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認知症 地域で生きる

2013年06月24日(月)

6月、厚生労働省の研究班が
「認知症高齢者の数が462万人。
“予備群”ともいわれる軽度認知障害の方は400万人に上る」

 と発表しました。
65歳以上の4人に1人が認知症および“予備群”という、予想を上回るペースで
増加する現実にどう向き合うのか。

ハートネットTVでは、
3月に引き続き、認知症のシリーズを放送します。
テーマは「認知症の人が地域で生きるためには」
福祉番組が何度も何度も繰り返し考えてきたことです。
なぜあえてこのテーマなのか。国が今目指している方向性だから、という理由は
もちろんありますが、ある個人的な経験もかかわっています。


私が住んでいるアパートに一人暮らしの女性がいました。
会うたびに笑顔で接してくださる、チャーミングなおばあさん。
デイサービスに通っているらしく、
毎朝9時になると迎えのワゴンに乗って、出かけていました。

去年の年末。おばあさんがいつもと違う行動をとるようになりました。
朝7時、私がゴミ出しのために玄関を出ると、
送迎の時刻より随分早いというのに玄関で車を待っているのです。
当時は寒い冬。特に冷え込む早朝に、ずっと外で立ち続けていました。
それ以降、毎朝のように玄関に立つ姿を見かけるようになります。
時には、おでこに絆創膏を貼っていたことも。
最初は不思議に思うくらいだった私も、
次第に「認知症なのかも?」と疑うようになりました。

私は、おばあさんの姿を見る度に挨拶をするよう心がけ
送迎時間より早い時間に外に立っている時は、
家で待つよう誘導したりしていました。
しかし今年の春、突然姿が見えなくなったのです。
カーテンは締め切ったきり、誰かが住んでいる形跡はありません。
おばあさんが、今どこにいるのかわかりません。


在宅生活を支えることはできなかった―
もっと何かできることがあったのではないか。
テレビを通して「地域で暮らす」というメッセージを
常に伝えてきた立場にもかかわらず、
 力になれなかったことにショックを受けました。


国が「住み慣れた地域で暮らす」という理念を掲げ、
5か年計画(オレンジプラン)をスタートさせようとしている今、
認知症の人と私たちが本当に安心して共に歩む社会を作るには
どうすればいいのか。
シリーズを通して、何かヒントを感じてもらえるよう、
頑張っていこうと思います。


◎番組スケジュールは(本放送=夜8時、再放送=午後1時5分)
第1回「462万人 ~自宅で暮らしたいけれど~」
→本放送:7月1日(月)、再放送:7月8日(月)


第2回「“在宅”を支えるケア ~オランダからの報告~」
→本放送:7月2日(火)、再放送:7月9日(火)


第3回「検証・オレンジプラン ~在宅支援の最前線~」
→本放送:7月3日(水)、再放送:7月10日(水)


第4回「アニメ映画「しわ」が描く“当事者の世界”」
→本放送:7月15日(月)、再放送:7月22日(月)


第5回「“わたし”から始まる町づくり」
→本放送:7月25日(木)、再放送:8月1日(木)


◎体験談を書く、感想を語り合う
 →【カキコミ板:認知症】
 

◎番組に体験談、感想を送る
 → 【番組へのお便り】(別ウィンドウ)
 ※シリーズ名「7月の特集 認知症”わたし”から始まる」を
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