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【出演者インタビュー】荻上チキさん「議論の活性化によって、社会が変わっていくことに期待」

2016年12月27日(火)

12月15日放送
WEB連動企画"チエノバ"×バリバラ 
こんな時どうする!?障害者差別解消法」

コメンテーター・荻上チキさんからのメッセージ

写真・荻上チキ


――今月のチエノバでは、今年の4月に施行された「障害者差別解消法」について考えました。障害者と健常者との間には「差別」についての大きな“ズレ”があるようですが、どう思われますか。

障害当事者がどんな事に困っているのか、当事者たちの様々な思いが具体的に社会に伝わっていないと感じました。例えば聴覚障害だったら…、視覚障害者だったら…、というように「障害者」と一言で言ってもその障害に応じて困りごとが違いますよね。年齢や性別、諸々の条件によって、いろいろと変わってくる。だから様々な方法を用意して、誰もが生きやすい社会にしなくてはいけないんですが、まだ対応の遅れがあって、様々な当事者の声をすくいあげきれていないという状況があります。「障害者差別解消法」ができたことによって、そうした問題提起、「何が差別か」「何が合理的配慮か」の議論が活性化していくことによって社会が変わっていくことを期待したいです。

――番組では、車いす、聴覚障害、発達障害の困りごとを紹介しましたが、その他の「障害者差別解消法」に関するチキさんが気になった困りごとはありますか。

僕は、見えない障害当事者の投稿を集めることが主旨のメールマガジンをしているんです。そこに寄せられた困りごとなんですが、”見た目には分かりにくい障害“、例えば今日のゲストの大西瞳さんのような義足の方たちは、長ズボンをはいていたりすると見た目では分からないですよね。でも、義足は体への負荷が強いので、電車で優先座席に座っていると「そこは障害者の席だろう」「高齢者の席だろう」のようなことを言われたりしてしまう。他にも、甲状腺の疾患や精神障害、あるいは免疫系の疾患のように外から見えない障害によって非常にしんどい思いをしている人がいます。でも、どう助けて欲しいか、あるいは困っていることさえ気付かないので、そういう見えない障害にも焦点があたるといいですね。車いすだと移動困難がありそうだと分かりやすいと思うんですが、障害によって、分かりやすいものと分かりにくいものがあるので、そうした多様性があることを知られないといけないと思いました。

―― 一般的に「障害者差別解消法」の施行自体があまり知られていないことが番組では分かりましたが、今後、どうすれば良くなると思いますか。

浸透ですね。法律そのものの浸透。法をきっかけとして差別や合理的配慮のラインを社会的に議論することが必要ですよね。さらに障害者差別を巡っていろいろなトラブルや対立、衝突みたいなことが生じた時に、裁判や事件になることがあると思うんです。そこで議論を積み重ね、判例を重ねていくことでコンセンサスを作っていくことが必要になってくると思います。「合理的配慮」や「差別」は一見分かりづらいように思うんですが、議論をする過程の中で具体的な例が沢山紹介されています。この法律を作成する過程でも当事者が沢山参加して立法の過程に関わった経緯があるので、そうした意味でも法律の意味をより理解する、分かりやすく伝える、その両面の努力が必要になってくると思います。

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