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Road to Rio vol.39 「いざ、世界選手権へ ~ジャパンパラ陸上競技大会~」

2015年09月25日(金)

ハートネットTVキャスターの山田賢治です。

今月19日と20日、大阪でジャパンパラ陸上競技大会が行われました(主催:日本障がい者スポーツ協会 日本パラリンピック委員会)。
パラ陸上の世界選手権(10月22日~31日 カタール・ドーハ)に出場する選手たちも含めた国内のトップアスリートが集まり、5つのアジア新記録、そして21の日本新記録が誕生しました。


20150925_yamaken001.JPG視覚障害のレースのスタート地点。オレンジのビブスを着ている「ガイドランナー」は、選手と息を合わせて安全に走れるように伴走し、ラップやレース状況などを伝える役割を担います。


実は、大会の前日、世界選手権に派遣される選手の二次発表(最終)がありました。出場できるかどうか不安だった選手にとっては、喜びと同時に、この大会への大きなモチベーションとなったようです。世界選手権で2位以内に入ればリオパラリンピック出場の内定が出ます。ピークを持っていく来月を前に、自分の状態を確認するためにレースに挑む選手が多くいました。


20150925_yamaken002.JPGT54、車いすのクラスの樋口政幸選手(一番右)。5000mでは一度も先頭を許さずゴール。貫禄を見せました。
 


20150925_yamaken003.JPG2013年、フランス・リヨンでの世界選手権では、5000mで銀メダル、1500mで銅メダルだった樋口選手。「今回の世界選手権は、パラリンピックの前年で海外勢もコンディションを整えてくるので、レベルが高いだろう。今回のように引っ張りきっていく展開とはならないと思う。ポジション取りが最優先。残り3周を切ってどこにいるかが勝負」。ドーハでは中長距離の800m、1500m、5000mでエントリー予定。

 

20150925_yamaken004.JPG右側、黄色のユニフォームの山本篤選手(T42)。前回の世界選手権に続き、走り幅跳びで連覇を狙います。写真は200mのレース。ドーハでは上位入賞が目標。他にも、100mに出場予定で決勝進出を狙います。「幅跳びでは、先月から本格的に使い始めた新しい義足で、6m53cmの世界記録を超えたい」。この大会での記録は、6m34cm。ぜひ、世界選手権でリオ出場権をつかみとってほしい!そして、パラリンピックでは初めての金メダルをリオで獲ってほしい!


今回のジャパンパラで、さらに私が注目したのは、世界選手権に出場する視覚障害の2人の選手です。


まずは、視覚障害(T12)のクラスで5000mに出場した、熊谷豊(くまがい・ゆたか)選手(28)。去年のアジアパラリンピック、この種目で銅メダルを獲得した選手です。
 

20150925_yamaken005.JPG前を走るのは、アジア記録保持者の堀越信司選手。後方、水色のユニフォームの熊谷選手は2位でゴール。前半攻めましたが、「3000~4000mで踏ん張れなかった」と話すように、中盤から失速。16分21秒というタイムに反省しきりでしたが、「体幹をもっと鍛えて、中盤スピードを落とさず、先頭についていくレース展開を目指したい」と世界選手権に向けて意気込みを話していました。


熊谷選手は、「無虹彩症(むこうさいしょう)」という、生まれたときからの疾患で、両眼が光をまぶしく感じるそうです。長距離は中学から始め、大学まで続けましたが卒業後、陸上から離れます。しかし、「もう一度走りたい」と復帰。トレーニングは基本1人で、自分でメニューを組んで練習しているそうです。参考にしているのは、インターネットの動画サイト。自分にあった走り方を探し、参考にしているそうです。
 

20150925_yamaken006.JPG


視覚に障害があると、客観的に自分の動きを把握するのが難しいのではないでしょうか。コーチからのアドバイスが必要だと思いますが、そのような場が少ない選手もいるのが現状です。



やり投げの遠山清人(とおやま・きよと)選手(T12)もその一人。東京パラリンピックでも活躍が期待できる、長崎県出身の22歳です。「一人で練習していて投げ方が自己流なので、動画サイトや大会で出会う他の選手の投げ方を見て、参考にしています」と言います。この日は46m06cmという記録で、「ライバルの調子がよかったので、力んでしまった。メンタルも課題です」と悔しい表情を見せていました。
 

20150925_yamaken007.JPG20150925_yamaken008.JPG20150925_yamaken009.JPG遠山選手の投てき。野球経験の影響で、「どうしても野球の投げ方になってしまう」。世界のトップは180cmという大柄な選手が多い中で、166cmという小柄ながらもダイナミックな投てき。


遠山選手は、高校生のときにレーベル病という難病を発症し、両眼の視力が急に低下。2.0という視力が0.03まで落ち、視界の真ん中が見えなくなったそうです(顔が見えないくらいの大きさ)。しかし、運動能力の良さを活かして陸上を始めます。様々な種目の中で、中学時代の野球部で培った肩の強さを活かし、3年前からやり投げに挑戦。今、日本記録にもなる自己記録を次々と塗り替えています。ベストは49m32cm。目標は、パラリンピックでメダルが狙える60mです。


遠山選手の特徴の一つは、助走距離の長さ。100m11秒6という俊足で、その勢いを活かした投げ方を模索しています。しかし、視界の中心が見えず、その方向に走って投げるので、「力んでしまうクセがあるんです」と課題を挙げていました。現在学生で、アルバイトで遠征費を稼ぎながら挑む世界選手権。一つでも上の順位を狙ってほしいです。

 


20150925_yamaken010.JPG左から、辻沙絵選手(T47)と高桑早生選手(T44)の力走


20150925_yamaken011.JPG4×100mリレー。多川知希選手から芦田創選手へ。切断選手のリレーでは、バトンを保持できない両腕切断の選手も出場するため、タッチで次ぎの走者へつなぎます。


Road to Rio vol.35 「自分を見つめ、世界の大舞台へ ~陸上 強化合宿~」
 


日の丸を身につけドーハの大舞台に挑むのは、59人の精鋭たち。
この「Road to Rio」のホームページで、連日結果をお伝えしていきます。

一人でも多くの、「リオパラ内定」を!
ガンバレ、ニッポン!!


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Road to Rio vol.36 「俺はまだ速くなれる」~車いす陸上 永尾嘉章・52歳~(NHK総合「おはよう日本」で特集)
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Road to Rio vol.33 「ドーハ、そしてリオへ ~日本パラ陸上競技選手権大会~」
Road to Rio vol.12 「世界記録を通過点に ~陸上 加藤由希子選手~」

コメント

山田さん、お疲れ様でした。この大会はテレビのニュースで少しだけ拝見致しました。日本選手権なのでテレビ中継されると心待ちにしていたのに、無くて残念な思いでした。来年は鳥取市での開催予定ですね、競技場で応援できることを今から楽しみに致しています。選手の皆様も体調に気をつけられて頑張って下さい。

投稿:清満 2015年09月27日(日曜日) 22時12分