Road to Rio vol.122 ブラジル・豆だより!「すべての人が楽しめるために ~『アクセシビリティ』を考える~」
2016年09月18日(日)
- 投稿者:web担当
- カテゴリ:Road to Rio 2016
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これは競技場に作られた車いすのお客さん用の席。各会場に設けられています。
すべての人が会場に来て、観戦を楽しみ、そして帰るまで、支障なく過ごすことができる・・・ざっくり言いますと、それがパラリンピック会場における「アクセシビリティ」です。
「すべての人が」というのが重要です。
盲導犬と一緒の視覚障害のある人のための席も。一目瞭然ですね。(使っているのは見ませんでしたが・・・)
こちらはテニスのセンターコートに設置されたスロープ。かなり上までスロープで行くことができますが、歩いてみたら疲れました・・・。
これは各会場前にある選手送迎用のバス停のスロープ。大会カラーでおしゃれです。
リオにくるまではちょっと心配していましたが、アクセシビリティへの配慮は、これらはほんの一部で、ハード面、ソフト面で様々な準備がされています。
こうしたアクセシビリティの準備に関わった方にお会いしました。
リオ大会の組織委員会でアクセシビリティコーディネーターを務めるアウグスト・フェルナンデスさん(Augusto Fernandes)です。フェルナンデスさんは元々エンジニアだそう。なんとなく、そんな雰囲気がありますね!
そしてフェルナンデスさん自身が車いすユーザーです。
Q:リオパラリンピックでのアクセシビリティはどこの管轄になりますか?
フェルナンデスさん(以下「F」):オリンピックと共通ですが、パーク内は大会組織委員会、パークの外はブラジル政府やリオ市などが担当しました。
Q:まずはどんな準備をしたのですか?
F:大会組織委員会とその関係者に「車輪の上」というアクションに参加してもらいました。半日、もしくは1日、車いすに乗って過ごしてもらい、その難しさやどんな工夫が必要か?などを体験してもらうものです。去年と今年には、目隠しをして過ごしてもらうという体験も数百人という規模でやってもらいました。
そのほか、ブラジルの代表選手を呼んで一緒に仕事をしてもらう機会も作りました。
そうした体験で、障害のある人が身近になり、共感が生まれます。そして、障害のある人への間違った対応を直せる立場の人が増えていきました。
Q:大会組織委員会には障害のある人はどれくらいいますか?
F:およそ120人が働いています。視覚障害、聴覚障害、身体障害、ダウン症の人もいます。
Q:アクセシビリティを充実させるために、難しかったことはなんですか?
F:費用がかかるということ、そして「優先順位」が低いことです。
スロープなどを作るのですからその分、費用はかかります。予算が削減されていくと「コスト」として見られ始めます。紙の上ではアクセシビリティは計画に入るのですが、建設や準備が遅れるとプライオリティが下がっていくのです。
会場によっては早い段階からできていた施設でもアクセシビリティに必須なものを作ってもらえてない場合もありました。最後の最後には作ってもらえましたけどね。
これだけはそもそも必要なものであり、「最小限」なのだ、というのを証明するのが大変でした。
Q:2020東京に向けて、メディアへの要望はありますか?
F:できるだけたくさん放送して、どんな人がいるのか見せてほしいです。ブラジルでは一般の放送では開会式も生中継されなかったのですが・・・
フェルナンデスさんとはその後も競技会場で何度もお会いしました。車いすに「駆動パーツ」をつけて、会場を見て回っていました。
リオの大会関係者とお話をすると、「計画はあったけど実現されませんでした」というフレーズがよく出てきます。予算が足りない中、アクセシビリティを確保することは容易ではなかったかも知れないですね。
2020年に向けて、考えていくことがたくさんありそうです。
ゴールボール会場のスロープ。この会場、仮設だそうです。
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