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【インタビュー】高橋亜美さん「生まれた家庭によって人生が左右されないように」

2014年08月07日(木)

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7月30日放送(8月6日再放送)
シリーズ 「施設」で育った私 第4回 反響編
に出演された高橋亜美さん(「アフターケア相談所ゆずりは」所長)にメッセージをいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

――「シリーズ 『施設』で育った私」の反響編ということで、番組に寄せられたさまざまな声を紹介して考えていきましたが、収録の感想はいかがですか。

この問題は、当事者とそこに関わる人たちだけで考えるのではなくて、社会で問題意識を持って考えていかなければいけないことだと思います。児童虐待のニュースはよく話題になりますが、そこで保護された子どもたちがその後どう生きているのかということまでは知らない方も多いですよね。子ども時代の傷つきが深い傷になっていて、精神疾患や依存症になったり、大人になっても働くことが出来ない状況があるんです。
そのことを知ってもらうためにも、今回番組でひとり一人にどんなことができるのか考えることができましたし、私たち専門職には何ができるかということまで含めて言及してもらったので、とてもありがたいと思います。

 

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――番組の中で特に印象に残っている言葉はありますか。

最後に山田さんがおっしゃっていた「家庭でなくともよりどころになってくれる存在ってありがたい」という言葉はすごく印象に残っていて、私もいつもそう思っています。本当に家族がすべてではないんですよね。親が機能していない家庭なんて今山ほどある。どうやって親に頑張ってもらうかというのもひとつの支援ですが、社会が代わりに子どもたちを育てていこうと考えるのもすごく大切な支援だと思います。いま傷ついている方たちは、自分が助けてほしい時に誰も助けてくれなかったという悲しみや憎しみが原因で、重い精神病につながっているケースもすごく多い。ですから、血縁関係にこだわらない「社会での育ちの保障」もすごく大事だし、生まれた家庭によってその人の人生が左右されてしまわないような社会にならないといけないと思います。

 

――支援をする上でどのようなことを大切にしていますか。

本当に想像を絶するような子ども時代を生き抜いてきた方々なので、まずは生きてきてくれたことに「ありがとう」という感謝と敬意をはらうこと。そして、やはりすごく相談しにくい問題を(家がないとか、性風俗の仕事を辞めたいとか、妊娠したとか……。)それを見ず知らずの私たちに勇気を持って話してくださったということにまず感謝の気持ちを忘れず支援させていただいています。

 

――番組を通してどのようなことを伝えたいですか。

「ゆずりは」に相談に来る方は問題を抱えておられる方の本当に氷山の一角ですし、必ずしもみんなが社会的養護で保護された方ではありません。ネグレクトや性虐待のような発見しづらい虐待環境を生き抜いてきた故に、深刻な問題を抱えている人も多くいます。ですから、「どんな家庭に生まれても健やかに育つことができる社会」になるためには私たちひとりひとりが何ができるかというところに立ち返って、「すべての子どもたちの幸せにこだわれる社会の仕組み」や「子どもたちへの思いを共有できる社会づくり」皆でをしていけたらと思います。

コメント

はじめまして、yorskinです。高橋亜美さんの著作本を拝見しました。20年もの養護活動に取り組み、培ってきた思いが綴られていましたが、自分が持つ児童養護のイメージに対して想像以上でした。

私は特に貧しい生活を送っていなかったのですが、どうにか埋もれてしまう子供の貧困問題を何故か探りたい気持ちになっています。恐らく「自分がこうだったら....」と考えてしまうから?でしょう。少し安易な動機かもしれません。

現状を知ったところで、個人に何が出来るのかなんて分かりませんし、例え貧困状態が分かっても声をかける勇気もありません。
ですが、子どもの居場所は「家庭だけ」とか「児童養護施設」に限定しない構成が必要と感じました。やはり上下関係でなく横並びだと誰もが安心しますよね。踏まれたりぶつかったりと支援には心に堪えることがありますが、一つ孤独な心境を酌めたと思える、そんな寄り添いが出来るようになりたいです。

投稿:yorskin 2015年10月03日(土曜日) 22時49分