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Road to Rio vol.71「練習は嘘をつかない ~卓球 知的障害~」

2016年03月08日(火)

こんにちは、キャスターの山田賢治です。

リオパラリンピックまで200日を切り、少しずつ開幕が見えてきました。
きょう紹介するのは、すでに日本の5人の選手がリオパラ出場資格を得た卓球です。

◆リオデジャネイロパラリンピック卓球競技 出場資格獲得選手:

吉田信一選手(クラス3)、別所キミヱ選手(クラス5)、岩渕幸洋選手(クラス9)
竹守彪選手(クラス11)、伊藤槙紀選手(クラス11)

※Road to Rio vol.51「一球入魂! ~パラ卓球選手権大会~」(別所選手と岩渕選手をリポート)


パラリンピックの卓球は11のクラスに分けられています。「クラス1~5」が車いす、「クラス6~10」が立って行う種目で、数字の小さい方が、障害の程度としては比較的重いクラスになります。
そして「クラス11」は知的障害の選手のクラス。先日、その知的障害の選手たちが集まる国内大会を取材しました。

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会場は横浜市の平沼記念体育館。140人が参加し、ハイレベルな戦いが繰り広げられました。

 

卓球は、知的障害の選手がパラリンピックに出場できる競技のうちの一つです(他に陸上競技、競泳)。国際大会に出場するには、その大会会場で事前に“テスト”を受けなければなりません。

一つは、IQテスト。パソコンで行うテストで、選手の知能指数を見ます。
もうひとつは、技術テスト。大会前に現地で国際クラス分け委員により約1時間行われます。選手にプレーしてもらい、例えば同じフォームでサービスをいくつものバリエーションで打つことができたり、左を見ながら右に打つなどのフェイントができたりすると、知的能力が高いと判断され、エントリーできないことがあります。しかし、こうしたクラス分けについて競技団体からは「基準や評価がわかりにくい」という声も上がっています。

 

20160308_002_R.JPG卓球のスタイルとして、変化をつけたり相手のちょっとした変化に対応したりすることが苦手な選手も見られました。選手の特徴として、何度も何度も練習を繰り返し、長い時間をかけて上達している人が多いそうです。


リオパラリンピックのクラス11の出場選手は、男子12人、女子8人とまさに少数精鋭です。世界ランキングで決まっただけに、名を連ねるだけでも大変なことなのです!



伊藤 槙紀 (いとう・まき)選手 

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バックハンドで応戦する伊藤選手(左)

安定感のあるバックハンドのラリーから、チャンスを逃さずフォアで決める戦法。初めてつかんだパラリンピックの切符に、「パラリンピック出場は無理だと思ってきたけど、うれしい」と、素直に喜びを表現していました。

10代半ばだった2000年のシドニーパラリンピック。国際大会で結果を残し、出場権を狙っていましたが、残念ながら獲得できませんでした。次はぜひ!と意気込んでいた矢先、大きな壁が立ちはだかります。シドニーパラリンピック車いすバスケットボール男子の知的障害クラスで金メダルを獲ったスペインチームのメンバーのほとんどが、知的障害と偽り出場していたことがわかり、その後のパラリンピックの全競技で知的障害の選手が出場できなくなったのです。しかし、伊藤選手はその後も、競技を続け、前回ロンドン大会から復活した卓球競技出場への道を切り開いたのです。コツコツと力を積み上げてきた練習はうそをつかない!ぜひ、大舞台に向け体調も調整し、満足できるプレーを見せてほしいと思います。



竹守 彪 (たけもり・たけし)選手

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スピードある攻撃が持ち味の竹守選手(右)


通っていた中学校の特別支援学級の先生が卓球部の顧問だった縁で、競技を始めた竹守選手。現在は、地元の千葉のクラブチームで週5回練習しています。コーチは、「卓球をやる中で、人間としても成長を遂げてきた」と言います。60人近いメンバーが一斉に走る際、本人の申し出で先頭に立つことも。
実力もメキメキと上げ、得意のフォアで、おととしのアジアパラシングルスで優勝。「リオでは体調管理に気をつけて、最低でもメダルです!」と力強く宣言していました。期待しましょう!

ハートネットTVでは3月16日、車いす卓球の選手を追った番組も放送します。双子でパラリンピックを目指し切磋琢磨していた矢先、去年、弟が急死。失意の中、東京パラリンピックに向け、前を向き始めた兄の思いを描きます。どうぞご覧ください。



 ▼関連番組
 『ハートネットTV』 「いつまでも 弟と」
 本放送:2016年3月16日(水曜)夜8時
 再放送:
2016年3月23日(水曜)午後1時5分

▼関連ブログ
 Road to Rio vol.51「一球入魂!~パラ卓球選手権大会~」

コメント

先日はご多忙の中をFIDジャパンチャンピオンリーグ卓球大会を観戦取材していただきありがとうございました。また知的障害卓球についてさわやかで的確な紹介コメントを掲載していただきうれしく存じます。リオパラリンピック代表が内定した伊藤槇紀選手、竹守彪選手も大いに喜んでいるものと推察します。これからも知的障害卓球をよろしくお願いいたします。
白川

投稿:Noby 2016年03月09日(水曜日) 21時02分

取材お疲れ様です。日毎にリオパラリンピックが近づき期待が高まって来ました。選手の皆さんの、熱い闘いが伝わって応援しています。今後の放送も楽しみにしています‼︎ガンバレニッポン‼️

投稿:清満 2016年03月08日(火曜日) 18時12分