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国を開く、とは?

2013年04月15日(月)

みなさんは、“ジョン万次郎”という、
およそ150年前に活躍した実在の人物をご存知でしょうか。


土佐出身の、本名、中浜万次郎。
彼は、日本人として初めてアメリカ大陸に降り立ちました。
「鎖国」の時代にアメリカの文化と出会い、
「これでは日本は世界に遅れてしまう」という危機感から、
日本の“固い扉”を開けようとした人物です。


先日、ジョン万次郎を題材にしたミュージカルを見に行ってきました。
開国への思い。
その根底に拡がる、日本人の「外国人への偏見・無理解」
打ち破ろうという気概。
一人一人の心の中という、言わば見えない敵との戦いは、
かなり厳しいものだったと想像できます。


彼は各地で講師としてアメリカの文化などを語り伝えました。
坂本龍馬ら幕末の偉人も
万次郎から聞いた世界観に影響を受けたと言われます。
そして万次郎の説得で、
江戸幕府は200年あまりの鎖国に終止符を打つことになるのです。

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ミュージカル「ジョン万次郎の夢」 ※資料提供:劇団四季


ミュージカルを見ながら、
その2日前に参加した、あるセミナーを思い出していました。
テーマは、「日本の難民を知るセミナー」
日本における難民の受け入れの現状を報告する会です。


内戦や紛争、圧政などで逃れてきた人など、日本にも多くの難民がいます。
去年(2012年)は、難民申請者数2,545人のうち、
実際の認定者数は18人で、認定された割合は0.7%(法務省入管管理局統計)。
先進国の中では、圧倒的に低い認定率です。
さらに、高い医療費、言葉の問題、就労が難しい、低い賃金、
住居探しの困難など、難民の方たちは“生きる”ことに精一杯だと想像できます。


また、長年この問題に関わっている医師によると、
入管法違反の外国人を収容している施設は、
収容環境や医療環境、さらに人権侵害と取られかねない行為が問題
となったこともある、と話していました(当事者への聞き取りによる)。


なぜ、日本人は“閉鎖的”なのか。
医師は大きな理由として、
日本は“鎖国”“島国”という、歴史的・地理的な背景があり、
異文化に対する拒否反応が大きいのでは、
と話していました。
均一な社会を維持すれば統治しやすい、
難民受け入れでの経済的負担への拒否感などの理由もあるといいます。
私自身、日本人ゆえその精神風土は自覚できる部分もあるが、
だからといって排除する言い訳にはできないという気持ちがあります。


話は戻り、江戸時代。
すでにジョン万次郎は、こんなことを信念としていました。
「開国することも大切だが、もっと大事なのは人々が世界に目を向けて
大きく心を開くことだ
」。


その通り。
現代にもあてはまる。
でもそのために、この時代、私たちにもっとできることはないだろうか


※4月17日(水)(再放送24日(水))
 アンコール放送「日本で暮らす無国籍者たち」

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