本文へジャンプ

私たちができること

2013年08月06日(火)

「シリーズ認知症」最終回の舞台のひとつ、静岡県富士宮市。
「認知症の人が地域で暮らせる町づくりの先進地」と言うものの、
撮影クルーは当初、一体どんな様子なのか想像がつきませんでした。

現場に到着し、いざタクシーに乗ると、早速あるモノを発見。
それが認知症について正しい知識や接し方などを学んでいることを示す
認知症サポーターのシールです。


20130806_ninchisyo001.jpg
運転手のネームプレートに貼られたシール
*脚注:地元のタクシー協会が認知症の勉強会を何度も開催し、
  その参加者はこのシールを貼ることができるとのこと。


学んだ知識を活かし、タクシードライバーの中には
行き先がわからなくなったり、お釣りがわからなくなった認知症のお客さんを
普段からサポートしているそうです。

さらに、昼食に訪れた焼きそば屋さん、宿泊したホテル、
お土産を買った商店街のお店・・・様々な地域の場所でシールを見つけました。
その数、20団体以上に上るそうです!

20130806_ninchisyo002.jpg
お好み焼き屋に貼られたシール
*脚注:名物の富士宮やきそばを食べようと入ったお店にもありました。


そうした団体のひとつ、
富士宮駅前の商店街にある「おかみさんの会」。
会では毎月16日に「十六市」という市場を開いているのですが、
その中で認知症に関するもの忘れ相談や啓発講座を開催しています。
おかみさんの会では、
「認知症の人も、そうじゃない人も分け隔てなく暮らせる地域」にするための
一歩として自分たちができることから始めているそうです。

富士宮市を取材して感じたのは、
「自分がもし認知症になったら」と考えた上で、
自分で今できることに向き合っている、地域の人々の真摯な姿勢でした。
何か特別なことや大がかりなことではなく、
目の前にある、ちょっとした一歩を踏み出すこと―
これからまた番組を制作するとき、
今回学んだことを活かしていきたいと思いました。


3月から7本にわたってお伝えした、
「シリーズ認知症 わたしから始まる」は一旦これでお休みいたしますが、
今後もハートネットTVでは、認知症について紹介したいと思います。
これからもよろしくお願いいたします!

コメント

僕がタクシー運転手をしている頃、あるところでショットバーの店員さんが僕のタクシーを止めました。
お店の前をふらふらと歩いていたおばあさんを保護して、連絡先を聞いてあるから、乗せていって欲しいとの依頼でした。僕としては、2万円くらいの距離だったので、少し嬉しかったのを覚えています。

そのおばあさんの家の近くに駅前から、連絡先に電話したら、娘さんが迎えに来ました。帰巣本能があるので、昔暮らしていたところに、タクシーで出かけてしまう。何度もあって、お金が大変と聞きました。

そのおばあさんが何度も同じことをしてくれれば、商売としては嬉しいのですが、僕はその娘さんに「地元のタクシー会社に相談して、自宅に送るようにお願いしておいた方がいい」と伝えました。認知症になっても大切な家族には変わりませんが、何度も高額なタクシー料金を払うのでは、続かないと思います。社会的なサポートが必要だなと思いました。

投稿:佐藤郁夫 2013年08月20日(火曜日) 02時22分