森井が初めてパラリンピックでメダルを獲得したのは、2006年のトリノ。
以後、男子のリーダーとして日本アルペンチームを牽引してきた。
10年のバンクーバー大会では滑降で銀、
スーパー大回転で銅と２つのメダルを獲得した。
一方の鈴木は、バンクーバー大会の大回転で銅メダルに輝いている。

「ワールドカップで勝ち取った
　総合優勝のクリスタルトロフィーもめちゃめちゃ嬉しいけれど、
　欲しいのは、パラリンピックの金メダル！」

と、2人とも口を揃える。

バンクーバー以降、
急成長の原動力になっているのが日本製のチェアスキーだ。
メーカーとタッグを組み、
選手それぞれの障害の状態に合わせて徹底的に分析・調整。
世界でたった一つだけの専用マシンを作り上げてきた。
日本製のマシンを使用して日本選手が活躍していることから、
海外選手も日本のマシンを注文するようになった。
アルペンスキーで言えば、トップ10のうち、
7、8人は日本製のチェアスキーを使用している。

森井は、もともと大回転、スーパー大回転を得意とする選手だが、
バンクーバー以降、回転でも優勝するようになってきた。
スーパー大回転と回転を組み合わせるスーパー複合でも、
表彰台の常連だ。
回転を得意とする鈴木を脅かす勢いがある。
一方、回転を得意とする鈴木が時には大回転で森井を下すこともある。
また、滑降、スーパー大回転といった、
高速系種目に強い狩野亮のスキーテクニックを、森井や鈴木が見習って、
高速系に磨きをかけてきた。
日本チームは、そうやって、チーム全体で成長を続けてきている。

そんな中、今、いちばんホットな存在は、女子座位の村岡桃佳。
埼玉県正智深谷高校2年生の17歳だ。
1年前から本格的に日本代表チームの一員として合宿に参加。
今年1月にアメリカで行われたワールドカップの大回転で初優勝を飾り、
ソチ・パラリピックの出場権を獲得した。

「いつもスタート前には吐きそうになるくらい緊張するんです。
　でも、優勝した時にはタケちゃん（鈴木猛史）が
　わざわざスタートハウスまで来て、
　突然肩をぽんとたたいて励ましてくれて、ちょっとびっくりしましたが、
　おかげで肩の力を抜いて滑ることができました」

森井たち先輩選手が、1年という短い期間の中で、
マシンの調整からスキーのテクニックまで、
親身に村岡を指導してきた。早くも、それが花開こうとしている。

「パラリンピックは初めてだから、もちろん不安もいっぱいあります。
　でも、緊張はするもの――
　その緊張をどれだけ力に変えていけるかだと思っています」

日本勢は、ほかに
06年のトリノ大会の大回転で銀メダルを獲得した東海将彦、
近年ワールドカップの回転で力を発揮している三澤拓など、
立位男子にも期待がかかる。

ソチ・パラリンピックでは、
日本チーム全体で10個のメダル獲得を目指すという。
しかし、森井は語る。
「その10個、アルペンで実現してみせます！」

日本選手が出場するのは、
滑降、スーパー大回転、スーパー複合、大回転、回転の5種目。
どの種目からも、目が離せない！

   

◆シリーズ　ソチパラリンピック（アンコール）
本放送：夜8時00分～8時29分
再放送：午後1時5分～1時34分

（１）目指せ！“ぶっちぎりの速さ” ―アルペンスキー　狩野亮―
→本放送：2014年2月12日（水）再放送2月19日（水）

（２）攻めてつかめ！まだ見ぬ“金” ―アルペンスキー　鈴木猛史―
→本放送：2014年2月13日（木）再放送2月20日（木）

（３）究極の走りへ！最強ロシアに挑む ―ノルディックスキー　久保恒造―
→本放送：2014年2月17日（月）再放送2月24日（月）

（４）ただひたむきに 前へ ―ノルディックスキー　出来島桃子―
→本放送：2014年2月18日（火）再放送2月25日（火）