上野秀樹さんからのメッセージ 『シリーズ認知症 "わたし"から始まる』
2013年03月20日(水)
- 投稿者:番組ディレクター
- カテゴリ:シリーズ認知症 “わたし”から始まる
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3/20、3/21放送の
「シリーズ認知症 “わたし”から始まる
第1回 ~日本 脱病院の模索~
第2回 ~オランダ 住み慣れた我が家で~」
にご出演の上野秀樹さんに収録の感想を聞きました。
《上野秀樹プロフィール》
精神科医。海上寮療養所副院長。
認知症の人の訪問診療を行っている。
国が目指している「在宅中心」の体制作りに取り組み、注目を集める。
Q.収録の感想を聞かせて下さい。
素晴らしい番組だったと思います。
国がオレンジプランで行おうとしているサービスが
もうすでにオランダでは行われていて、
かつすごく大きな成果を挙げていますから、
日本もやれば成果が出るということです。
また私は認知症の問題の多くは結局のところ、
認知症の人に対する社会的な支援が充実していないことが
原因なのではないかと感じています。
行動や心理状態が手に負えなくなって、
精神科に入院させざるをえないことが大きいのではないかと。
ですから今回、社会的な支援に焦点を合わせた番組ができたというのは
とても良かったです。
私の中でもこれまでの経験から
“こうなってしまっては、もう介入困難だから入院させざるを得ない”
という基準はあるのですが、
今回の番組でオランダの取り組みを見て、
基準に照らす前にまだまだできることはあるんじゃないかと思いました。
支援を工夫すれば精神科への入院ももっと少なくできる。
私たち自身の常識と思っていることや意識を変えることが
すべてのスタートかなと思いました。
Q. 「脱・病院」の模索という意味では、
まさにスタートを切った段階と言えるかもしれません。
これからよりそのスピードを加速させていくためには
社会がどう変わる必要があると思いますか。
やはりまずは私たちが認知症についてもっともっとよく知ることだと思います。
認知症の人はものすごい勢いで増えているにもかかわらず、
接する方が慣れていない人が多いので混乱状態にあるのではないでしょうか。
でも今回のようなことをきっかけに、
認知症にどう接するかということへの理解を深めていけば、
結果的にそれ以外の障害のある人との接し方を広く考える機会ともなり、
大きく社会が動いていくことになると思います。
生活していく上での障害の問題を考えることは社会の多様性を理解し、
認めることにもつながっていくのではないでしょうか。
Q.番組を見ている方にメッセージをいただけますか。
すべての人が包摂されて生きやすい社会を一緒につくっていきましょう。
認知症の問題を考えることは、
絶対にそういう社会をつくるうえでのブレイクスルーになるはず。
なぜなら誰でもなる可能性があるからです。
この問題を考えることが、新たな地域づくりのきっかけになると
私も思っています。
『シリーズ認知症 “わたし”から始まる』
第1回 ~日本 脱病院の模索~
2013年3月20日(水) 20時00分から20時29分 Eテレ
[再放送] 3月27日(水) 13時10分から13時39分 Eテレ
第2回 ~オランダ 住み慣れた我が家で~
2013年3月21日(木) 20時00分から20時29分 Eテレ
[再放送] 3月28日(木) 13時10分から13時39分 Eテレ
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