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【インタビュー】西澤 哲さん「次の世代を担う人たちがこんなに粗末にされている」

2014年07月03日(木)

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シリーズ 「施設」で育った私
第1回 漂流する施設出身の若者たち

に出演された西澤 哲さん(山梨県立大学教授)にメッセージをいただきました。



 

 

 

 


――「シリーズ 『施設』で育った私」と題して、施設から出た子どもたちが社会で壁にぶつかりホームレスの状態になってしまったり、性風俗で働かざるを得なくなってしまう現状を見ていきました。収録に参加されてどのようなことを感じましたか。

番組の初めから「社会的養護」という言葉を出して頂きましたが、おそらくこの言葉を知っているのは専門家や関係者だけだろうと思うんです。要するに、ネグレクトなどが原因で親から養育を受ける権利を奪われている子どもたちなのですが、そういう子どもたちは親に変わって社会が養育する義務があるということもきっと多くの人は知らないのではないでしょうか。そして、一般の人からすると、「児童養護施設で育っているんだろうな」ということだけで、その後のことはほとんど話題になりませんよね。そういう意味でも今回番組で現状を取り上げてもらって、市民の人たちに届けて頂くということの意味は大きいだろうと思います。
 


――特にどのような人に見てほしいですか。

すべての人ですね。よく「子どもというのは“社会の子ども”」などと言われますが、日本はそれが形の上だけの話になっている気がするので、「次の世代を担う人たちをこんな粗末にしていていいのか」ということを市民ひとり一人に考えていただきたいです。そして、専門職である児童相談所や児童養護施設で働く人たちにも、自分たちの養育の結果がこういうことになっているという現実を見ていただきたいし、改めて自分たちの養育をもう一度見直してもらいたい。例えば番組でも少し触れましたけど、児童福祉法では18歳未満までは社会的養護を受ける権利を持っています。ところが高校を中退した方や、中卒で高校に進学しないような子どもたちまで施設から出してしまっている現状があるわけです。それが後の彼らの人生をどのような影響を与えているか。そのことを関係者は直視するべきだというふうに思いますね。


――施設を出て社会でなんとか頑張ろうとしているけれども、なかなかうまくいかない当事者の方たちには、どのようなことを感じてほしいですか。

やっぱり「助けを求めて欲しい」と思います。彼らは人から十分なケアを受けていないことから、「自分は取るに足らない存在なんだ」、「自分は世の中に必要ないんだ」と思ってしまい、どんな苦境に立っても助けを求められないんです。でも私は彼らに対して、「あなたも社会にとって必要な存在なんですよ」、「あなたたちがいないと社会が成り立たないんですよ」というメッセージを伝えたいし、いま苦境に立っているのであれば、児童相談所でもいい、警察でもいい、あるいは市町村の相談窓口でもいいから、とにかく社会に自分たちの状況を伝えて、何かしらの手当を求めてほしいと思います。

  


◆7月特集<「施設」で育った私>
本放送:夜8時00分~8時29分
再放送:午後1時5分~1時34分

第1回 漂流する施設出身の若者たち
2014年7月 1日(火) 再放送7月   8日(火)

第2回 “巣立ち”に寄り添う児童養護施設の試み
2014年7月 2日(水) 再放送7月   9日(水)

第3回 “最後の砦” 自立援助ホーム 
2014年7月 3日(木) 再放送7月 10日(木)

第4回 反響編 
2014年7月 30日(水) 再放送8月   6日(水)