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【インタビュー】香山リカさん「被災地の自治体職員の状況とは」

2015年03月03日(火)

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3月5日放送(3月12日再放送)
シリーズ 被災地の福祉はいま
第3回 揺れる復興 疲弊する自治体職員
に出演された香山リカさんにメッセージをいただきました。

 

《プロフィール》

精神科医。震災直後から、被災した自治体の職員への支援を行っている。

 

 

 

――収録の感想を教えてください。

私も電話相談を行っているので、被災地の自治体職員の方たちの状況はある程度知っていましたが、改めて今回の収録を通して、職員の方たちがどんな仕事をされて、どんな思いを持っているかという“しんどさ”が伝わってきて、見ていて私までつらくなるような感じがしました。

 

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――香山さんはどのようなきっかけで自治体職員の支援を始めたのですか。

東日本大震災が起きて、自分にできることは何かと考えたときに、なるべく目が届きにくいところへの支援をしたいなと思ったんです。被災者の支援はいろいろな方がなさっていたので、それなら自治体職員の支援に取り組もうと思い活動を始めました。そして、いろいろなメディアで繰り返しこの問題を取り上げてほしいとお願いしてきたんです。でも、どうしても「自治体職員の方はそれがお仕事なので取り上げづらい」と言われてしまうことが多かったんですね。ですから、震災から4年も経ってからではありますけども、今回こうして取り上げていただいたことは支援に携わっている私としても非常にありがたいことだなと思っています。

 

――支援をするなかで自治体職員の方たちのどのような言葉が印象に残っていますか。

みなさんいろいろ大変だというお話をされながらも、必ず「できない私がなさけない」とか、「もう少しやらなきゃいけないのに申し訳ない」とおっしゃるんです。今回のVTRの中でもそう話す方がいらっしゃいましたが、責任感が強すぎるくらい強い方が多いんですよね。こちらからすると、そういう責任感の強さや自分を攻める気持ちが逆にストレスを増大させているので、もう少し自分を責めないでほしいと思うのですが、真面目で強い使命感を持っている方たちなので、どうしてもそのような状況になってしまうんです。

 

――自治体職員という立場上、不安や不満のはけ口にされてしまうこともあるのでしょうか。

そうですね。もちろん自治体職員の方たちは住民のために尽くす公務のお仕事ではあるんですけど、現場で話を聞くと、本当に言うのもはばかられるくらいの大変な状況があるんです。たとえば何時間にもわたって住民の方から罵倒され続けたり、なかには暴力沙汰になってしまったりする話も聞きます。でも職員たちは反論したりできないので、ひたすら頭を下げ続けてつかれきってしまっている。そして彼らも状況はわかっていて、「住民の方たちもしんどいんですよ。自分たちしかはけ口がないんです」と言って耐えているわけですね。

 

――そのなかで国は「メンタルヘルス総合対策事業」を立ち上げ、自治体職員を支援していますが、それも2016年で終了し、以降は白紙の状態です。支援をしている立場としてもそのようなサポートは継続的に必要だと感じますか。

そうですね。大災害後の支援者のストレスは3〜4年くらい経ってからがピークになるというような調査もありますので、ここで終わりにしないでいただきたいなと思います。それと同時に、私やVTRに出てきた「ふくしま心のケアセンター」のような支援者支援をしている団体がいくつもありますので、そういう団体が継続的に活動できるような制度も考えてほしいと思いますね。

 

――視聴者の方には番組を見てどのようなことを感じてほしいですか。

このような自治体職員の状況を伝えると、みなさん口をそろえて「言われてみればそうだ。でも見えなかった」とおっしゃるんです。自治体職員の方たちは被災地において、いわゆる縁の下の力持ちですよね。そんな彼らの奮闘と置かれている状況を多くの人に知ってほしいと思いますね。

コメント

先生有難うございます

投稿:桐生の竹和紙職人 2015年03月12日(木曜日) 09時21分