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【出演者インタビュー】室山哲也NHK解説委員「科学技術の力で人との絆をつくることができる」

2014年09月29日(月)

20140930_m.jpg9月30日放送
シリーズ リハビリ・ケア新時代
脳からの挑戦

第1回「心の声を届けたい」
に出演した室山哲也
NHK解説委員に話を聞きました。

 

 

 

 

 

 

――第1回は、脳と機械をつなぐ「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」技術を意思伝達困難なALS患者たちのコミュニケーション支援に活用しようという臨床研究を紹介しました。収録はいかがでしたか。

昔、NHKスペシャル『あなたの声が聞きたい』というドキュメンタリーで、植物状態の患者さんとのコミュニケーションを扱った感動的な番組がありました。当時、植物状態の人とのコミュニケーションは不可能と思われていましたが、看護師さんが「目がぱちぱち動かして」意思を伝えようとしていることに気づきました。担当医師は、最初は半信半疑だったのですが、確かに信号を送っていることがわかって、では指に鈴をつけたらどうかと、鈴の音でコミュニケーションをとれるようになったというような内容の番組です。BMIを支えているのも同じような発想です。科学技術の力によって心をつなぎ、コミュニケーションを維持したり、絆をつくりあげたりすることは素晴らしいことだと思います。

 

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――BMIの可能性や課題についてはどのようにお考えですか。

BMIは医療に限らず健康な人にもいろいろと活用できるわけですね。例えば脳の電気信号で動かすゲームにも使えるし、自動車などの交通、携帯電話などの通信など、産業としても大きな可能性があります。

だけど問題として、脳は可塑性(かそせい。変化しうる性質)があるので、刺激や体験によって、神経細胞のネットワークが変化することを忘れてはいけない。特に子供が使うときは、ただ面白いからという理由だけではだめで、十分に検討する必要があるかもしれません。詳しいメカニズムがまだ解明されていないので、研究も健全なかたちで進めていくことが必要です。

 

――視聴者の方には番組を通してどのようなことを感じてほしいですか。

そもそも障害は“社会的に見た”障害だということを忘れてはいけない。つまり、その人が社会でうまく生きていくことができないためにそれを障害と名付けているだけで、その人がそのまま自己実現できる社会ならばそれは障害ではないんです。例えば僕だってメガネをかけている障害者だし、同じ性格の人はひとりもいないわけですから、そう考えるとみんな障害者なんですね。

だから重要なのは、BMIのような技術開発を進めていくと同時に、多様な人たちが自分らしく生きていける社会を作っていくことが重要だと強く言いたいですね。

コメント

  高次脳機能障害者は生きていくのに沢山の生きにくさがあります。例えば記憶・言語・道に迷う・など障害があってもすべて出来ないわけではありません。自宅でチラシや会報、名刺を作成しています。
 周囲の人が理解し暖かく見守ってくださると生きやすくなります。脳損傷が良くならなくても生きやすくなれば、良くなったことに繋がります。障害者がそのまま普通に生きていける地域社会を作りたいです。
 障害者もそのために理解と協力を求めるように積極的に発言しなければならないと思います。「変な親子」と見られていましたが、自宅マンションの総会で発言しましたところ、近所の方が挨拶や話しかけてくださるようになり、彼の表情が明るくなりました。生きやすくなったことでしょう。見えない障害のため、誤解されていたのかもしれません。

投稿:幸子 2014年10月06日(月曜日) 13時38分