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Road to Rio vol.85 「課題を糧に、リオへ ~パラトライアスロン~」

2016年05月23日(月)

こんにちは。キャスターの山田賢治です。

今年9月のリオパラリンピックで初めての実施となる「パラトライアスロン」。日本選手も、その大舞台を目指して戦いに挑んでいます。5月14日、リオ出場の選考にもつながる重要な国際大会、ITU世界パラトライアスロン横浜大会を取材しました。

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会場は横浜・山下公園。スタートは、早朝6時55分!柔らかい朝の陽ざしが差し込む中、スイムからレースが始まった。

 

パラトライアスロンの距離は、一般のトライアスロンの半分。スイム0.75キロ、バイク20キロ、ラン5キロで競われます。男女ともに5つのカテゴリー(PT1~PT5)に分かれています。

 

PT1(車いすの選手。バイクは手で漕ぐ「ハンドサイクル」。ランは、競技用の車いす(レーサー))で注目したのは、木村潤平選手。アテネ、北京、ロンドンと競泳でパラリンピックに出場しています。残念ながら、現時点で競泳ではリオ行きの可能性がなくなっているだけに、トライアスロンで出場権を何とか獲得したいと、レース前は意気込み十分でした。海面が少しうねっていた湾内のことを聞くと、木村選手はスイムが得意ということもあり、「海は荒れていた方が、相手との差をつけることができるので、自分にとっては好条件なんです」と話していました。

 

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真ん中、(1)23と見えるのが木村選手。

 

木村選手は去年のこの大会、好タイムでゴールしながらも、失格になってしまい悔しい思いをしました。リオへのキップをグッと引き寄せるためにも、地元日本で上位に入りたいところ!

 

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木村選手が言っていた通り、スイムは後続に1分の差をつけ、2位という好位置でバイクに入りました。バイクでは後続とのタイム差が縮みましたが、何とか踏ん張って2位をキープし、最後のランへ。しかし、課題のランで順位を2つ下げて4位でゴールしました。ゴール後の第一声は、「クソッ!」。悔しさで、ゴールゾーンからなかなか移動できませんでした。

その後、話を聞いたところ、「バイクまでは予定通りの展開だった。強化してきたランだが、レーサーのテクニックがまだまだ。ここを改善しないと…」と、やや動揺した口調でした。

ランの修正をして、めざせリオ!!

 

 

 

もう1人の注目は、PT2の秦由加子(はた・ゆかこ)選手。

去年のこの大会で優勝。今大会は、実力者アメリカのアリサ・シーリー選手との一騎打ちでした。

 

 

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木村選手同様、スイムが得意な秦選手(202)。かつては競泳の選手として活躍しましたが、2013年にトライアスロンに転向しました。

 

スイムで2分半の差をつけて陸に上がってきた秦選手。しかし、そのあとバイクに移る「トランジション」で差を縮められ、タイムの貯金は2分となります。

バイクは「去年よりは成長した。感覚もよく、自信になった」と、手ごたえ十分の走り。シーリー選手とほとんど同じタイムでバイクを終え、最後のランへ。しかしトランジションで20秒縮められ、貯金は1分30秒余りと、シーリー選手が迫ってきました。

 

 

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秦選手の最大の課題は、最後のラン。「まだまだフォームがしっくりきていない。どんなフォームがいいかを探っているところ」と話す秦選手。シーリー選手にランで抜かれ、最後は3分差をつけられゴール。ランだけで4分40秒の差をつけられてしまいました。


しかし、ゴール後の秦選手は悔しさを見せながらも、「日本での開催で、声援をもらって心強かったです。」と笑顔も見せていました。「去年も同じコースで走ったので自分の力がよくわかりました」と、これまでの課題の克服と新たに見つかった課題とで、秦選手にとって内容のあるレースだったように思えます。

 

 

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PT2(立位)男子クラス優勝のステファン・ロースラー選手(ドイツ)

 

 

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PT3(立位)男子クラス優勝のデニス・クングチェフ選手(ロシア)

 

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PT5(視覚障害)男子クラス優勝の中澤隆選手とガイドの原田雄太郎さん。
※男子のこのクラスはリオでは実施されません。



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PT4(立位)女子クラス優勝のケイト・ドーティ選手(オーストラリア)

 

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PT1(座位)女子クラスは一人しか参加していませんでしたが、その意志の強さも“鉄人”ですね。マリー・キャサリン・キャラハン選手(アメリカ)


 

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大きな声援が“鉄人レース”のパワーの源?PT5神田選手(手前)



201_IMG_0380_1500x999.jpg202_IMG_1016_1500x997.jpgこちらの2枚はスイムから上陸する時にサポートするスイム・イグジット・ハンドラーの活躍の様子。PT1やPT2の選手が安全に、迅速に次のバイクに移れるよう、審判員資格を持ち、志願した人たちが訓練を受けてこの役割を果たします。連携プレーが見事です!


様々な見どころがあるパラトライアスロン。

初めての開催となるリオで、日本の選手が躍動する姿を見たい!応援しましょう!

 

 

◆関連情報

Road to Rio(競技編)パラトライアスロン 2015年5月放送

コメント

パラトライアスロンPT5の中澤隆選手と中学の同級生で、今も付き合いがあります。
残念ながらリオには行けませんでしたが日々練習を積んでいる彼を応援したいです。
PT5が東京パラリンピックの種目になるように願っています!
ハートネットでも取り上げもらえると嬉しいです。
盲導犬との暮らし、見えない中での練習、皆さんに知ってもらいたいことがいっぱいです。 
私はいつも前向きな中澤選手にいつも勇気をもらっています。

投稿:あっちゃん 2016年07月17日(日曜日) 15時34分