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【大会2日目】クロスカントリー元オリンピック日本代表・夏見円さんに聞く。

2014年03月10日(月)

大会2日目の放送を終え、
解説いただいた夏見円さんにお話を伺いました。


競技初日からメダル。どうご覧になりましたか?
やはりソチの雪のコンディションはすごく難しいので、
その中で狙って取れるというのが素晴らしいなと思いました。

狙うっていうのはなかなか出来ない感じなんですね?
やはりオリンピックで狙って金メダル、特にメダルっていうものはなかなか…狙えば狙うほど自分が気合いが入り過ぎたりだとか出て来てしまうので。
簡単には取れないのがやっぱり五輪だったりパラリンピックだったりっていう所がメダルなんですね。そこで狙って取れる、さらにはコンディションが難しい中で取れるっていうのがすごい。経験だけでは取れないもので、そこは精神論などがすごく研ぎ澄まされていないと取れなかったり、全ての条件が揃って取れたメダルだと思います。


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左から、クロスカントリー元オリンピック日本代表・夏見円さん、
アルペン元オリンピック日本代表・川端絵美さん。



夏見さんも期待をされてオリンピックに出られてっていう事がありますけれど、その時のプレッシャーっていうのはやっぱり格別なものでしょうか。
格別ですね。やはり4年1度っていう機会が貴重じゃないですか。次を目指せるって言う状況にあるかどうかもまた違うと思うんですけれど。その中で結果を残すっていうのがまず難しい。
さらには注目されて4年に1度だから注目されるのがまた(1年に何度も行われるスキーの)ワールドカップとはまた違うので、その注目されていろんな取材を受けたりだとか、テレビに出たりっていう今までと違うサイクルで日々を過ごされていると思うんです。その中で結果を出すっていうのがやはり素晴らしい。


なかなか日本では、バイアスロンは競技自体があまり盛んでは無いっていうところがあると思うのですが、夏見さんから見て魅力というのは?
やはりバイアスロンでの魅力っていうと射撃で、今回特に思ったのが射撃の場所についてから射撃にうつるまでのかかる時間がものすごく短いんだなっていうのを感じました。
それまで走ってきているので、息を整える時間が必要だと思うのですが・・。皆さん射撃の場所についてすぐに撃ち始められるので、そういう練習を何度も何度も続けて、そういう射撃についてすぐ撃てるような状況になるようなトレーニングをかなりされているんだなと印象を受けました。


心肺機能も・・・
心肺機能が高いのもそうですし、動いている所からの静止、やはり筋肉を使うものなので、筋肉って動いているとどうしても痙攣じゃないですけれど、収縮が行われている中で、静止する、止まるっていう動作はなかなか止まっても逆に筋肉が反応してしまって微妙に動いたりするんですよね。
それを射撃に影響させないようにするっていうのがやはり射撃のトレーニングなんだと思うんです。そこをかなりやられてきているのかなと思います。
かなりトップの選手はノーミスできているので、そのへんがすごいなと思って観ていました。


クロスカントリーをやられていた夏見さんでもすごいという感じですか?
すごいです。


(バイアスロン男子7.5km(座位)銅メダルの)久保選手とは
すごく近いところで交流があるということですが、
かなり彼は研究していたっていう感じはされますか。

雪質もそうですし、世界の選手の走りっていうのをかなり研究されていて。
今回聞いている話ではポールの長さを少し長くしたって聞いていました。それでよりダブルフォールと言って腕を使う分のフォームを少し改善したという事を聞いていて、特に今回雪質がすごく柔らかい状態なので、ポールを長くした事がかなり影響していると思うんです。
というのは雪が柔らかいので、ストックがどうしても埋まってしまう。長さが長い分だけ今までは埋まってしまったらすごく使いづらかった物が、長くした事によって埋まってしまっても、埋まった分のポールのロスっていうのを避けられた。それは意図してやったのか、意図せずに幸運を持っていたのか・・それは本人のみぞ知るですけれど。

オリンピック選手もポールの長さを変えたりするんですか。
変えますね。やはり基本的に自分の使いやすい長さは決まっています、1センチ変えただけでそのバランスが違ってくるので。なかなか走りづらかったりっていう事があって、逆に走りがちょっとずれてきているなと思ったときにポールの長さを変えると、そのポールの返ってくるリズムが変わってくる。それによって逆にフォームが改善される感覚を思い出したりっていう事があるので、2センチまでいくとちょっと長いですけれど1・2センチの長さは変えたりします。あとはやはり埋まってしまったりっていう事を考えて長くした事はありますね。

そのへんは一緒なんですね。
かなり一緒だと思います。


大会3日目、4日目どんどん続いていきますけれど、夏見さんとしてはこういう所を見て欲しい所はありますでしょうか。
夏見さんご自身、オリンピアンの目でパラリンピアンを見ると
この辺がすごいんだよ、というのがあれば。

全部すごいですよ。頭が上がらないですよね。
オリンピアンとしては、やりたい事をやって、自由にやらせてもらっている事の方が多いんですよ。でも、パラリンピアンの方たちは、自分で失ったものもあるし、その思いをスポーツにぶつけてっていう部分がすごく尊敬します。
それにひたむきにすごくやっぱり真面目な方が多いですよね、コツコツと取り組んだり研究を続けたりっていう所で。
コツコツと積み上げてきたものが結果に結びついたりというのはスポーツ特有の感動を生みますし、そういう所はぜひ見てもらいたいです。逆に障害があるから難しい部分、例えば先ほど言ったコース変更だったりとか、雪に埋もれてしまって、上半身だけだから登りがやはりキツイとか、そういう部分で視点を変えて見てみると、本当にすごい事をやっているんですよ、皆さん。
そういう所を乗り越えてゴールにひたむきに向かって行く姿勢や、特に皆さん素晴らしいと思うのは、目線。ゴールにひたむきに向かって行く目がすごくステキだなと思っています。

   

◆シリーズ ソチパラリンピック
ダイジェスト番組
大会期間中、競技の結果を毎日、30分のダイジェスト番組でお伝えします。


過去放送
(1)目指せ!“ぶっちぎりの速さ” ―アルペンスキー 狩野亮―
(2)攻めてつかめ!まだ見ぬ“金” ―アルペンスキー 鈴木猛史―
(3)究極の走りへ!最強ロシアに挑む ―ノルディックスキー 久保恒造―
(4)ただひたむきに 前へ ―ノルディックスキー 出来島桃子―

 

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