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【障害者陸上 世界選手権】競技8日目の様子は?(10/29) #Doha2015

2015年10月30日(金)


大会は佳境の8日目です。今日も朝から日本人選手の出場する予選が行われ、予選を通過した選手たちは午後の決勝に挑みました。 

01_T53_800_HitoshiMatsunaga.jpg800m・T53(頸髄損傷・脊髄損傷・切断・機能障害/車いす)、午前中の予選に出場した松永 仁志選手は1分47秒97のタイムで決勝に進出!結果はこちらをクリック

 

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午前中には地元の学校の子供達が応援に来ていました。
 

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昨日ポルトガル選手たちに教えてもらったファンゾーンへ足を伸ばしてみました。会場の裏に行ってみると、巨大な「Beyond Incredible」の文字が。


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中には様々なアトラクションがあります。こちらはトランポリン。選手の皆さんもトランポリンをやっていますが、流石アスリートたちだけあって、かなりアクロバティックな技を披露し始めます。それを見ながらチームメートが盛り上がって大騒ぎしていました。


05_IMG_5319_R.JPGこんな伝統的なお部屋でくつろげたり、選手の素晴らしいパフォーマンスの写真を集めた展示もあります。


06_IMG_5347_R.jpg会場に入るとなんだか今日は女性の活躍が目立っています。やり投げも、幅跳びも、女子選手の競技をやっていました。
 

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女子100m・T13(視覚障害)予選の佐藤 智美選手(右から2番目)。13秒47のタイムで決勝進出です!午後の決勝の結果は、こちらのリンクに

 

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佐藤選手(左)、レースの後は安田享平ヘッドコーチ(右)と。
 

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スタンドの上から応援していた日本パラ陸上競技連盟の吉松時義会長にもご挨拶。
 

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100m・T42(切断・機能障害/立位)準決勝、大西 瞳選手のレース。大西選手、決勝進出です!!おめでとう、瞳ちゃん!バリバラでの特訓が功を奏した?!
 

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レースを終えた後は、記録の良かった選手を讃えて大西選手も抱き合っていました。

 

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100mの競技が続くゴール前には、カメラマンが大集合。テレビカメラの邪魔にならないようにするためか、ローアングルの方がいい写真が撮れるからか、みんな地面に伏せているんです。真ん中あたりの白いビブでジーンズ方が、カメラマンの越智 貴雄さん。「今日は長ズボンなんですね」と言うと、「今日は洗濯デー」というお返事が返ってきました。明日はどっちの長さでしょうか…?


14_IMG_5370_R.jpgこちらは同じT42のクラスの前川楓選手のレース。(左端には村上 清加選手もちらっと)今大会が初めての世界選手権だそうです。レースの動画はこちらのリンクから

 

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16_IMG_5377_R.JPGこちらは前川 楓選手。17秒91で準決勝進出!
 

 

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村上 清加選手。18秒86で決勝進出ならずでした。


 

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今日も午後5時の空は幻想的に染まっていきます。

 

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スタンドの上からファンゾーンを見下ろすと、Beyond Incredibleの文字がライトアップされていました。

 

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いつも遠くから見ている国旗掲揚台の近くまで行ってみました。また日本の国旗がここに揚がるのを早く見たいです。

ちなみに10月29日現在のメダルテーブルのトップは中国。76個のメダルを取っています。2位はロシアで58個。日本は現在6個で31位です。中国とロシアの国歌が流れるたびに思わず口ずさんでしまうほど聞きました。

 

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スタンドの一番上から選手の準備エリアが少し見えます。レース直前の選手の様子です。

 

22_IMG_5395_R.JPG23_IMG_5398_R.JPGなにやら子供たちのにぎやかな応援の声が聞こえてきます。子供たちの視線の向こうにいるのは華やかなT44(切断・機能障害/立位)の女子選手たち。100mのスタートです。


 

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25_14_T44.jpg26_IMG_5415_R.JPG
12秒80のタイムで金メダルに輝いたvan Rhijn選手。表情豊かで笑顔の可愛い彼女ですが、フランスのLe Fur選手を破り、さらに世界記録を打ち立てて、200mに続く2つ目の金メダルに輝きました。レースの動画はこちらから
 

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そして14歳のHolt選手もまたやってくれました!午前中の予選でも大会記録を出していたのですが、決勝では13秒63のタイム!今大会2つ目の世界記録を打ち立て金メダルです。彼女も若手の度胸で言ったらピカイチでしょう。レースの動画はこちらから
 

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スタンドではご両親も大喜び。お母様の手編みの国旗が高く掲げられていました!

 

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喜び合う選手たち
 

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世界記録を叫ぶ会場のアナウンスに 画面の方を振り向くHolt選手。ポニーテールがふわり。

 

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大人のレポーターに囲まれると華奢であどけない14歳なんですけどね。

 

32_IMG_5450_R.JPG100m・T47(切断・機能障害/立位)辻 沙絵選手の準決勝。13秒17で決勝進出!素敵なバースデープレゼント、ご自分で手に入れましたね



今日は若手の女子選手のインタビューを幾つかさせていただいたのですが、驚いたのは前川選手も、辻選手も世界選手権に初出場でも「楽しめた!」と目を輝かせて話してくれたことです。もちろん緊張もしたようですが、それ以上にこの大舞台を楽しめるというその度胸、日本選手団、2020年に向けかなり期待できそうですね!
 

辻選手、インタビューの前「前髪変じゃないですか?切ったばかりなんです」とおっしゃったのでちょっと直してあげましたが、切りたてという前髪、とても可愛かったです・笑。

33_IMG_5455_R.JPGレースが終わっていつも安田ヘッドコーチがいらっしゃるところに二人のボランティアの方が立って辻選手を迎えていました。楽しそうに話し始めたので、「どうして辻選手と仲良しなんですか?」と聞いてみると、日本チームのお世話をしてくれる方なのだとか。私たちもメディアのお世話をしてくれるボランティアの人たちと仲間のように仕事をしていますが、同じように選手たちの周りでも仲間の輪が広がっているのですね。それにしてもここまで応援に駆けつけたこの2人は間違いなく辻選手のファンなのだと思いますが!(だってこの笑顔ですからね!)

 

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34_IMG_5468_R.JPG三須 穂乃香選手も同じクラスの準決勝に。13秒25のタイムで決勝進出ならずでした。


 

35_IMG_5490_R.jpgT44(切断・機能障害/立位)100mのRichard Brown選手。なんと彼も世界記録を叩き出しました!なんと10秒61!!驚きの模様はこちらのダイジェスト動画から
 

36_IMG_5509_R.JPG会場の大画面に「ワールドレコード」の文字が表示されると、満面の笑顔に。リオに向けても「この大会でできたのと同じことが来年またできるといい」と語っていました。
 

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ブラウン選手と同じクラスのオリベイラ選手。なんとも感情の読み取れない表情。大勢のブラジルメディアに囲まれてひとしきりインタビューが終わった後、ブラジルのテレビ局の一人がこっそり話してくれました。「ブラジルにとってはよくないことだけど、リチャード・ブラウンはやっぱりすごいよ…。」敵陣のメディアも唸らされてしまったブラウン選手でした。
 

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続く200m・T11(視覚障害)のレースでもアメリカ対ブラジルの戦いは続きました。アメリカのDavid Brown選手が行くのかと思われましたが、この戦いを制したのはブラジル勢、左から二組目のFelipe Gomes選手が22秒83の記録でした。こちらの様子もダイジェスト動画に

 

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40_IMG_5521_R.JPGFelipe選手より喜んでいるのはガイドの方かも?

 

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こちらは22秒91の自己ベストで 3位になったDaniel Silva選手とガイド。彼らは抱き合ったまましばらく動きませんでした。先日も「絆」について少し書きましたが、自分の“実感”としては彼らの結束の強さを理解することはできません。でもこういうシーンを目撃すると、ほんの少しだけ想像できますよね、誰かと“ひとつ”になって100mという距離を全速力で走るということがどういうことなのか。

 

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山路 竣哉選手はお一人でゴールライン近くまで観戦に来ていました。
 

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こちらは砲丸投げの会場。こんなにたくさんのスタッフの方がいます。

 

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大画面に映し出されたのはF53(頸髄損傷・脊髄損傷・切断・機能障害/車いす)・砲丸投げの大井 利江選手、なんと67歳です!6m31の記録で6位でした。
 

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円盤投げから砲丸投げに転向して初めての国際大会とのこと。(リオパラリンピックでは円盤投げが実施されないため)砲丸投げならではの難しさ、そして砲丸投げの世界のレベルというのも感じたようですが、リオに向けて更なるパワーアップを期待しています。

 

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47_IMG_5557_R.JPG48_IMG_5558_R.JPG走り幅跳・T37(脳性まひ/立位)の決勝に出場した出戸端 望選手は、5m58の自己ベストで6位!※レースの様子はこちらから

 

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走り高飛び大会記録のTownsend-Roberts選手。最終的には2.03mの大会記録で金メダルです!



午前中に決勝に進出が決まった、T53(頸髄損傷・脊髄損傷・切断・機能障害/車いす)・800mのレースです。左側・ヘルメット2番が廣道 純選手、右側手前のヘルメット6番が、松永仁志選手です。
 

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左:松永選手、1分46秒01で8位入賞。右:廣道選手、1分45秒87で7位入賞でした、おめでとうございます!

 

そして本日最後の決勝レースは5000mT13(視覚障害)。堀越 信司選手、熊谷 豊選手のお2人が出場しました。
 

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熊谷選手が徐々に先頭集団に離されてしまった一方で、堀越選手は周回を重ねても前の選手をぴったりとマークしている様子でした。最後にはトップの選手に離されたものの15分42秒47のタイムで、結果は5位。
熊谷選手は16分20秒71でした。



 

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全力を使い果たしたのか堀越選手はゴールするとすぐに倒れこんでしまいました。他の選手がしばらくして立ち上がって行く中でも立ち上がりません。メディカルチームが駆けつけ、看護にあたります。(ちなみにそのままメディカルチームに運ばれてしまったのでインタビューができませんでした)

しばらく倒れていた熊谷選手がなんとか力を取り戻して、全身汗びっしょりのままインタビューのエリアに現れ、「精神的な弱さが出てしまった」とご自身のレースを冷静に振り返ってくださいました。


私たちメディアのインタビューエリアは、レースやジャンプを終えた選手たちがコーチや家族と対面するよりも前の場所にあります。それ故に臨場感ある選手の言葉をお届けできる訳ですが、時に残酷な場所だとも思います。息を切らし汗が滴り落ちる選手を目の前にして私は「何を聞こう?」と考えます。

全力を使い果たし疲れ、言葉にならない選手や、笑顔で前向きな言葉を言える選手…。本当に様々な選手たち。皆さんの言葉から力をもらって、あと数日私も頑張りたいと思っています。
 

 

 

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