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僕が見るパラリンピック3~為末大さん

2014年03月04日(火)

今回はパラリンピックという競技大会自体ではなく、
社会にとってのパラリンピック
どういう意味があるのかを考えてみたいと思います。
 
一つは、私達が無意識のうちに
頭に浮かべている世の中の形が変わる事
ではないでしょうか。
現在私達がよく目にするメディアを見てみても、
身体障害者の方が出てくる割合は高くありません。
よく目にするメディアの中は実際に社会にいる
身体障害者の割合と少しずれがあるように感じます。

例えばテレビドラマは時代を反映する事が多いと思うのですが、
視聴者はドラマを見てそこに社会をぼんやりと想像します。
そのぼんやりと浮かべたイメージを基に、
それぞれの方が仕事でサービスや製品、社会を生み出していく。
そうなると実は現実と少しずれた社会を基に
社会が構成されていく可能性があります。

パラリンピックが社会に与える効能の一つは、
障害者の方々を目にする事で私達の社会の統計的イメージが変わり、
結果として様々なものがユニバーサルに変わっていく
可能性があるという事ではないかと思います。

20140304_pararin001.jpg
 


もう一つは、福祉産業の発展です。
パラリンピアンの方達は障害者でありますが、
同時にかなり高いレベルで身体を操るアスリートでもあります。
当然勝敗があるオリンピアンですから、
競技をする際に使う用具への要求が高く、
選手側の要求と感性をもとにどんどんと用具が発展していっています。

ちょうどF1を想定してもらえるとわかりやすいと思いますが、
F1で徹底的に効率化され磨き上げられた技術が、
一般車に反映されるという好循環があります。
パラリンピックで彼らが先端で身体を使って開発していった用具が、
その後福祉器具に応用され、
一つの大きな産業になっていく可能性があります。

すでに日本は超高齢社会を迎えていますが、
日本を追いかけて高齢化社会を迎える国はたくさんあります。
中国も2、30年すれば高齢化社会に突入します。

そんな中でパラリンピックが福祉産業の発展に
寄与するという可能性があるのではないでしょうか。


最後は、彼らが持つメッセージが社会に与える影響です。
オリンピアンも含め
スポーツ選手自体が持つメッセージはとても強いですが、
パラリンピアンは人生の中でチャレンジしているものが
もう一段多くあります。
彼らが持つメッセージはとても強いと思います。

私が感じる、彼らが持つメッセージは
「人は変われるんだ」という事です。
人生には様々な事が起きますが、
それでもそれを受け入れて
そこに生きる道を見いだせるんだというメッセージです。

希望を持つというのは、楽観的に物事をみるという事だけではなく、
どんな状況に置かれても活路を見出していくという事
だと思います。

パラリンピアン達は、
社会に希望の持ち方を見せてくれているのではないでしょうか。

 

 

 

◆シリーズ ソチパラリンピック
ソチパラリンピック まもなく開幕! 世界に挑むアスリートたち
【本放送】2014年3月1日(土) [総合] 午後4時05分~4時49分
【再放送】2014年3月7日(金) [Eテレ] 午後8時00分~8時44分

ソチパラリンピック ~開会式~
2014年3月8日(土) [総合] 午前1時00分~ ※7日(金)深夜
冬のパラリンピックでは初めて、
開会式すべてを地上波で生中継します。

ダイジェスト番組
大会期間中、競技の結果を毎日、30分のダイジェスト番組でお伝えします。


過去放送
(1)目指せ!“ぶっちぎりの速さ” ―アルペンスキー 狩野亮―
(2)攻めてつかめ!まだ見ぬ“金” ―アルペンスキー 鈴木猛史―
(3)究極の走りへ!最強ロシアに挑む ―ノルディックスキー 久保恒造―
(4)ただひたむきに 前へ ―ノルディックスキー 出来島桃子―

 

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