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みんなが笑顔になれる場所

2017年03月29日(水)

今から3年半前。私は、岩手県の沿岸部、山田町にいました。
東日本大震災で被災した家屋が町の半数を超えるなど、大きな被害が出た山田町。仮設住宅で暮らす子どもたちの様子はどうか。番組のロケで訪れたのが、放課後の中高生の居場所となっていた「ゾンタハウス」でした。子どもたちは仮設住宅での暮らしのため、勉強に集中できる時間や空間を十分に確保できる状況になく、地域の人たちが空き店舗を改装して自習室を提供。勉強を教えたり、パンなどの“おやつ”も無償で準備したりして、子どもたちの心と体を支えていました。


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「今、子どもたちはどんな様子か」。この3年半、ずっと気になっていました。
盛岡からバスで3時間。久しぶりに訪れた山田町。中心部を見渡すと、整地された区画が増えていましたが、見える範囲での復興はまだまだのような気がしました。建設機械が次々とすれ違う中、歩く先に見えてきたゾンタハウス。到着すると、静かな住宅街にあるのが嘘のように、室内は活気があり、大変にぎやかでした。

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この外観は変わらず。懐かしさがこみ上げます。

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カフェ開催を知らせるポスター。
もちろん手作りです。


私が訪ねた当時、中学生だった子どもたちは、今、高校生。
その高校生たちが集まって、「自分たちがやれることをやろう!」と、月に数回、カフェを開いていたのです。この日は高校の部活動の合宿で参加できない人もいましたが、立ち上げからこの施設を支援している東洋大学の学生とともに、次々と訪れる“地域のお客さん”に、食べ物や飲み物をふるまっていました。

カフェを訪れたお年寄りからは、「オープンする日を楽しみにしています。手作りで驚きました。長く続いてほしいです」。「同じ悩みがある人たちで、こうした場所で話せるだけでも救われます。月2回あるだけで、憩いの場になっています」、と地域になくてはならない場になっていました。

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大盛況!開店前に待っていた人も。


テーブルをまわって注文を取り、できた食べ物や飲み物を運ぶなど大忙しの“スタッフ”。中学1年からゾンタハウスを利用してきた、佐々木麗緒(りお)さんと髙村侑奈(ゆうな)さん(いずれも高校2年)は、「たくさんの人に支援してもらったので、恩返しをしたい。カフェは楽しいし、逆に元気をもらえる。山田町をどんどん元気にしたい。」


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厨房に入る佐々木麗緒さん。
笑顔で一つ一つ、丁寧に作業。


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美味しく、かわいく、手ごろな値段で食べられると、大好評!



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ラテアートのサービスをする
髙村侑奈さん。
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お客さんの似顔絵やかわいいデザインに
「もったいなくて飲めない!」という声も。




スタッフが少なく応援に来た、という佐々木一史さん(高3)は、「ここは自分にとっても大事な場所です。震災で母が亡くなり、今も気持ちを切り替えようとしている途中ですが、大学では建築を学び、卒業後は地元に戻って復興に関わりたいと思っています」



20170329_yamaken009_nhklogo.JPGこの日はコーヒー当番の佐々木一史さん(右)。指導を受けながら、淹れ方もだんだん上達していきました。


“「地域に支えられていた」存在が、「地域を支える」存在になる”
子どもたちは、すっかり頼もしい存在になっていました。その姿に、私も元気をもらいました。

山田町ゾンタハウス代表の竹内範子さんは、「高校生の潜在能力に驚いています。自分たちでメニューを考えました。接客が上手い人、看板やメニューを書くのが得意な人など、特長を生かしてお互いを配置するんです。初めは「原価」という言葉すら知らなかった子どもたちでした。チャンスを与えれば伸びる、ということを強く感じています」と、カフェを始めてからの子どもたちの成長を目の当たりにしているそうです。

来てよかった。
またいつか、この地を訪れたいと思っています。
そして、一段と成長した彼らに会えたら。

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竹内範子さん(上段一番左)と、東洋大学社会学部社会福祉学科森田ゼミの大学生のみなさんと。“お姉さん”である大学生とは定期的に交流していて、「教えてくれたり、相談に乗ってくれたり、遊んだり。うれしいし、頼りにしています」




コメント

山田様

興味深い取材記事をありがとうございました。ゾンタハウスは森田ゼミの娘が2011年にお手伝いをした場所で、私も昨年、夫と母と訪ねましたので、とても嬉しく拝見しました。「被災した子どもが町を助ける側になる」様子が伝わる、素晴らしい記事です。これからも応援してください。

投稿:万智子 2017年03月29日(水曜日) 21時21分