本文へジャンプ

【出演者インタビュー】荻上チキさん「"場面緘黙"の理解を広げて、偏見を取り除く必要がある」

2015年06月23日(火)

20150528_ogiue.jpg

5月28日放送(6月4日再放送)
WEB連動企画“チエノバ”
―話したいのに、話せない…“場面緘黙”を知っていますか?―
ご出演の荻上チキさんにメッセージをいただきました。



《荻上チキさんプロフィール》
1981年生まれ。評論家。ニュースサイト「シノドス」編集長。メディア論をはじめ、政治経済や福祉、社会問題から文化現象まで幅広く取材し分析。著書に『ウェブ炎上』『ネットいじめ』『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』など。

――収録の感想を教えてください。

今回は「場面緘黙」というなかなか注目されてこなかった症状を見ていきました。生放送中、Twitterには「昔の自分はこれだった」とか、「自分の子ども・教え子がそうです」という声が多く集まってきていましたし、きっとその背後にはもっとたくさんの方がいらっしゃると思います。もともとカキコミ版には当事者の方からたくさんのメッセージが届いていたので、やはり悩んでいる方や関心を持っている人は一定数いるんですよね。でも、大きく取り上げられることは少なく、理解もなかなか進まなかった。そういう意味でもぜひまたこのような企画を作って、情報発信をしたいなと思いました。


詳細は「続きを読む」をクリックしてください > > >  
 

 

――場面緘黙という症状を学校の先生や周りが知らないがゆえに、嫌な言葉を浴びせられたり、つらい経験をしたりしたという話もありました。

そうですね、たとえば学校側が「そういう子は矯正すればしゃべれるようになるはずだ」という前提のもと、みんなの前でしゃべらせることを繰り返したり、話せないと叱ったりするようなケースもあるんです。場面緘黙の子どもの中には、成長するにつれてしゃべることができるようになる人もいます。でも、学校の先生は、話せるようになったのは自分の指導の成果だと捉えて、「ほら、繰り返し教えればしゃべることができるようになったでしょ」と成功体験として学んでしまう。本来だったらもっと早く話せるようになっていたかもしれないし、その指導が余計にトラウマを与えているケースがあるにもかかわらず、それに気づかないまま接してしまうことがあるわけですね。だから、まずはいろんな偏見や先入観を取り除く必要があると思います。

――この番組で場面緘黙という症状を知った学校の先生や親御さんは、どのように接することが大切なのでしょうか。

番組中にもふれましたけども、「こうあるべきだ」という姿を子どもの段階で求めすぎている気がするんですね。嫌なことがあったらイヤと言う、ありがたいと思ったらありがとうと言う、というのは、社会に出るまでにゆっくりと学んでいけばいいし、その子の成長の段階に合わせて手に入れていけばいいと思うんです。でも、5歳、6歳の段階で「みんなの前では大声でしゃべりましょう」とか、「みんなで同じことをコール・アンド・レスポンスで言いましょう」とか、あれもこれも詰め込んでいるし、そういう行事も学校に多くある。場面緘黙の子にとって、それらは苦痛でしかないんだけども、“できない人は場を乱している”という論理で責められたりします。でも、みんなで同じことを言わなければ場を乱していると責められる場面なんて、大人なると基本的にはないですよね。それなら学校にそんなものはいらないんじゃないかと思うんです。だから、この番組をきっかけに、「実はこの子、場面緘黙なのかな」というだけじゃなくて、「そもそもこれをする意味はあるのかな」とか、「これをこの段階で必ずやらせなきゃいけないのかな」という根本から問い直してみてほしいと思います。

――カキコミの中には、場面緘黙の“大人”の方もいらっしゃいました。そういった方にはこの番組をどのようなきっかけにしてほしいですか。

場面緘黙という言葉を知ることによって、同じ当事者とつながったり、専門機関につながったりしやすくなります。自分の“当事者性”を知ることは、つらい状況から一歩進む大きなきっかけになると思うんですね。そして、自分はどういった場面になると話せなくなるとか、この人の前なら話せるということを分類したり、“自分の取扱説明書”みたいなものを作ったりするためのヒントにしていただければなと思います。


【関連情報】場面緘黙について
「場面緘黙」もっと知りたい人のために(専門家へのインタビュー)
「こころの支えになったこと」「言われて嫌だったことば」~場面緘黙(かんもく)、当事者・家族の"声"から~
”場面緘黙(かんもく)の悩み、ありますか?ーーハートネットTV・カキコミ板
・場面緘黙についての様々な情報はこちら (当事者・保護者・支援者向けの情報交換サイト)
  “かんもくネット” (外部リンク・NHKを離れます)
  “かんもくの会”  (外部リンク・NHKを離れます)

コメント

※コメントはありません