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Road to Rio vol.11 「しぶとく、しつこく、狙えリオ出場権! ~シッティングバレーボール女子~」

2014年09月30日(火)

ハートネットTVキャスターの山田賢治です。
 

早くもリオ行きを決めるか!?

9月中旬、シッティングバレーボール女子日本代表の強化合宿に行ってきました。
10月のアジアパラ競技大会で、中国(6月の世界選手権優勝)を除いてトップの成績を収めれば、出場権を得ます。最大のライバルはイラン。4月の国際大会では3-0のストレートで敗れている相手です。
合宿では、徹底的に“イラン対策”をしていました。


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ブロックなど高さを生かす、スパイクはコートギリギリを狙う練習を繰り返す


障害者スポーツとしてのシッティングバレーの大会には、足に障害のある選手が出場します。一方で、足に障害がなくてもプレーできます。私も体験させていただきました。動きは緩慢でしたが(笑)、とにかく楽しく夢中になりました。「プレーするときはお尻を床につけること」や「サーブブロックO.K」など、通常のバレーボールとは一部ルールが違います。コートも狭いのですが、隣の選手との距離が近いので一体感を感じます。でも、スパイクは速く、動ける範囲も狭いので、一瞬のコミュニケーション(言葉が必要ないときも)が試合を左右するような気がしました。

バレーボールは、メンタル面が問われると思います。それも「個のメンタル」以上に「チーム全体のメンタル」。何をやっても上手くいくときもあれば、何かのきっかけで歯車がずれて、一気に失点することも。声を出し合うことはもちろん、もっとマインドの深いところでお互いの理解が必要ではないかと感じました。

事故や病気、または生まれたときから足に障害がありながらも、バレーボールを愛し、バレーボールで生きる力を得ている選手たち。ここに至るまで苦難があったかも知れない、それぞれの人生の道のりの中で、今、コートに集まり、心を一つにしています。ただただ、日本の勝利に向けて。


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98年から日本代表監督を務める真野監督


大会への意気込みや競技の魅力について、真野嘉久監督にインタビューしました。


山田)チームの良さはどこですか?
真野)やっぱりシッティングバレーが愛して大好きだということです。シッティングバレーがみんなでできる喜びを、今感じ合えるチームになっているかと思います。日本のシッティングバレーは何かというと、“笑顔でやるシッティングバレー”。これを世界に広めたいと思います。

山田)立ってプレーするバレーボールとシッテッィングバレーは何が一番違うのでしょうか。
真野)違うのは、ブロックをかわすことができない。立ってプレーする場合であれば、時間差やクイックを使って、相手のブロックをかわして攻撃ができるのですが、シッティングは手を伸ばせばブロックになってしまいます。後は、座ってプレーするというのは、体格差というか、座高の高い人が有利なので、ジャンプ力でカバーできないのが非常にはがゆいです。どうしたら背が伸びるのかなとか、どうしたら手が伸びるのかなといつも考えています。

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課題のプレーを指摘する真野監督。一つ一つ確認しながら指示を送る


山田)全国では障害のない方たちもチームを組んで楽しんでいます。私も体験してみて、気軽にできそうだという印象も強く持ちました。
真野)私はシッティングバレーを始めて18年ですが、最初から健常者と障害者が一緒になってできるということを感じています。座って動くというのは、障害のある人もない人もやったことがないと思うんですね。スタートラインが一緒なので、年配の人も子どもでも誰もがおもしろいと思います。ボールを風船に変えたりすることもできますし。今、競技人口としても、3割が障害者で、7割近くが健常者です。

山田)全国各地にプレーできる場があると、もっともっと盛り上がって、選手層も厚くなると思います。
真野)そうなんですよね、そこなんです。僕は学校の体育でこのシッティングバレーが授業の一環としてやられることになるように、今、努力している最中です。


山田)さて、アジアパラが迫っています。勝つためのポイントはどこですか。
真野)ライバルのイランに勝つためには、一つはサーブですね。サーブを思ったところに強弱つけて打てるかどうか。二つめは、相手の攻撃をいかにブロックでかわせるか。最後はサーブレシーブですね。いかに1本目のボールを上げるか、決していいカットじゃなくても、次につながるように上がりさえすれば何とかなると思うので、この3つを重点的に練習しています。つないでつないで、最後に狙うところにボールを落とす。イランの選手たちに、もうやってられないと思わせるようなバレーボールをしたいですね。



キャプテンの西家道代選手にもお話を伺いました。

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日本代表を牽引する、欠かせないチームの大黒柱


山田)アジアパラが近づいてきました。今、何を重点にして練習していますか?
西家)リオへのキップがかかっているので、全員で今、士気を高めていっているところです。やはりチームプレーなので、良い時も悪い時も常に声をかけられるように意識しています。

山田)勝ち抜くためのカギは何だと思いますか?
西家)勝つ気持ちですね。勝ちにいくという。最後は気持ちだと思うので、何としても“勝つ”という強い気持ちを全員が持てたら勝利につながると思います。そして、ギリギリのところでボールを落とさないことですね。しぶとく、しつこく、執着するということです。


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自分のプレーを磨きながら、積極的に他の選手へアドバイスも


山田)シッティングバレーに出会えたことを、今、どう感じていますか?
西家)運命ですかね(笑)。運命であって、私自身を生き返らせてくれたといいますか、またバレーの道へ進むことができたので、出会ったことにものすごく感謝しています。

山田)そして、仲間もたくさんいますね。
西家)そうですね。自分一人でなくて、みんなそれぞれ抱えてきたものはあるけれど、助け合っていけるので、そこがすごく心強いし、仲間ですね。


山田)その仲間とともにアジアパラでリオへのキップをつかむというのは、みなさん一致した目標だと思います。
西家)今は本当にそれだけです。全員、気持ちは同じです。選手、スタッフ一丸となって、必ず勝利出来るように頑張ります。全力で頑張ります。


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ポイントは取られても、流れを持っていかれないチーム力が必要。喜び、励まし合い、チームが一つになり相手と対峙する


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リオ・ピョンチャン・そして東京へ。
すべてのパラリンピックを盛り上げていきましょう!

コメント

アジアパラ、女子は幸先の良いスタートですね!男子も頑張れ!

投稿:真悟 2014年10月22日(水曜日) 05時47分