【出演者インタビュー】安藤桃子さん「陰の部分が深ければ深いほど、陽の部分は強くなる」
2014年09月25日(木)
9月29日放送(10月6日再放送)
ブレイクスルー
File14 反逆の原宿“カワイイ” ―アートディレクター・増田セバスチャン―
にご出演された映画監督の安藤桃子さんにメッセージをいただきました。
――第14回の主人公は、原宿で20年間店を開き、“カワイイ”文化を発信し続けるアートディレクターの増田セバスチャンさんです。収録はいかがでしたか。
度を越えた量が集まると何でも狂気になるものですけど、特に増田さんの世界観にはそれが現れているなと思いました。ひとつだけ置いておけば“カワイイ”おもちゃが、増田さんというフィルターを通してプレゼンテーションされると、その“裏側”まではっきりと見えてくるんです。それが風間君の言っていた「作品の“陰”の部分」なんだと思います。当たり前のことですが、世の中は陰と陽の両面で成り立っていますよね。そのどちらか一方を追求していけばいくほど、逆側が見えてくるというおもしろさを改めて感じました。子どものおもちゃは陰の部分を徹底的に排除して、健全なものとして作りあげているじゃないですか。だからそれだけが集まりすぎると、すごく“不健全”ですよね(笑)。
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――単純な「カワイイ」ではなく、“不健全さ”を秘めているところが、魅力のひとつかもしれません。
そうですね。日本人ってそもそもかなりエキセントリックな民族だと思うんです。浮世絵の時代を見ても、海外では絶対にないような色の組み合わせや、春画のエロティシズムがあって、表と裏の両面をすごく大切にしている。そういう意味で言えば、増田さんの作品は日本人ならではの表現方法だとも言えると思います。そして、「おもちゃ」というひとつのものに対してあそこまで追求するエネルギーはすごいですよね。それも日本人ならではだと思いました。いわゆる“オタク文化”も、突き詰めていくエネルギーと集中力のたまものじゃないですか。増田さんはその集中力を持って、海外で買い付けたおもちゃを新しいものに昇華させて、また海外に持って行き個展を開いている。その逆輸入のかたちはすごくおもしろいなと思いました。
―― 一方で、作品の裏側には増田さん自身のコンプレックスや経験があって、その部分に生きづらさを抱える人たちが共感しているという話もありました。
心の傷を作品に吐き出す過程を、私は“ゲロ”って言いましたけど(笑)、でもやっぱり“ゲロ”なんですよ。それは単に汚いものということではなくて、彼の中の“陰な世界”をカラフルでポップなものに変換して、“ゲロ”として吐き出しているんじゃないでしょうか。増田さんは幼少期の苦しい体験があるからこそ、あれだけのパワーを生み出せるわけで、やっぱり陰の部分が深ければ深いほど陽の部分も強くなるんだと思います。逆にその振り幅が小さければ小さいほど安定感のある人生なのかもしれません。だから、増田さんはジェットコースターに乗っているような人生でもあるんだろうなと思いました。
そして、学生時代のお弁当が白飯にりんごだけという真っ白いものだったから、今はいい意味で色やポップなものに対する“執着”があるんじゃないかとも感じました。それで世界を染めたいという強い想いを今日はビシビシ感じました。
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