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【放送を終えて】"みえない"をみる ―暗闇のスペシャリストたち―

2015年01月25日(日)

ブレイクスルー
File.22 “みえない”をみる ―暗闇のスペシャリストたち―、の放送を終え、担当したディレクターに話を聞きました。


放送が終わってどんなことを感じていますか?
今回は暗闇の中の話で、当然その中は映像に映らなかったのですが、“暗闇”がすごくテレビ的ではないので、見る人にとってどう伝わるのかなというのが放送前から一番気になっていました。放送後、僕の周りの人は基本的にはすごく興味を持って下さった方が多くてとても良かったっていうか、安心しました。


実際にダイアログ・イン・ザ・ダークは体験されたのですか?
しました。みんなでパイプの椅子組み立てたりとか、“はないちもんめ”をやったりとか。
やったらすごく面白くて、「皆どうしているのだろう」と気にしないと何も出来ないから、全員が自然とお互いのことを気にかけるっていう、その感じがすごく居心地が良くて。そうありながらも目標は決まっていて、皆でちゃんと共有した上でお互いに気を遣い合ったりするのがすごい面白い空間だなと。なかなか日常生活だと、中途半端な「どう思っているのだろう」などの探り合いから始まっちゃったりすることもあると思うのですが、そういうのも一切無いしいろいろ気付かされました。自分の言葉遣いも、「あれっ、なんか上手く伝わんねえぞ」とか、こんなに「あれ」とか「これ」とか「それ」とかばっかり言ってたのか、と、人に伝える上でいろいろ見つめ直すきっかけになりました。

そして、すごく面白いなというのと同時に、アテンドと呼ばれる視覚障害者の方が絶妙で、中での動きもめちゃくちゃ速くて・・・。番組をつくる上でどこか頭では不安というか、“障害がある”ことをどうあらわすのかという部分があったのですが、番組を作る前は、障害があってもなくても同じ人間だという理解だったのですが、実際に取材してみると、いい意味で「(障害者と)違っていいんだ」とそのときにすごく感じて。偏見とか何も無いと思っていましたが、「あっ、僕らが眠らされている力を彼らは使うことによって、僕らには出来ないことが出来ちゃうんだな」っていうのがすごく新鮮で、その辺りも番組で伝えたいと思いました。



いい意味で「違って良い」・・・そうですよね。彼らが“失っている機能”があるから、別の感覚が研ぎすまされて、人より発達して最大限に持っている力がある、ということですよね。そのあたりを番組の中ではどう意識して表現されましたか?
この体験は、“体験している様子”をある程度リアルに伝えないと分からないだろうなと思ったので、MCの二人に体験してもらって、二人に僕が気づいたようなことをリアルに気づいてもらおうと。で、そこをスタジオトークで話してもらうことで、よりリアルに伝わるんじゃないかなと考えました。

後は、もちろん二人の会話の中にも出てくるのですが“研ぎ澄まされた別の感覚”というメッセージを伝えたくて、一番最後に女性のアテンドのみきティーが新しい漆器を生み出すっていうコラボの新しい事業の話を入れました。(ダイアログの取り組みの一環ではあるけれど)番組上はダイアログの中で話が終始していたのに、話が飛ぶ感じはありましたが、どうしても伝えたかったので最後に入れました。



今回の番組を作るにあたって一番大変だったこと、苦労した点はなんですか?
自分の内面的なことはおいておいて(笑)、一番はテーマが「“見えない”を見る」というタイトルの通り、僕らは“目が見えるゆえにとらわれている”ことです。例えばブランド品を持っているとか、おしゃれしているとかそういう見た目みたいなところに、ついとらわれてしまうのに対して、彼らはそこにとらわれない、その豊かさみたいなところです。彼らももちろんおしゃれはするんだけど、それは人に見せるためじゃなくて、“自分の気持ちを上げる”ためという、すごく素直なところだったりするので。

“生きることを楽しむということの本質”というか、“豊かさ”みたいなのがテーマだったので、でも“豊かさ”はそれこそ目には見えないし。なのでそれをトータルで、何となく番組見終わったときに“豊かさ”を感じてもらったり、考えてもらったりする番組になるようにするには、どうしたら良いのだろう・・・と、すごく悩ましくて。「あなたは見た目にとらわれているかもしれないから、もっとこうしてみて下さい」と表現する訳にもいかないし・・・・どこまで明確に言って、どこまでを曖昧にしておくかというところが、大変でした。



“見えない世界”の豊かさというのを、“見える”ようにしなくてはいけないのは、すごく逆説的というか。目が見える人にも目が見えない人の豊かさを表現するのは、ちょっとワザが必要ですよね。
最もテレビ的じゃないテーマだなって思っていて。だから多分彼らのストーリーそのものは大事にしなきゃいけないけど、映像から伝わってくる、彼らが「生き生きと話している感じ」とか、「すっと真面目な顔をしたぞ」とか、映像だからこそ伝わる空気感みたいなもの、文字では伝わりにくい空気感みたいなものを大事にしたくて、なのでスタジオも敢えて現場でやってみました。



すごく伝わっていたと思います。風間さんもサヘルさんも大興奮して、いい感じでしたね!最後に、次に撮ってみたいものは何かありますか?
ブレイクスルーでいうと、今回みたいな「一つの団体の中で何人かの主人公を取り上げるパターン」と、「一人の人を主人公として追いかけるパターン」と、今は多分大きく分けて二つあると思うのですが、僕の場合、例えば視覚障害の陸上選手とかだと、伴走者がいて、いわゆる“健常”と呼ばれる人と、いわゆる“障害者”と呼ばれる人が、二人で一つのゴールを目指していくような。しかも場合によっては健常者よりも障害者の方が足が速くなって、伴走者を変えなきゃいけないみたいな、そういう世界、両者の関係性を追いたいです。今までどちらかというと、何らかの障害がある人が基本的にメインの主人公だったと思うのですが、ダブル主人公じゃないけど、健常と呼ばれる人と障害者との関係性の中で描いてみると、もうちょっとテレビを見ている人たちの側でいろいろと思うところでてくるかも?と思っています。僕としては、そういう“気づき”が今後の社会の、こうなったらいいなという社会の一端になると思うのでやってみたいです。

例えば、今回番組の最後で取り上げたフロアバレーボール も、実際に見てみたらお互いの特徴を生かして補い合っている。そのためのコミュニケーションもすごく工夫していて魅力的だと思いました。あくまで対等だったり、競えないものを補なっている、という世界ですけど、それを“健常者”と“障害者”と言うところで垣根が越える瞬間をみたい、より逆に強く結び付くって言うか、補い合うことでより強固になるんじゃないかという番組を創りたいと思っています。


ブレイクスルー File.22 “みえない”をみる ―暗闇のスペシャリストたち―
番組の書き起こしをお読みいただけます。こちらをクリック。

コメント

番組に 元気いただき
相模原しょうがい殺傷事件
やまゆり園に
献花。
野の草花
摘んで
わたしが、
こよなく
野の草花
好き。

その後
広島
長崎
徳島
介助者と。

投稿:おこらんど 2017年07月13日(木曜日) 08時31分

タイトル

工夫。
^o^^o^

ステキ

^o^^o^
おぎようこ
おこらんど

墨あそび詩あそび土あそび

投稿:おぎようこ 2017年06月13日(火曜日) 10時01分

全盲の友人が、いました。
大変福祉に尽力されました。
行動を共に、すること多かったのですが、
これほど、豊かな感性で、日々くらして
いらしたんだろう。

いつまでも
心に、生きていらっしゃいます。

おこらんど
おぎようこ
墨あそび詩あそび土あそび

投稿:おこらんど 2015年03月31日(火曜日) 05時50分