刑務所に戻りたかった・・・~累犯障害者の現状~
2013年11月27日(水)
先日、累犯障害者のケアを行っている医療機関の講演会に行ってきました。
軽度知的障害や精神障害があり、犯罪を繰り返してしまう「累犯障害者」。
法務省の調査では、全受刑者のうちおよそ1/4に
知的障害の疑いがあるというデータが出ています。
ハートネットTVでも、去年12月(アンコール放送:今年2月)に
特集しました。
シリーズ 罪を犯した障害者と向き合う
(1) もう刑務所には戻らない
(2) 福祉が変わる 司法が変わる
医療機関のスタッフが累犯障害者10人に聞き取りをしたところ、
よく出てきた言葉は、
「刑務所に戻りたかった」
では彼らから見て、刑務所はどんなところか。
6つの機能・役割にまとめられるとのことでした。
① セーフティネットとしての刑務所
→3食付き、屋根がある、路頭に迷わない
② リセット機能としての刑務所
→塀の外での生活がうまくいかないと、捕まって刑務所からやり直せる
③ 懲役者どうしの安堵感
→思いを共有できる仲間がいる、という安心感。
④ 自己治癒としての刑務所
→刑務所にいた方が健康。
⑤ 「指示に従っていれば大丈夫」という安心感
→刑務所の外では、自分で考えて生きていかなくてはいけない
⑥ 資格取得のための刑務所
→時間に余裕があり、資格取得や読書に割く時間がたっぷりある
―医療機関主催の講演会資料より
なるほど・・・。(と納得するのも、何だか複雑ですが)
つまり、彼らにとって“居心地がいい”。
塀の外の世界の方が「生きづらさ」を感じているのでしょう。
コミュニケーションの力、自分の状況を把握する力など、
実社会で生き抜く力が十分でないために、“居場所”を失ってしまう…。
法務省の「犯罪白書」によれば、
およそ4割が1年以内に再犯をしています。
対策として、今、出所する前から刑務所で本人をアセスメントし、
出所した時点ですぐに福祉につながるようにする
取り組みも始まっています。路頭に迷わないように・・・。
講演会の様子。検察や警察、医療機関、行政などの関係者が多く参加していました。
だまされやすく犯罪組織などに取り込まれやすいという状況は
男性の知的障害者に多い一方で、
女性の実態はどうなっているか。
ハートネットTVでは、12月、
「軽度知的障害の女性」に焦点を置いた番組を放送します。
これまでなかなか表に出てこなかった問題です。
周りから理解を得られず、孤立しやすい。
一方で、自分を理解してくれると“思った”男性から、
性産業などで利用されやすいという現実。
やさしくされ、ほめられ、
「他人のために役立っている」と喜びを感じる女性もいます。
これをどう感じるか。本人がよければいいのか。
本来持っていた希望が打ち砕かれて、今に至っているのならば、
見過ごすことはできないのではないか。
番組を見て、みなさんの感想を聞かせてください。
【放送予定】
Eテレ・ハートネットTV
”見えない世界”に生きる知的障害の女性たち
本放送:2013年12月10日(火) 夜8時00分~8時29分
再放送:2013年12月17日(火) 午後1時5分~1時34分
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