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Road to Rio vol.33 「ドーハ、そしてリオへ ~日本パラ陸上競技選手権大会~」

2015年08月06日(木)

ハートネットTVキャスターの山田賢治です。

先月、7/18と19と、大阪でパラ陸上の日本選手権が開かれました。暑さにも負けず(私、だいぶ日焼けをしました)、アジア新記録が8、そして日本新記録が39と、続々と好記録が!この大会は、世界選手権(10月/カタール ドーハ)参加のための標準記録突破のラストチャンスということもあり、選手たちは高いモチベーションでレースに臨んでいました。


20150807_yamaken001.JPG100mのレース後、電光表示板を見つめる選手たち。100分の1秒の世界で数字にこだわります。左から2番目は、「バリバラ」司会の大西瞳選手。日本記録保持者です(前回世界選手権100m4位)。


20150807_yamaken002.JPG道下美里選手(視覚障害・T12)。今年5月のIPCマラソン世界選手権(ロンドン)で銅メダルを獲得し、日本盲人マラソン協会がリオ出場に推薦する内定を出しました。去年の世界ランキング1位。今回は、課題のスピード強化のために、トラック競技に出場。「パラリンピック出場は10年越しの夢なんです」。マラソンを始めたのは、30歳を過ぎてから。福岡を拠点に月間400kmの走り込みで、リオの表彰台の一番上を狙います。



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先頭を走る道下選手の身長は144センチ。ピッチ走法で、1分間に230~240回蹴り出します。ロープを握り合って走るガイドの堀内さんは177センチ。堀内さんは道下さんにピッチに合わせ、さらに左肩を少し下げての走法。道下選手『レース前に目標タイムを一緒に考え、レース中は声でラップタイムを知らせてくれます。「頭休めて」という声かけが一番うれしいですね。リラックスしながら走りたいです。長距離のマラソンでは、雑談もよくします』

 


 

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堀越信司選手(視覚障害・T12)も、道下選手同様、マラソン世界選手権で3位。リオ推薦の内定を得ました。この大会には、スピード強化のために出場。プラン通りのレース展開で、1500mでアジア新記録を出しました。真面目で、自分に厳しい選手。「まだまだ今のままでは世界に通用しない」。自分を叱咤激励するように、話してくれました。

 

 

 

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パラ陸上界の“レジェンド”、52歳の永尾嘉章選手(車いす短距離・T54)。今大会200mで日本新記録、100mでは大会新記録を出し、まだまだ“成長中”。『今のタイムには納得していない。競技をやっている限りは「まだまだ」だと思うだろう。今の自分に満足したくない自分がいる』

 

 

 

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永尾選手「走る度に怖いですよ。若手に負けるのではないかという思いがある。ひょっとしたら今回…、という意識もあります。いつまでも勝負の世界に身を置きたい。ボロボロになるまでやりたい」。競技歴30年の永尾選手。自分を追い込み、どこまで記録が伸びるのか、注目です。

 

 

 

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車いす(T54)の中長距離のエース、樋口政幸選手。最近レーサーを替え、その感触を確かめるレースでもありました。ぶれずに直進する性能を高めるため、長さを180cmから185cmに伸ばしました。一方で、長くするデメリットとしては、「集団の時のポジション取りが難しくなるかも。この大会のあと、7月下旬のイギリスでの国際大会に出場し、世界の強豪の中で3位。世界選手権、そしてリオでの活躍が楽しみです!

 

 

 

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まさに“彗星のごとく”現れたスプリンター、三須 穂乃香選手(新潟県立村上高校3年)。片前腕切断などのクラス(T47)100mで13秒11の日本新記録で優勝しました。東京五輪招致のプレゼンテーションで、佐藤真海さんを見て初めて障害者陸上を知り、「出てみようと思った」のがきっかけだそうです。三須さんは小学生の頃から陸上に取り組んでいて、これまで健常者の大会に出ていました。障害者という自覚もなかったそうです。写真で持っているのは、走るときに右腕につける義手。左腕との重さを合わせるわけでなく、感覚のバランスを取ることが目的で、安定感が増したそうです。学校の陸上部の先生と二人三脚でタイム向上のために、知恵を出し合っているとのこと。物怖じせずハキハキと明るく答える姿に好感を持ちました。同じ障害のクラスのライバル、辻沙絵選手とともに、リオ・東京に向けどんどん記録を伸ばしてほしい!


10月の世界選手権で2位以内に入ると、IPC(国際パラリンピック委員会)から、リオパラリンピックの出場枠を得ることができます。
一つでも多く勝ち取るために。
あと2か月、勝負です!

  

◆関連ブログ
Road to Rio vol.12 「世界記録を通過点に ~陸上 加藤由希子選手~」
Road to Rio vol.2 "夏冬通してのメダルを目指して"~車いすマラソン・久保恒造選手~

 

リオ・ピョンチャン・そして東京へ。
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