【取材記】「足を失って良かった」と思える日
2014年08月02日(土)
今回、「アンプティサッカー」の撮影で息が詰まりそうだったのは、足を切断してまだ3か月の五十子さんのロケでした。
最初に会ったのは、「FCアウボラーダ川崎」が主催するアンプティサッカーの体験会。
くしくも、ロケの初日です。
体験会後の記念撮影。みなさんとの距離の遠さが緊張の度合いを示してます・・・
代表の春田さんを通じて聞いていた事前情報は厳しいものでした。
まだ近所にも友人にも切断の事実を打ち明けられていないらしい。
普段は家の中で過ごし、病院以外で外出するのはこの日が初めてらしい。
そんな状態で果たして撮影させてもらえるのか―
絶望の淵にいる人に初対面からいきなりカメラを向ける行為は暴力的で、嫌な職業だとつくづく思いました。
しかし、チームのメンバーが彼とどう向き合い、悩みに答えるのか。
それがこの番組の「核」になると考えていました。
そしてやってきた、五十子さん。
真っ白な肌、緊張した面持ち、声はうわずっています。
そんな彼にメンバーは悩みを聞き出すことはありませんでした。
むしろ、ずっと冗談を飛ばしてばかり。
我々は拍子抜けしました。
ですが、それこそが勇気を振り絞ってやってきた彼への最大級の応援なのだと気づかされました。
同じ経験をしてきたメンバーだからこそ通じあえる世界。
その空気感を感じてもらうことが番組の狙いとなりました。
最後に・・・
当初は私と電話番号を交換することも拒んでいた五十子さん。
それでも、ロケの最後に「今の自分を知ってもらうことが誰かの役に立てるなら協力したい」と放送に応じてくれた勇気に心から感動しました。
今回の番組の姿を、「あんな日もあった」と笑って観られる時が来るよう、これからも応援しています。
スポーツ中継でおなじみのハイスピードカメラも使用。プレーの迫力が伝わるよう、工夫をこらしました。
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