Road to Rio vol.42　「12人で勝ち取れ！　〜車いすバスケ女子リオ最終予選〜」

2015年10月01日（木）

投稿者：アナウンサー
カテゴリ：Road to Rio 2016
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こんにちは、キャスターの山田賢治です。

2000年シドニーでは銅メダル、2008年北京では４位と、パラリンピックの大舞台で結果を残してきた、車いすバスケットボール女子日本代表。しかし、前回ロンドンパラリンピックでは、惜しくも地区予選で敗退。７大会続いたパラリンピック出場も途絶えました。

あれから４年。悔しさをバネにチームが成長し、ついに大一番を迎えます。

リオパラリンピック出場をかけたアジアオセアニアゾーンの最終予選が、10月10日から千葉ポートアリーナで始まります。２大会ぶりのパラリンピック出場に向けて最後の仕上げに臨んだ、最終合宿を取材しました。

中心で選手に指示を出す、橘香織ヘッドコーチ。朝から夕方まで、密度の濃いメニューで最後の仕上げ。近隣の男子チームの力を借り、オーストラリアや中国を想定した練習試合も行っていました。

女子のアジアオセアニアゾーンからリオに行けるのは、１チームだけ。オーストラリア、中国、日本の３か国で争います。まず予選リーグで各国２試合ずつ対戦。計４試合戦い、その結果２位と３位で準決勝、そこで勝ったチームが１位と決勝を戦い、頂点を競います。
日本以外の２か国はいずれも強豪で、ロンドンパラリンピックに出場し、オーストラリアは銀メダル、中国は５位という結果でした。

橘香織ヘッドコーチ「出場すれば世界からは“まさか日本が”と思うでしょう。でも勝って、世界をあっと言わせたい」。

この言葉には、確実に力をつけてきた自信が込められています。ロンドン前までは、固定されたメンバーがコートに出ていて、連戦となる大会後半に疲れが出てパフォーマンスが落ちたことがありました。そこを修正し、12人の選手全員で様々なバリエーションを生み出し、４０分間戦いきるのが、今の日本代表です。最終合宿では、オーストラリアと中国の対策をそれぞれ念入りに行い、選手全員で課題などを共有していました。

　Road to Rio vol.20 「狙うは頂点のみ！～車椅子バスケ女子日本代表～」【2015年02月25日】
　　　【動画】⇒　Road to Rio（競技編）車いすバスケ女子（2015大阪カップ日本代表）

女子日本代表の中心選手は、何といっても網本麻里選手です。高さもスピードもあり、インサイドでもアウトサイドでもシュートが打てる選手で、１試合51得点という世界記録保持者。北京パラリンピックでは得点王を獲得した、日本が誇るエース網本選手にインタビューしました。

大阪出身の26歳。受け答えのところどころに関西弁が入り、ユーモアあふれる選手です。

Ｑ．網本さんは相手チームから徹底マークされると思いますが、どんなプレーが大切になると思いますか？

Ａ．それを踏まえて自分がディフェンスを引きつけて、空いている選手にパスを入れるというのは常に意識しています。空いている選手の方がシュートの確率が高いっていうのはあるので。

Ｑ．２大会ぶりのパラリンピック出場に向けて、今どんな思いですか？

Ａ．絶対行きたいという気持ちはもちろんですが、（最終予選を）自国で開催するということも自分たちにとっては力になるので、絶対に切符は獲りたいと思っています。

Ｑ．今のチームの強みはどこですか？

Ａ．選手とスタッフ、そしてサポートしてくれているみなさんの力が一体となって、バスケ以外でも、バスケ中でも楽しいというのが一番の魅力だと思います。冗談言い合ってみんなで笑えるときは笑って、真剣な話をするときは真剣に、っていうのができていて、その空間にいて楽しいし、みんなそういう風に感じていると思います。

Ｑ．今回初めて車いすバスケットを見る人もいるけど、どんなプレーを見てほしいですか？

Ａ．楽しくやっているところです！また、日本の「走るバスケ」は見てほしいですね。自分も含めてコートにいる人、ベンチにいる人全員で、やっぱり良いプレーが出たらメッチャみんなで盛り上がっているところも随所に見られると思うので、そういうところを見て欲しいと思います。

シュートを打つ網本選手。日本代表は、５人の“セット”をいくつか組んで戦う。以前は常に網本選手が出場していたが、網本選手が入らないパターンもできた。「交代のときに一回気持ちも体もリフレッシュできるから、コートに戻るときはすごい集中力が高まるんです。ずっと出ていたときと変わりました」

オーストラリアや中国は、日本対策として“網本選手を抑えれば勝てる”と考えているでしょう。そこで、頼もしい“ポイントゲッター”が帰ってきました。出産、育児のために代表から離れていた、藤井郁美選手です。今年５月から日本代表に復帰しました。自分の役割と意気込みを聞きました。

「網本選手が相手を引きつけてくれたところを、うまくスペースを使って、サイドシュートなどをきちんと決めきっていけば、今度は網本選手が空いてくるので、試合の最初の段階で自分がどれだけ決めていけるかが勝負だと思っています。海外相手は正直久しぶりで、個人的には不安がありますけども、チャレンジャーの気持ちで戦っていきたいと思います」

母親となって、時間の貴重さを感じているという藤井選手。「何かトラブルがあって練習ができなくなることもあるので、やれるときに120％の力で練習するようになりました。子ども（９か月）を見てくれている人のためにも、練習からしっかりやらないという意識が出てきました」

合宿でも精力的に動き、チームに活力を与えていた藤井選手。この大会のキープレーヤーとなるでしょう。さらに、精神的にも戦術的にも日本の大きな柱、49歳の上村知佳選手や、東京パラリンピックでも主力で活躍が期待される、20歳の北間優衣選手、22歳の萩野真世選手のプレーがどれだけチームにいいリズムをもたらすことができるか、注目です。

橘ヘッドコーチに大会への意気込みを聞きました。
「網本選手たった一人の力で勝ちきれるほど世界は甘くないと思うんですね。藤井選手も戻ってきて、ベテランも力を振り絞って、若手もグンと伸びてきている中で、どれだけチームとして一つになれるか。化学反応というか、何とも言えないチームの一体感が出てきたときにすごく良い試合をお見せできるんじゃないかなと思います」

大会は、10月10日から。アジアオセアニアゾーンからは男子３チーム、女子１チームがリオパラリンピックに出場します。

車いすバスケットボールは、パラリンピックでも花形と言われる競技。
何としても、リオ行きを決めてほしい！