【障害者陸上 世界選手権】競技最終日の様子は?(10/31) #Doha2015
2015年11月01日(日)
- 投稿者:web担当
- カテゴリ:Road to Rio 2016
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10月31日(土)大会10日目:最終日
10日間に渡るドーハ大会も最終日を迎えました。灼熱のトラックも幻想的な夕闇も今日が見おさめです。
スタンドと高層ビル群が重なるこの風景も…
本日最初の日本選手出場種目は、女子やり投げF46(切断・機能障害/立位)のクラスでした。砲丸投げの世界記録保持者である加藤 由希子選手と世界大会初挑戦の吉村 尚己選手が挑みます。
選手紹介の時会場の大型スクリーンに映し出された両選手はカメラに向かって楽しそうに手を振ったり笑顔を見せたりしていました。
やり投げのフィールドの周りには多くの日本人選手たちも応援に駆けつけています。
競技中の加藤選手(左)、吉村選手(右)。初めは自分でも驚くほど全く緊張しなかったという吉村選手でしたが、投げ始めてから緊張感がやってきたとか。
フォームや投げ方についてコーチから激しく指示が飛んでいました。コーチも身振り手振りで指示を伝えます。
コーチからの指示でフォームを確認する吉村選手(コーチと同じかたち)。
コーチの方を振り返って、加藤選手もフォームの確認。
加藤選手の投てきです。
夜空にやりが吸い込まれそう…
記録は21m91で6位でした。
そして、吉村選手の投てき
吉村選手、23m09で5位でした!
イギリスチームもコーチが熱心に選手にアドバイスをしていました。結局彼女、Hollie ARNOLD選手が大会記録の40.53mで金メダルを獲得しました。
試合を終えたお二人の選手。お疲れ様でした。
※吉村選手、加藤選手のインタビュー動画はこちらで
やり投げの会場の写真を撮っていたら、すぐ隣で国旗掲揚が始まりました。真ん中はまた中国、金メダル取りすぎです!
最終日の目玉はリレー。こちらは女子400mT11-13(視覚障害)のクラスで、ガイドも一緒に走ります。1対1でバトンを渡すだけでもミスが起こりうるのに、2対2でバトンを渡すのはなかなか難しそう、危うく転倒しそうになシーンもありました。
ちなみに車いすのリレーだとバトンではなく背中をタッチする形で行われます。位置どりがなかなか難しそうです。
いよいよ夕闇も深まり…
そして日本チームが参加する男子400mリレー・T42-47(切断・機能障害/立位)。
多川 知希選手が第一走。佐藤 圭太選手が芦田 創選手にバトンをつなぎ、最後は走り幅跳び金メダリストの山本 篤選手がアンカーを務めます。
スタート地点にやってきた多川選手。このクラスのリレーも、バトンを使いません。手に障害のある選手も走るからです。
スタート準備をする多川選手。スタートラインに両手を合わせます。
スタート!
最終走の山本選手がロシアチームを追い上げようと全力で走りましたが、0.2秒差の4位。メダルには一歩及ばず…
「前回の選手権もロシアに食われ、今回の選手権も見えていたのに捉えることができず、悔しいです」という山本選手。自分たちの記録は0.7秒縮めたにも関わらず、前回も負けたライバルロシアのさらなる強化振りに太刀打ちできなかった日本チーム、悔しさが残りました。
優勝は、ドイツ。第1走者は走り幅跳びのレーム選手でした。
※このレースの動画はこちらで
メダルの期待が高かっただけに、悔しさも大きいかも。
写真を見ると、全員「1818」の番号をつけているの、分かりますか?
実はこのレース、4人の選手はドーハに来ることの出来なかった鈴木徹選手の番号をつけ、鈴木選手のために絶対にメダルを持って帰るという思いで挑んだものだったそうです。
個人種目と違ってリレーは「日本を代表するという重みを感じるものだ」と山本選手が話してくださいましたが、それゆえにメダルを取らなければいけないという思いも強かったのかもしれません。
※インタビュー動画はこちらで
佐藤 友祈選手と上与那原 寛和選手にメダルの期待がかかる400m・T52(頸髄損傷・脊髄損傷・切断・機能障害/車いす)。スクリーンに映し出されているのは予選タイムトップの佐藤選手。
手前から2人目、6レーンが上与那原選手、佐藤選手は4レーンですがカメラで見えません。
スタート!
スタートダッシュの上与那原選手。
2人の快走に日本チームも盛り上がります。
結果は、見事、佐藤選手が1位、そして上与那原選手が2位!
タイムは上与那原選手が1分03秒58、佐藤選手が1分00秒91でした。
レース後、佐藤選手は「世界トップレベルの選手の中でどれだけ自分が通用するのかを試す絶好の機会、そこで走れたことに感謝したい」と謙虚な言葉で語られていました。(表彰式はこの後に)
※佐藤選手、上与那原選手のインタビューと競技動画はこちら
日本選手の最後のレースは女子400m・T34(脳性まひ)。
7レーン、北浦春香選手です。
力走! 結果は1分22秒13で7位。
23歳の北浦選手。今後の成長にも期待です!
※北浦選手のインタビュー、この競技の動画はこちらに
今大会にはたくさんのブラジルメディアが来ていました。やはりリオへ向けての盛り上げにかかっているのかもしれません。そんなブラジルのテレビ局も仕事を終えてスタッフみんなで記念撮影。
ボランティアの方は、家族を連れて来ていました。
男子400m・T52の表彰式。真ん中に金メダルの佐藤選手、左に銀メダルの上与那原選手
いい笑顔です!この笑顔をリオでも!
上与那原選手のちょっと控えめな笑顔はやはり金メダルを狙っていたことへの悔しい気持ちもあるのでしょうか。今回は若さとパワーで佐藤選手に負けたと話しておられましたが、リオでは佐藤選手を抑えて、何度もおっしゃっていた「一つしかない色」を狙っていただきたいと思います。
試合がすべて終了した会場のフォトプラットフォーム。越智さんが何か物思いにふけっていました。(今日の越智さん)
メディアセンターに戻ると、この10日間、仕事を共にした各国メディアが帰る前の挨拶をしていました。ありがとうと言い合って抱き合ったり手を握り合ったりしている姿があちこちで見られました。
こちらは毎日、夜遅くまでメディアセンターのケータリングを担当してくれた女の子たち。疲れた時に話し相手になってくれる彼女たちはまさに“癒し”でした。10日間一度も競技を見られなかったという2人に同情したのですが、一緒に写真撮影をして10日間のお礼を言ったらこんな笑顔になってくれました。
まもなく閉会式ですが。スタジアムの屋根にも怪しげな人影が…。理由はあとで分かりました
参加チームの国旗を持ったボランティアの人たちがスタジアムに入場してきます。
日本の国旗も。シルクのような白地が少し感傷的な心をくすぐります。
ずらりと並んだ旗の列は、穏やかに暖かい風にそよぐたびにスタジアムの青白い光を反射して圧巻の光景を作り出していました。それを前に私はこの10日間の様々な出来事を思い出していました。
‘Beyond Incredible ’今大会のキーワードでしたが、私にとってのBeyond Incredibleは2つあります。
一つは、ベストとは程遠いコンディションで金メダルを獲得した山本篤選手の走り幅跳び。そしてもう一つはこの大会でボランティアやスタッフの方が自分たちの本来すべき以上の仕事をすることで世界中の人と繋がることができていた姿。
喜びも、悔しさもすべてを包み込み花火がドーハの空に打ち上がりました。先ほどの怪しげな屋根の男性は、この花火のためだったんですね!※閉会式の動画はこちらに
暗闇の中でなんとか探し当てた日本チーム。
「ちゃんと写ってんの?」とからかう山本選手。そうなんです、ピントがあってたのはこの一枚だけ。佐藤選手ごめんなさい、目つぶってましたね・・・。
競技場のフィールドにも光の演出。
熱きドーハでの戦いのすべてが終了。
そして最後に、この人についていけば選手のいい顔を横からおすそ分けしてもらえる、ということで越智さんについて選手団のところへ。選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。
安易な言葉ですが、正直感動しました。そして皆さんの生き方から毎日力をもらっていた10日間でした。本当にどうもありがとうございました!
リオでの皆さんの活躍も是非取材したい思いに駆られています。私も皆さんと同様に代表に選抜されるように密かに願いつつ・・・。またどこかで。
(文・写真 鈴木祐子)
◆全日本人選手の出場スケジュール、試合結果は ⇒日本人選手スケジュール
◆今大会の見どころは ⇒日本人選手、大会の展望は?
◆11月28日(土)午後7時からNHK-BS1で、世界選手権に挑んだアスリートたちの戦いを描くドキュメンタリーを100分間にわたって放送する予定です。
◆関連サイト
Road to Rio(競技編)パラリンピックを理解して楽しもう!~陸上競技~
Road to Rio vol.33 「ドーハ、そしてリオへ ~日本パラ陸上競技選手権大会~」
コメント
夜はIPCのライブストリーミング、昼は鈴木さんのブログで楽しませてもらいました。
毎日、多くの写真と選手のインタビュー、お疲れ様でした。有難う御座いました。
投稿:鉄 2015年11月02日(月曜日) 22時01分
鈴木さん!
毎日、沢山の写真とコラムを、ありがとうございました。熱気が伝わってきました。
知的障害の幅跳び選手を応援していましたが、毎日、確認し、食い入るように読んでしまいました!
私も感動しました!
ありがとうございます!
お疲れさまでした。
投稿:大阪のおかん 2015年11月01日(日曜日) 22時29分