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「徹底検証!障害者総合支援法」<ディレクター取材後記>

2013年04月04日(木)

“善意”で命をつなぐサトウさん
公的サービスが行き届かない難病患者の暮らしは…

 「徹底検証!障害者総合支援法」を担当したディレクターです。
 制定された法律では、難病も障害者の範囲に含まれるようになりました。しかし、それは、現段階では、数多くある難病のうちの130にのみ限られました。
 今回、私はその「範囲」に入らなかった難病患者を取材しました。

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 VTR取材をさせていただいた慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)のサトウさんは、現在ほとんど寝たきりの生活を送っています。家事をしたくても、体が動かないため、誰かの支えがなくては生活が成り立ちません。

はじめて取材にお伺いしたとき、サトウさんは、「“飲み水”の確保」に大変困っている状況でした。体調を崩されて食事がままならない状態だったため、水ではなく、「経口補水液」を飲んで暮らしていたのですが、薬局などにしか売っていないので、患者会のお仲間に差し入れてもらったり、友人に差し入れてもらったりという形でなんとか「つないでいる」という状況でした。
サトウさんはこの状態がいつまで続くのか、将来に本当に不安を感じておられて、私も言葉が見つからず、いたたまれない気持ちになりました。

 結局、公的な制度がない場合には、「家族」や「友人」「ボランティア」という「善意」に頼っていかなければ、生きていくことができません。

サトウさんの場合は、「国が研究事業の対象としている難病ではない」という理由で、支援の制度から外れていたのです。もちろん、一定の基準が必要であることはわかりますが、もう少し、その人の“状況”をみながら支援の仕方を考えることはできないのでしょうか?

 運用面だけの都合を考えた大まかな物差しだけではなく、できるだけ細かいところに行き届くような、“丁寧”な制度になるよう、私たちも現場から、引き続き訴えていかなければいけないと思いました。



『徹底検証・障害者総合支援法』
 [ 放送 ]  2013年4月4日(木) 20時00分から20時29分 Eテレ
 [再放送] 2013年4月11日(木) 13時10分から13時39分 Eテレ


 

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