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【出演者インタビュー】為末大さん「パラリンピアンはすごい速さで進化している!」

2014年11月13日(木)

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10月29日放送(11月5日再放送)
WEB連動企画“チエノバ”
特集!! アジアパラ大会―パラリンピックを盛り上げよう―
ご出演の為末大さんにメッセージをいただきました。

 

《為末大さんプロフィール》

元・陸上日本代表

 

 

 

――アジアパラ大会は現地へ見に行かれたのですか。

残念ながら会場には行けなかったんです。でも行きたかったですね。特に短距離の選手は一緒にトレーニングをしている選手もいるんですよ。

 

――どちらの選手ですか。

佐藤圭太選手です。彼はすごくいいですよ。勘がいいし、技術的な要素もまだまだ改善しようがある。

パラリンピアンは健常者のトレーニング方法を持ってきて、なんとなくそれに当てはめていることが多いんですね。もちろんベーシックなメソッドとしてそれも必要だとは思うんですけど、それプラス、パラリンピアン用のトレーニングもあるはずなんです。それがこれからどんどん開発されていくと思うんですけど、理想としては日本が最初に開発すること。そうすれば世界からも抜きん出ることができるんじゃないかと思いますね。

 

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――パラリンピアン用のトレーニングを考えるにはどのようなポイントがあるのでしょうか。

例えばオリンピアンよりも腕を激しく振れるはずなんですよね。あとは義足を上半身でコントロールしなければいけない一方で、腹筋と背筋でがっちりと収めることも必要になるので、多分もっとお腹と背中を丸太みたいに鍛えて、より腕も太くなるということが起きていくんじゃないかと思います。

今大会で走りながら上半身が前後にぶれている選手が何人かいましたけど、そのように鍛えれば軸ができて、ぶれもおさまると思うんです。

 

――為末さんはブレード(義足)の研究もされているそうですが、どのようなところに気をつけて開発されているのですか。

選手が走りやすいブレードを作ることが重要だと思うので、選手の要望を一番に生かすようにしています。いまはエクストリームというブレードが結構いい出来なので、あれを超えるものを作るとなると、ポイントになるのはその形状とカーボンの作り方だと思うんです。それらをもうちょっとうまく使いこなしていけるといいなと。

そして、2つの観点があって、選手に合わせたブレードを作るということもあれば、すごく性能が高いブレードを選手に使いこなしてほしいというのもあるわけですね。この関係性が大切で、相互に高め合うことを2020年まで続けていく必要があると思います。

 

――オリンピアンは100メートルの記録を1秒縮めるために約100年かかっているなかで、パラリンピアンはどんどん記録を塗りかえています。そういう意味でも夢がありますよね。

きっと2020年は今とは全然違うレベルだと思いますよ。われわれもそういうペースで進化しているんだということをしっかり認識しないと世界から置いていかれてしまいますし、それはきっと今回の大会で多くの人が感じたことだと思いますね。

 

――パラリンピアンとオリンピアンが交流しながら学び合うことがこれからより必要になるのでしょうか。

そうですね。共有できる財産はまだまだいっぱいあると思います。おそらくパラリンピックの世界にオリンピックの情報はそんなに入ってきていないような気がするんですよね。それらをうまく合わせていくことも大事かなと思います。

 

――例えばどのように合わせていけるのでしょうか。

僕はどちらかと言うとコーチングの領域で影響があると思っていて、コーチは言葉のレベルをまだまだ上げられると思うんですよ。たとえばオリンピアンは目で見ることができるので、コーチは言葉で説明するよりも体現したり映像を見せたりすることが多いのですが、視覚障害の方に動きを説明しようとしても映像などは見せられないので、言葉のレベルを上げないと伝えられません。

僕自身も視覚障害の方にコーチングやアドバイスしたときにそういう“気づき”があったのですが、視覚障害の方に伝わるような言葉のレベルでオリンピアンを指導していけばより高い可能性も見てくると思うんです。そういう学びももう少し共有されていくといいですね。

 

――視覚障害の場合、ガイドの方も一緒に走ることになるので、彼らにも選手と同等以上のスピードがないといけませんし、息も合わないといけません。そういう意味ではオリンピアンの方たちに協力していただけるといいかもしれませんし、今は自費で雇っている選手も多いので、そういうところも改善できるといいのかなと思うのですが。

そうですね。だからみなさんも東京パラリンピックに出るチャンスがあると考えていいと思いますよ。パラリンピアンのガイドを狙いにいったり、他にもチャンスはいろいろと潜んでいるので、パラリンピックもオリンピックも含めてみんなが頂点を目指す世界に役割を見つけていくというのはみなさんももっと意識していいと思いますね。

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