンパ腫”という別の病名がつけられていました」と話します。

正しい診断が下される前に症状は進み、仕事をするのも困難になり、炎症を抑制するステロイド薬も効果がなくなりました。2年前には薬の副作用で脳内出血し、高速道路の運転中に大事故を起こしました。右半身マヒで、言葉も記憶も失い、考えることも一切できなくなりました。病気が発症してから現在にいたるまでの25年間の年月、なぜこれほどの苦労をしなければならなかったのか。リハビリによって、日常生活への復帰を果たした福島さんが結論したのは、「医師でさえも正しい判断が難しい病気には、その困難さに対応できるだけの体制づくりが必要だ」ということでした。

今年の4月、大阪大学医学部を中心としたキャッスルマン病の研究班が結成され、8月には「キャッスルマン病患者会」が設立されました。福島さんは、その患者会の代表を務めています。ここで厚生労働省指定の研究がなされていけば、指定難病に認定される道が開けます。指定難病に加えられると医療費の助成が受けられるとともに、医療関係者の認知度が上がり、早期治療につながり、誤診の回避に大きな期待が持てます。キャッスルマン病は外見からは病気であることがわかりづらいだけに、認知の広がりによって、家族や友人、同僚などの理解が得やすくなることも大きな喜びです。


さらに、福島さんがめざすのは、医師の間の情報交換の仕組みとしての「難病医療支援ネットワーク」の構築です。医療機関の間で情報の共有がなされないために適切な治療を受けることができない現状を変えていきたいと考えています。専門医のいる大都市の大学病院だけではなく、地域の総合病院でも治療が受けられるように、地域間の格差をなくしていきたいと考えています。


20151117_002_R.JPG

福島さんが構築をめざす「難病医療支援ネットワーク」


福島さんは、シンポジウムでの発表の最後に、「年間60万円以上の治療費を生きている限り、ずっと払い続けなければなりません。全身の苦痛に耐えながら必死に職場に通って、治療費のために働いているような状況が続いています。患者の中には、治療費のためにカードキャッシングを繰り返している人や、治療費が払えず、病状を悪化させている人がいることをぜひ知ってほしいと思います」と仲間の窮状を訴えました。(後編に続きます

 


▼関連ブログ
 海外の患者と手をつなぎ、希少難病に立ち向かう 前編
 海外の患者と手をつなぎ、希少難病に立ち向かう 後篇
 日本の「難病対策」どうなっている?~前編・医療費助成~
 どうなっている?難病対策~後編・福祉政策~
 

▼関連番組
 2014年  2月10日 シリーズ 難病と向き合う 第1回 どう支える 難病医療
 2014年  2月11日 シリーズ 難病と向き合う 第2回 難病でも 働きたい
 2014年11月27日 WEB連動企画“チエノバ” ―今日は「難病」を中心に―
 

コメント

はじめまして

最近、難病の指定枠が広がったというニュースを新聞で見ましたが、まだまだ未知の病気があるのでしょうね。
医師さえも知らない未知なる病気にかかった時の、その困難さに対応できるだけの社会的な体制づくりが、本当に問われていると思いました。
何とか医療関係の方をはじめに、政治をなさる方、さらには私たち一般の人達の理解の元に、一刻も早い治療法の確立と、社会的な支援システムの構築が急務だと痛感しています。
大変でしょうけれど、私も微力ながら応援させてくださいね。m(__)m

投稿:木の葉ひとひら 2015年11月23日(月曜日) 23時14分

病院の体制や医師の勉強不足を嘆きたくなりました。
考えてみたら何故病院には
難病科がないのでしょうか
具合が悪くなった時には医者を頼って病院に行くしかないのです。
国は難病医療にもう少し力を入れるべきです。

そして、医療費負担の問題も他人事ではありません。
身体的苦痛と更に精神的苦痛にプラスして金銭的苦痛では
気持ちをどう保てば良いのでしょうか


強いお気持ちでの治療、引き続き頑張って下さい。

行政が声を拾い上げる日が早く訪れますように

投稿:なな7 2015年11月21日(土曜日) 08時10分

今までのご苦労を思うと胸が痛みます。ご自身もご家族も大変な苦労をしてきたのだと思いますが、お母さんを始め、ご家族のみなさんのんの支えで今日までこれたのだと思います。これからも闘いが続くと思いますが、きっと道は拓けると信じ、前を向いて歩いてください。
いつも明るいター坊に元気をもらっている、一人として、応援させていただきます。

投稿:ヒデ坊 2015年11月20日(金曜日) 16時27分

病名がわかるまで、わかってからの苦労、お察しいたします。

前向きに色々、頑張ってらっしゃる姿に元気をいただきました。

お母様が明るくて楽しい方なので、お母様にも元気いただいてます。

あまり上手く伝えれなくてすみません。。。

投稿:ふう 2015年11月19日(木曜日) 21時20分

(*′σ∀`)p[☆。・:+*こんばんゎ*:+:・゚☆]
ター坊のブログから来ました
大変ですね
それしか言葉にできません。ごめんなさい
私の友人も膠原病という難病です
これは特例医療費があるようです
でも、看護師として頑張っています
YAMAIとお友達になったと明るく言います
本当は辛いだろうけどね
免疫力がないため、いろんな病気も併発してます
でも、明るい彼女
頭が下がる思いです
自分のことばかりをダラダラかいてごめんなさいね
これからも1500人のトップとして頑張ってくださいね

投稿:kazuyo 2015年11月19日(木曜日) 18時47分

はじめまして。
ター坊ちゃんのブログからお邪魔しました。
ター坊ちゃんとはブロ友さんとしてお付き合いさせていただいてます。
娘さんがご病気なのは存じ上げていましたが、大変なご苦労なさってたんですね。
まだまだ知らない病気はたくさんあります。
きっと、福島さんのような活動をいていなければ理解してもらえない病気もたくさんあるんだと思います。
一日でも早い難病認定と難病の患者さんの為の医師のネットワークの実現を切に願います。
これからも活動頑張ってくださいね。
どうぞお身体お大事にしてください。

投稿:ちぃ 2015年11月19日(木曜日) 11時56分

辛く長い道のり よく頑張りましたね 
私も難病の家族がいます 経済的な負担 や精神的な負担 大きいです
特にご本人は さぞ 辛かろうと お察しします
一日でも早く 良いお薬が出来ると良いですね 
お国もきちんと向き合ってほしいです 

投稿:ババばーちゃん 2015年11月19日(木曜日) 10時06分

お疲れ様!ここまで良く頑張ったね。
自分自身のため、キャッスルマン病患者のため、難病医療費に
苦しんでいる全ての患者のために仕事と体調を調整しながらの
活動は大変です。草の根の活動だけど、いつか大輪の花が咲くことを
信じて頑張ってください。貴女は1人ではない!           大勢の人達が応援してくれていますよ。

投稿:ター坊 2015年11月17日(火曜日) 07時03分