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一人暮らし、非正規雇用と"がん"

2013年08月30日(金)

お金の切れ目が命の切れ目!?
お一人暮らしで、非正規雇用で働く方が“がん”になったとき、
病気はその方の暮らしにより重くのしかかるのかもしれない…


こんにちは。
9月3日(火)に放送予定の
シリーズ がんサバイバーの時代「第2回 がんを抱えて“働く”」
の制作を担当しているディレクターです。

取材しながら特に感じたのは、お一人暮らし、
非正規雇用で働く方が“がん”になられた時、
その生活への影響はとても大きなものになるということです。


今回取材させていただいた方のお一人、40代後半の女性は、
2年前、派遣社員として自動車販売会社で働き始めてまもなく
乳がんと診断されました。
ある日の朝会社に行くと、突然自分の私物が片付けられていて、
「後任を探している」と言われ退職せざるをえなかったといいます。

20130830_cancer.jpg
現在は都内の人材派遣会社で働く女性


女性はその後別の仕事につきましたが、
去年、今度は子宮体がんが見つかりました。
手術後、医師から抗がん剤治療が必要だと言われましたが、
期間限定の契約社員として働いていたため、
当初は治療を拒否したといいます。
「治療しているうちに契約期間が終わってしまうため、
 仕事が続けられない、
 働けなければ治療費が払えないのに
 治療を続けるわけにはいかない」・・・と。


結局、その時の職場は病気の治療に理解があり、
女性は仕事を続けながら
抗がん剤治療を受けることができたのですが、
彼女がつぶやいた一言、

「お金の切れ目が命の切れ目」

・・・という言葉が強く印象に残りました。


独身で両親もすでに亡く、兄弟も遠方にいるというこの女性は、
副作用で起き上がることすら辛い時も、
一人家で耐え忍んできたといいます。
ある時、ペットボトルの水を切らしてしまったものの
外に出ることができず、
薬を飲むにも水分を取るにも
困り果ててしまったことがあったそうです。

それ以来女性は、家に何本も水が置いてあっても、
毎日必ずスーパーで水を買って帰るようになったといいます。



「“粒子家族”時代のがんと暮らし 生活ニーズ調査」

今年7月、働くがんサバイバーを支援する
民間団体が公表した報告書です。
「核家族」よりさらに個別化した「粒子家族」の
がんとの向き合い方を調査したものです。

それによれば、
がんになった非正規雇用の方の
およそ5割が年収300万円以下の低所得世帯。
しかも、非正規でがんになった方の6割が、
がんと診断された後に職を失っていました。
(正規雇用の場合は、年収300万円以下は約1割、
 失職された方は4割でした)

さらに、一人暮らしの方は病気の不安や悩みについて、
誰にも相談せず孤立化する傾向が高いことも分かってきました。


今日本では、会社に雇用される人の4割もが非正規雇用。
生涯未婚率も男性2割、女性1割に上るなど、年々上昇しています。
一人暮らしで、非正規雇用で働く方ががんの治療と向き合われる
というケースが、日常的に起きている状況なのです。

私たちは今、“お一人様のがん”にどう向き合うか、
真剣に議論すべき時を迎えています。


「非正規雇用」「一人暮らし」と“がん”。
みなさんはどのようにお考えでしょうか?
どうしたら誰もが安心して治療し、働くことのできる社会になるのでしょうか?
みなさんの体験談、ご意見をぜひお寄せください!


シリーズ がんサバイバーの時代 放送予定
第1回 自分らしく今を生きる
2013年9月2日(月)再放送9月9日(月)

第2回 がんを抱えて“働く”
2013年9月3日(火)再放送9月10日(火)

第3回 人生を生き切るために
2013年9月4日(水)再放送9月11日(水)

第4回 反響編1
2013年9月23日(月)再放送9月30日(月)

第5回 反響編2
2013年9月24日(火)再放送10月1日(火)

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