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「徹底検証!障害者総合支援法」 放送に入りきらなかった"大切な話"

2013年04月04日(木)

「問題行動が起きてからでないと、支援がされないという矛盾」
 

番組ディレクターです。
4月4日、夜8時から放送の「徹底検証!障害者総合支援法」
ご出演いただいたのは、
障害当事者側の視点で、新法制定の検討会議に携わった茨木尚子さん。
(明治学院大学教授)
来年4月から施行される「重度訪問介護」について、
放送ではご紹介しきれなかったポイントとなるお話をもう少し、
ご紹介させていただきます。

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重度の肢体不自由者に対して、身体介護や家事援助だけでなく、
見守りや外出時の介護まで、長時間にわたって提供する「重度訪問介護」
それが、来年4月から、知的・精神障害者に拡大されるということで
注目を集めています。


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番組でもお伝えしましたが、問題となっているのはその「対象」です。
国は現在、「行動援護」のサービス対象者を基準に検討する、
としていますが・・・。
 

茨木「“行動援護”を基準に考えるということなのですが、
  全くイコールとなってくると、非常に限られた人しか重度訪問介護の対象に
  ならなくなってしまう可能性があります」



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「行動援護」の対象者は、行動上著しい困難を有する知的・精神障害者。
行動に関する12の調査項目のうち、8点以上(24点中)にあてはまるのが
条件です。

例えば、「他人に突然抱きついたり、断りもなく物を持ってくること」が、
「ほぼ毎日ある」と2点。「叩いたり蹴ったり器物を壊したりなどの行為が」
「ほぼ毎日ある」とさらに2点、こうした点数が複数組み合わさることで、
8点という計算になります。
 

問題行動が起きないようにするために、周囲の支えが必要であるにもかかわらず、
実際に起きている人しか対象とならない、というのは本末転倒ではないか?

茨木さんは、状態が重くなってからでないと制度が利用できない
という矛盾を指摘されました。


茨木「問題行動って何故起こってくるかというところを探ることが大事で、
  それを止めるために重度訪問介護を使うということもあると思うのですが、
  その問題行動がないと重度とみなされず使えないというのは、
  その人の状態が悪くなってからしか使えないという矛盾したことに
  なってしまいます。」

 

「重度訪問介護」の対象拡大は来年4月から。
厚労省も今年1年をかけて準備をすすめていく予定です。

茨木さんは、どんな人がこのサービスを必要としているのか、地域から提言を
続けていくことが大切だ
と考えています。


茨木「“こういう人たちが使えると、本当に地域支援の厚みが増すよね”
  ということを地域のみなさんから発信していくことで、行動援護の対象基準の
  幅が広がっていく可能性は、まだまだあるのではないかなと思っています。」

 

当事者や社会1人1人の声が、今後の施行内容にかかわってくる可能性も
あります。
私たちも、今後、引き続き注意して動向を見守っていきたいと思います。




『徹底検証・障害者総合支援法』
 [ 放送 ]  2013年4月4日(木) 20時00分から20時29分 Eテレ
 [再放送] 2013年4月11日(木) 13時10分から13時39分 Eテレ



 

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