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Road to Rio vol.88 まるで"真夏"の実戦~関東パラ陸上競技選手権大会~

2016年07月12日(火)

7月2日と3日、東京・町田市の陸上競技場で「第21回 関東パラ陸上競技選手権大会」が開催。関東大会ですが国際パラリンピック委員会(IPC)公認で、日本のトップ選手が集まりました。両日とも梅雨の合間とは思えないほどの好天で、特に2日目の昼過ぎ、フィールドの気温は36度を記録しまるで真夏のようでした。

こちらのブログでは、印象的だった三つの出来事を中心にお伝えします。

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左より、短距離の辻沙絵選手、100mと走り幅跳びの高桑早生選手、長距離の土田和歌子選手。

日本人史上初の夏・冬パラリンピック金メダリストの土田選手は、初出場となる辻・高桑両選手に「パラリンピックには魔物がいるけど、いろんな選手の刺激を受けて頑張ってほしい!」とにこやかにエールを送っていました。


日本で久々の2m!走り高跳び・鈴木徹選手。


走り高跳び、T44クラスに内定していた(大会当時)、鈴木徹選手。この大会では2mを記録し、リオデジャネイロパラリンピックに向け好調なスタートを切りました。

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ルーティンのように、“右手でイメージ”を取ってから…


003_IMG_1037_R.JPG004_IMG_1038_R.JPG鈴木選手の特徴である「健足での踏切」を経て…


005_IMG_1039_R.JPG“2m”を超えたジャンプ!…よく見ると2m以上飛んでいますね!


006_IMG_1044_R.JPG会心のガッツポーズ!観客からもどよめきが上がりました。


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鈴木徹選手は、跳躍後のインタビューでこのようにおっしゃっていました。

 

2mを飛んでいたのが海外の大会が多かったので、国内では…障害者の大会では、2006年のジャパンパラ大会以来でした。2mを跳べて、皆さんにも喜んでもらい、すごく良かったですね。

2m3はちょっと意識してしまって。2本目を終えて腰がちょっと痛くなったので、3本目は、皆さんの力を借りながら気持ちで跳ぼうと思ったのですが、気持ちでは2m3は飛べませんでした(笑)。

合宿も、課題を持って調整をしてきたのですごく順調に仕上がっていると思います。本当は2m5という高さを“飛んで”リオに行くことが一番の目標ですけど、2m5が“飛べちゃった”という感覚はすごく危険なので、偶然ではなくちゃんと計画通りに飛べるといいと思っています。いい形で練習を積んでいれば、2m5以上も可能性があると思うのでこれからですね。

今回2mを飛べて、今後はドイツオープン、北海道の深川 での合宿、最後は千葉で関東選手権という健常者の大きい大会があるので、1m90でスタートし、おそらく2m10とか15とかが優勝ラインになるので、そこでちゃんと勝負できるように調整して。あとはケガなくやるだけです。

 



一般の方や学生のボランティアさんも参加した“体験会”。

 100_DSCN6609_R.JPG2日間の競技終了後、目隠しをしての短距離レースや、競技用車いす(レーサー)体験が行われました。こちらはパラリレーレースのひとこまです。


101_IMG_1994_R.JPGこの体験会で特徴的だったのは二つ。まず一つは、普段は報道している側のメディアの方も体験したこと。この体験がどのように番組や記事へ影響がするのでしょうか?笑


102_DSCN6779_R.JPG二つ目は、ボランティアとして参加していた日本体育大学の学生さんが参加したこと。レーサーでの方向転換も“視覚障害”での走りも、バランス良くこなしていましたし、ある学生さんは「車いすバスケの体験授業を5週間やったんですよ」などと言っていたのが驚きでした。一般の選手と、障害のある選手の活発な意見交換からよりお互いに良い記録が生まれていくと面白いかもしれないですね。



103_DSCN6830_R.JPGコラムを執筆していただいている越智さんもレーサーに乗っていました。レーサーは選手一人ひとりの体形に合わせて作られているので、規格が少し合わなかったよう??



リオパラリンピック本番の中継に向けて


NHKでは今回初めて、総合テレビで大会期間中毎日、競技の生中継を行い、日本選手の活躍ぶりと、パラリンピックの魅力を存分にお伝えします。

この関東大会ではリオを前に、演出、技術スタッフやアナウンサーなどを含めた研修を行いました。
(日本パラ陸上競技連盟と関東パラ陸上競技協会など関係の皆さまの協力で実施することができました!)

200_DSCN4400_R.JPG大会開始前の打ち合わせ。関係者を含めて40名ほど参加していました。


201_DSCN5642_R.JPGゴール付近のカメラマン。レーンの狙い方などを別のカメラマンに教えていました。


202_DSCN5210_R.JPG210_IMG_0268_R.JPG映像を見ながら、アナウンサーは実況中継の研修を行っていました。


203_IMG_0903_R.JPGこちらはアナウンサーのインタビューの研修。協力して下さったのはT11(視覚障害)の高田千明選手とガイドの大森盛一さんです。
「お疲れさまでした!」とアナウンサーの方が声をかけたところ、高田選手が「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げてお辞儀をされたので、マイクを“食べて”しまいそうになるハプニングが!


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こちらはT20(知的障害)の山本萌恵子選手。知的障害の選手は、スムーズに話ができる方から、自分の気持ちをなかなか言葉にすることが難しい方まで様々です。選手が競技の感想を伝えにくい場合にはアナウンサーはどんな言葉を引き出すか。たとえまとまった言葉にならなくても、競技後の臨場感や気持ちをうまく伝えるよう、質問や映像に工夫を凝らして伝えます。

 

 

リオパラリンピックまであと、2カ月を切りました。

選手はもちろん、“かかわる人々”も含めて、最高の大会を迎えるべく、最後の調整が行われています。

206_DSCN5547_R.JPGT47短距離“日体大コンビ”の、三須穂乃香選手(左)と、辻沙絵選手(右)。辻選手は「汗かいてるのに肩組んでごめんね(笑)」と言っていました。


 


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