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【出演者感想】遠藤英俊さん「オランダとの違いを見て、ぜひ声を上げて欲しい」

2013年07月08日(月)

7月1日、2日放送(7月8日、9日再放送)
シリーズ認知症 “わたし”から始まる
第1回 462万人 ―自宅で暮らしたいけれど―
第2回 “在宅”を支えるケア ―オランダからの報告―
にご出演の遠藤英俊さんに収録の感想を聞きました。


20130701_enndou.jpg ――1本目の「462万人 ―自宅で暮らしたいけれど―」の感想について教えてください。

まず、認知症の方の数がこれだけ多いんだということと、日本ではそうした認知症の人の半数は施設に入っているのが現状だという話なんですよね。
日本の介護保険のサービスがまだ十分でないことも関係していますが、たとえば夜間に使える訪問介護を頼みたいけどできないとか、なかなか望むようなかたちで利用できない人も多くて、それが原因で施設入所になっている方たちも多いことがわかってきたので、そういう意味ではもっと地域密着型というか、専門家が地域の中に入っていって支えるような制度が欲しいと思いました。
 


もうひとつは、本人の気持ちや意見を聞くということが
まだ十分でないということですよね。
そういう意味で第1回の放送は
現在の日本の環境の反省点が見えた回になったんじゃないかと思います。
レスパイトケア()のサービスがあっても、
それを十分活用できていなかったり、
あるいは介護保険サービスを使おうと思ったときの入り口が難し過ぎて、
結局介護保険適用外のサービスを求めてしまうこともあるとか。
NHKはじめメディアが認知症のことを積極的に取り上げるようになって、
認知はされてきているけども、
個々の現場を見ると、まだまだ未解決なことがあることを
改めて知ったという感じではないでしょうか。


――2本目はオランダにおける認知症在宅ケアの状況を取り上げましたが。

国家戦略として一生懸命取り組んでいるのが伝わってきましたよね。
まず「認知症ケースマネジャー」が認知症の当事者に寄り添う形でいて、
そして地域として支えていく仕組みができている。

もうひとつは、早期に対応、それによって暮らしを継続していけるようにする、
そのあり方が素晴らしかったですよね。
日本がまだまだ遅れている部分です。
それから、専門職の方が家に直接来てくれるのに加えて、
看護も介護もアドバイスもいっぺんにしていましたよね。あれはいいなと。
日本の場合は看護は看護、ケアマネージャーはケアマネージャー、
デイサービスはデイサービス、
みんなバラバラで動いていますから。
さらにそれが24時間365日対応だということも驚きです。
日本はなかなかそれができていない。
全般的にオランダは初期の関わり方、介入の仕方という点から見ても、
日本と比べて断然厚みがありますよね。
ちゃんと国がやると決めているのは、すごいなと思いました。


――番組のどういうところを見て欲しいですか。

オランダの先進的な地域の取り組みと日本の場合を比べてどこが違うか。
オランダを見て、日本もできるんじゃないかということを
まず番組を見て勉強して欲しい。
そして声を上げて欲しいです。
そうすれば市町村や地域を動かすことができるんじゃないかと
私は期待していますので。
「オランダはいいんだな」という感想だけで終わってしまうのでなく、
それを見てどう行動するか、
どう訴えるのかというところにつなげて欲しいと思いますね。


《遠藤英俊さんプロフィール》
国立長寿医療研究センター 内科総合診療部長
認知症の専門医。

:レスパイトケア
高齢者や障害者などを在宅で介護している家族などの介護者が
心身リフレッシュできるような地域支援サービス。
施設への短期入所や自宅への介護人材派遣などがある。

コメント

私は3年前在宅で母を母のお部屋で看取りました。101歳でした。主治医に家での看取りを数年前からお願いしておりました。幸い家を開放してデイサービスを運営しています(12年前から)ので家で看取る状況をスタッフにも見てもらいたかったということと私自身現在のデイご利用者さんとそのご家族とのかかわり方を考える点でも最後まで「家」にこだわりました。
 私の場合、家が職場で仕事自体が介護現場だったということもあり実現できたとよく言われます。しかし、デイサービスをご利用されながらご家族と頻繁に連絡を取りながら介護知識と技術をお伝えしながらできるのではないかと思います。デイのみ利用では不可能ですが。
ご家族が最後まで在宅をご希望されるのであれば何とか実現への支援を
ケアマネや主治医ヘルパー等と連絡を密にして支援できるのではと思います。ただ、在宅介護には家族のこれまでの関係性にかなり左右されることは否めません。

 
 

投稿:文 2015年03月26日(木曜日) 11時39分

認知症があり、ガン末期と診断されたEさん。訪問看護を利用し残された時間を自宅で娘さん二人で暮らしていました。苦しい中、一生懸命過ごしていましたが、それを見かねたとなりに住む住民から、「高齢者虐待だ」と通報されてしまいました。地域包括ケアセンターの職員が入院を勧めましたが、Eさんが「娘と一緒に過ごす」と言い、娘さんも「自宅で母の世話をする」と言ったため、親子が隔離されることはありませんでした。その二日後、Eさんは、自宅で息を引き取りました。在宅重視といえども、近所の方にとって、ガン末期で苦しんでいる人を見れば、何とかしてあげたいと思うのだと理解しますが、一般市民にとっては、まだ自宅で終末を迎えることを認識できていないのではないかと思います。

投稿:きんちゃん 2013年12月16日(月曜日) 22時43分