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10年前と変わっていない現実

2013年03月18日(月)

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「レビー小体型認知症」の家族会会報誌『ゆるりん通信』
家族会の会報には同じ悩みを抱える当事者同士だからこそ語れる思いが溢れています

 

『認知症の人が置かれている状況は、10年前と何も変わっていません』

先日、ある認知症の家族会の取材をしたとき、
メンバーの女性はこう話を切り出しました。
その方は10年前、父親が「レビ―小体型認知症」と診断され、
4年間介護してきた経験があります。

「レビー小体型認知症」という言葉が
耳慣れない方もいるかと思います。
実は「認知症」とひとくくりに言っても、
その背景にはさまざまな原因疾患があります。
それぞれで症状や薬の処方、関わり方なども異なります。
レビ―小体型の場合、
他の人には見えないものが見えたり、
身体がこわばったりする症状があります。
その人数はアルツハイマー病に次いで2番目であり、
実は身近な認知症のひとつです。
しかし、医師の間でもよく知られていないため
誤診や不適切な薬の処方が相次いでいます。

話をうかがった女性の父親も、
当初は別の認知症だと誤診を受けました。
「何かが違う」と疑いつつも、介護を続けた女性。
結局、別の病院を受診して正しい診断名に
たどりつくまで、2年かかりました。
違和感を覚えながらの2年間が
いかに苦しかったか。やるせなかったか。
私は黙って聞くことしかできませんでした。

「もう二度と私たち家族と同じような苦しみを
抱えて欲しくない」と女性は家族会を立ち上げ、
活動を続けています。
それでも『10年前と変わっていない』のです。
今も厳しい現実があります。

最後にお願いされたこと。
それは「現実味のある取り組みを伝えてほしい」ということでした。
認知症の人にとって厳しい地域がある一方で、
地域をあげて彼らと共に歩んでいこうとする町もあります。
その取り組みを伝えることで、
「私たちの町もこれだったらできるかもしれない」と
感じてもらえたら、少しずつ変わっていくのではないかー
そんな期待を番組に込めてくれました。

厳しい現実を変えていくための“小さな変革の息吹”を
テレビでどう伝えることができるのか。
これから考えていこうと思っています。

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