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東日本大震災 福島・県外避難者を支える

2015年03月11日(水)

WebライターのKです。

東日本大震災から4年目の終わりの3月9日。福島からの避難者の支援について考えるシンポジウムに参加しました。タイトルは、「語ろう!聞こう!福島からの避難母子 5年目に必要な支援とは」。会場は東京の飯田橋にある「東京しごとセンター」。主催はNPO法人こどもプロジェクト。参加者は避難者と支援者の双方です。

主催者代表の福田恵美さんが、4年間支援を続けてきて、いま感じているのは「風化」です。シンポジウムは今回で8回目。震災後しばらくは一般の人々の原発避難者への思い入れが強く、会場には100人を超える人が集まっていたと言います。しかし、この日集まったのは30人ほどでした。
「4年経っても、福島の未来への展望は開けていません。避難者への支援はまだまだ必要です。ところが、社会の関心は明らかに薄れてきています。実情が見えなくなって、長期避難していることをとがめる声が、大きくならないかと危惧しています」

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NPO法人こどもプロジェクト理事長・福田恵美さん。東日本大震災で被災した母子の支援だけではなく、難病の子どもたちの支援なども行っています。
 


シンポジウムに参加したある女性は、夫と6人の子どもといわき市から東京に避難してきました。「子どもたちは学校になじみ、私たちは新たな職も見つけて、避難生活はようやく落ち着いてきました。でも、いまの公営住宅にいつまで住み続けられるのか、はっきりしません。被災後、子どもたちは勉強どころではなかったのです。いま戻ったら、また一から生活のやり直しです。いつまで振り回されないといけないのでしょうか


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「福島にはいつ戻るの?空間線量は下がったんでしょう。まだいるの?」。
被災当時は支援してくれた人の中にも、態度が変わってきた人たちがいると、別の避難者の女性は嘆きます。
「日本では、なぜ原発避難者が避難者であることを隠したり、肩身のせまい思いをしているのか、理由を教えてほしい」とアメリカ人の記者が会場の参加者に問いかける場面もありました。


今年2月末の調査によると、福島の県外避難者は、全国に約47,000人います。福島県が昨年実施した「避難者意向調査」によれば、県外避難者は、今後の生活について、「避難先での定住」や「故郷への帰還」よりも、「現時点では決められない」という回答をもっとも多く選択しています。県外避難者の多くは、将来展望が見えるまで、もうしばらく避難生活を続けることを望んでいるようです。しかし、私たちはしばしば避難者に対して「移住か」「帰還か」を性急に問いかけてしまい、“猶予のための長期避難”という選択肢を思い浮かべることは少ないのではないでしょうか?避難生活の区切りは、空間線量だけではなく、住まいや就労の問題、さらに子どもや孫の成長とも関係するなど、さまざまな事情によります。決断の時期も含めて、一人ひとりの意向の尊重が社会に求められていると思います。