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ブレイクスルー
File.6 弱点を笑い飛ばす 発達障害の漫画家・沖田×華

この放送回の番組まるごとテキストを掲載しています

  • 2014年5月26日(月曜)再放送2014年6月2日(月曜)

出演者
風間 俊介さん(俳優)
安藤 桃子さん(映画監督)
沖田 ×華さん(漫画家)
オープニング・エンディング音楽:若旦那さん(歌手)

ブレイクスルー  File.6 弱点を笑い飛ばす 発達障害の漫画家・沖田×華 の番組概要を見る

注目の赤裸々漫画家・沖田×華

(VTR)

友人(漫画):「キャ~!!また鍋を火にかけたままにして~!!」

沖田(漫画):「えっ、うそ!?」

友人(漫画):「これで何回鍋ダメにしたの?私がいない時は絶対に使わないで!!」

沖田(漫画):「何回も台所を横切っていたのに、15時間火が付いているのに気づかないって…。来月のガス代を考えると夜も眠れません…」

人づきあいが苦手だったり、注意力が欠けていたり、発達障害のリアルな日常を描いた漫画が今、ひそかなブームになっています。 
その魅力はつらいはずの失敗体験なのに、なぜかクスッと笑える事。

ファン1:笑えて 卑下しているんじゃなくて、障害を笑いに変えているところがすごく好きです。

ファン2:あ~すごくわかるっていうふうに、共感することができます。

発達障害のある漫画家沖田×華さん。 
壮絶ないじめ、自殺未遂…。 
つらい過去をあえてさらけ出し、漫画で表現してきました。

沖田:泣いちゃうと仕事ができないから、涙より本当に怒ってる方が多かった。
コノヤロ、コノヤロと思って描いてました。

自分の弱みを笑いに変える事で見つけた、沖田さんの新たな人生とは。

(VTR終了。スタジオでのトーク)

風間:赤裸々に自身の体験を漫画に描いてきた沖田さん。
そして、その作品がこちらです。

安藤:全部ぶっちゃけて描いてきていらっしゃる、沖田さんの作品なんですけど、私、大ファンで。
ここにある「ガキのためいき」という作品を読んだ時から大好きで、怒ってる事を笑いに変える事で「何クソ!」っていう。そういうテンションでスカッとするんですね、読んでると。

沖田漫画 やらかしの日々&漫画制作

(VTR)

沖田さんが漫画に描いているのは自分自身の ごく普通の日常生活。
その毎日を少し見せて頂きました。
ここは、沖田さんの自宅。
片付けは大の苦手。
発達障害のひとつ、「ADHD」の特徴です。

沖田:あ~、もう恥ずかしい。
すいません!パンツがある!
すいません、すいません、何か…。

…と言っているそばから。

沖田さんの仕事場は自宅から歩い10分。
築47年、家賃4万5,000円のアパートを借りています。

取材者:青いですね。

沖田:あっ、そうですね。

じゅうたん、カーテン、小物に至るまで青一色。
特定のものへの強いこだわりも発達障害の特徴の一つです。

取材者:この中で一番お気に入りの青色はどれですか?

沖田:これと、これと、これと…え~っと…。
あと、このゴミ箱の色とかも好き。
ちょっと濃いけど、ほんの少し濃いけど、本当はこの色だったらいいのにっていうのがあって、なんかちょっと違うけど、こうやって比べると特に分かるんですけど。

沖田さんには、人の気持ちを読み取るのが苦手なアスペルガー症候群の特徴もあります。
例えば…。

友人(漫画):「今の仕事、やめたくて~」

友人が愚痴を聞いてほしくて発したひと言に…。

沖田(漫画):「だったらやめれば?」

相手の真意が分からず、言葉どおり受け取って怒らせてしまうのです。
そんな失敗を避けるため沖田さんが作ったのが、初対面の人との会話マニュアル。

沖田:これは私の頭の中のマニュアルを形にするとこういうふうになりますよっていう。
特に初対面の人のマニュアルっていうのを書いてます。
飲み会とかでよくあるノリについて、この3原則。
真に受けない、待たない、期待しない。
そのノリで言ったことに対して。

取材者:どういうことですか?

沖田:例えば 「今度遊びに行こっか」とか、そういう楽しい話をふってきた時に、向こうから言ってきたから向こう連絡するのが筋じゃないですか。
だから私は待ってるんです。ずーっと。
で、傷つくんです、勝手に。無視されたって、約束したのに、行くって約束したのに、向こうは忘れちゃってるんですよね。お酒の席だから。
でも、私はそういうことをずっとずっと覚えていて、1年待っていた時があったので。

取材者:1年?!
でもちょっとわからない。
相手になんで確認できないんですか?

沖田:してもいいんですかね?してもいいのかな?

更に沖田さんは突然予定が変わったり、生活のリズムが狂う事がとっても苦手。
毎日取材のカメラにつきまとわれて、内心パニック状態。
何だか集中できない様子です。

沖田:もしもし。お疲れ様です。はい。

いつもならすんなりOKが出る下書きもこの日は…。

沖田:はい…ありがとうございました。
ボツ!あー!チキショー!!
今度でギャフンと言わせればいいんだな。

それでも、こうした失敗をネタにしてしまうのが、沖田さんの得意技。

沖田:なんかマイクが猫じゃらしみたい。

沖田(漫画):「アスペルガー持ちの沖田です。なんと今カメラが入っていま~す。しかし、6畳に4人もいるせいか落ちつかず、なかなかネームが進まず。すぐ通るはずのネームもボツだらけ。次の日、体が動かなくて撮影キャンセルしてしまいました…。毎日はムリ…」

沖田:笑ってほしい。
かわいそうとか、そういうのはそれだけで終わっちゃう。
終わっちゃうって言うか、多分 私にとっては発達障害ってそういう感じではないんで、同情されたりとかそういうのとはちょっと違うから。

沖田トリセツ漫画

(VTR終了。スタジオでのトーク)

風間:漫画家の沖田×華さんです。

3人:よろしくお願いします。

風間:沖田さん。この番組のために、私の取説というのを描いてきて下さったと…。

沖田:そうなんです。

風間:見せてもらってもいいですか?

沖田:前振りがありまして、これは前日なんですけど、すごく緊張するんですね。初対面の方。
第一印象の言葉はどうしたらいいんだろうって、来た時にいつもの私だったら見た印象しか言えない特性があって、「やっぱり若い」とか「顔ちっちゃい」とか、そういう事じゃないんだよっていうのを昨日もんもんと考えて全く眠れませんでした。

安藤:自分が登場してるのがめちゃくちゃ、私はファンとしてはうれしいです。

沖田:本当ですか。
もし私がこの場で大失敗した時、2パターン考えてきまして、すごい失敗したパターン1。
顔にモザイクをかけてほしいなというふうに思ったのと、パターン2はもう私は登場しなくていいから、スケッチブックに私の自画像だけ ポンって置いて、音声は別撮りで別の所でしゃべってて、2人はここで会話するみたいな感じでやったらあんまりトラブルがないのかなっていう。

安藤:それ面白そうです、パターン2。

風間:絵から声が聞こえるっていう。

漫画でさらけ出すまでフタをしてきた過去
いじめ、発達障害、自殺未遂

(VTR)

日常生活のさまざまな失敗を笑いに変えてきた沖田さん。
しかし、最初それは苦しみでしかありませんでした。
自分のどこが悪いのか。
最初に壁にぶつかったのは小学校の頃でした。

沖田(漫画):「当時、私はクラスで一番忘れ物が多かった」

先生(漫画):「明日は絶対に忘れないって約束しなさい!!分かった!?」

沖田(漫画):「え~?絶対って100%ってことでしょ?3日連チャンで忘れたから気を付けたいけど…それを100%忘れないという自信がないので、絶対とは 言いません」。
「そしてクラスで一番先生に嫌われてしまいました」

理由も分からず叱られいじめられ続けた学校生活。
そして何よりつらかったのは、大好きな母親にも理解してもらえなかった事でした。

沖田:(母から)「人の前で変なことしないで!」
変なこと、なんだろう?
とにかく「こういうことをしたら恥ずかしい」っていうのをすごく言われてたから、恥ずかしくない娘になりたかった感じです。

沖田:もういいやって私こんだけ働いたから、こんだけいっぱいいろいろしても、これがずっと一生続くのかなって思ったら。

取材者:これが一生続くっていうのは?

沖田:私、ずっと叱られて生きていくのかしら?
国家試験とって、看護婦までなっているのに、いい所の病院に入っているのに、なんか全く変わらない。

そして22歳のある日。
同僚からのひと言がきっかけで張り詰めていた糸が切れました。

同僚(漫画):「もうマジでジャマ!死んでしまえ」

本当に自ら命を絶とうとした沖田さん。
結果は未遂に終わりました。

他人のためではなく 自分の人生をもう一回 生き直したい!

(VTR終了。スタジオでのトーク)

安藤:死ななくてよかった。

沖田:本当ですね。運がよくて。

風間:でも死にたいと思うまで追い込まれて、何か気付いた事ってありますか?

沖田:今までずっと母のためとか、仕事のためとか、同僚に迷惑かけないためっていって、結構人の事ばっかり考えて、行動して空回って傷つくっていうパターンだったんですけど、何か私、自分のためにまだ生きてないような気がしたんですね。
22歳だったから、もうちょっと楽しい事してから死にたいとか思って。
少し自分に対しての自分の人生を、もう一回生き直したいとかって思って。
それから今死ななくてもいいんじゃないかなっていう結果に至って。
それからはやってません。
やってませんっていうか…。

風間:よかった。

沖田:よかった。

師匠と出会い、漫画で書く苦く苦悩

(VTR)

もう人の目を気にしないで自分のために生きよう。
故郷を出た沖田さん。
自分に自信をつけるためにまず思い立ったのは、誰よりもお金を稼ぐ事。
そのために選んだのが風俗の仕事でした。

取材者:抵抗はなかったんですか?

沖田:全くないです。
仕事とか全然できないけど、お金はこんなに稼げるよっていう、自分の取り柄みたいなものが、とにかく欲しくて、それが貯金がどんどん上がっていくと、うれしいというか。
それは自分だけの自己満足なんですけど。
一生懸命、そういったお金を通して自分の価値とかを見ていたような気がします。

しかし、貯金が増えていく一方で、お金だけでは心が満たされない事に次第に気付いていきました。
そんな時沖田さんに転機が訪れます。
ある漫画家と出会い、意気投合。
これまでのつらい経験を話したところ、驚きの言葉をかけられたのです。

桜壱(漫画):「お前、漫画家になれ。絶対向いてるから」

沖田さんの波乱万丈な人生は、漫画家として大きな武器になると感じた桜壱バーゲンさん。

桜壱:ネタだらけだなっていう。ネタだらけ女だなっていう。
沖田の過去の話をこのまま発表しないのはもったいないな。
自分の経験で漫画を描くエッセイ漫画家っていっぱいいるんですけども、そういうエッセイ漫画家になれるんじゃないかなって思ったんですよね。

あなたは普通じゃない。
子どもの頃から否定され続けてきた人生。
それを全てひっくり返す、桜壱さんの言葉でした。

沖田:私の存在自体が面白いって言われたのが、桜壱さんが初めてかな。
今まではちょっとマイナスイメージばっかりだったから。
ダメだダメだって言われてたのに、その人生がとっても面白いって言って。
「はっ、面白いんだ」って言って。「へえ~」って言って。

風俗の仕事を辞め漫画家になると決めた沖田さん。
しかし、自分の過去を描く事は簡単ではありませんでした。
思い出すのも嫌で蓋をしてきた記憶と向き合う日々。
時折、また死にたいという思いが頭をよぎるほどつらい作業になりました。
そうして描き上げた作品が「ニトロちゃん」です。
この作品を通して、自分自身と向き合い続けた沖田さんにはある変化が生まれました。

沖田:ダメな部分とかも全部自分だから、悪いところを受け入れるっていうのはすごく勇気がいるし、とても難しい事なんですけど。
でも作品をこうやって通していって、ちょっとずついいのかなって。
私みたいな人でもこうやって描いてく事によって、存在とか…認めてほしいじゃないけど、いてもいいのかなとかってちょっと思うようになりました。

師匠からの言葉

(VTR終了。スタジオでのトーク)

風間:沖田さん。師匠から「お前、絶対向いてる。お前面白い」って言われたのって、やっぱり「目から鱗」でしたか?

沖田:すごいびっくりしました。
今まで私の話を聞いてて、かわいそうって言う人はいっぱいいたんですけど、面白いっていう感想を聞いた時に「え~」って。

安藤:描き始めた時やっぱりつらかった。 
自分の嫌なところをもう一回見つめてえぐっていくような、内臓を見せていかなきゃいけないって。
その作業の中で、どうやってそれを転じていく力にできたんですか?

沖田:そうですね。当時子どもだった時、何かすごい言いたい事がいっぱいあったんですけど、子どもなのでやっぱり言葉が少ないんですよね。
この少ない言葉の中で…当時の私はどうしても助けてほしかったんだけど言えなかったので、そういった事が本を描いた事によって…成仏って言ったらおかしいですけど、願いが達成されたのかなっていう。
そういった感じもします。

新たな挑戦 漫画が人の役に立つ

(VTR)

4月上旬、沖田さんにある依頼が来ました。
大学の講義で、発達障害について話してほしいと頼まれたのです。

沖田:どうしよう。すごい気をつけないと、いろんなことに。
緊張してきた、どうしよう。

少人数でもコミュニケーションが苦手な沖田さん。
大勢の学生の前で話すという依頼に、もうパニックです。
小学校以来嫌な思い出しかない学校や先生は大の苦手。
今日は勇気を振り絞って足を踏み入れます。

沖田:失礼します。
あっ、どうも。初めまして。

いとう:こんにちは。初めまして。

講演を依頼したいとうたけひこ教授。
発達障害や精神疾患の患者の心理を研究するために、当事者の漫画を活用しています。

いとう:漫画の表紙と同じですね
個人的にファンでもあるんで、大変うれしいです。

沖田:教師の人がファンって、なんか信じられないですね。

得津:私の存在自体が面白いって言われたのが、桜壱さんが初めてかな。
今まではちょっとマイナスイメージばっかりだったから。
ダメだダメだって言われてたのに、その人生がとっても面白いって言って。
「はっ、面白いんだ」って言って。「へえ~」って言って。

この日、講義に出席した学生は350人。
中にはカウンセラーとして、学校や病院で働く事を目指す人もいます。
沖田さん、緊張が隠せません。

いとう:ご本人に説明していただくということで、沖田さんちょっと前に出ていただけますでしょうか?
お願いします。では拍手で迎えて下さい。

沖田:初めまして、よろしくお願いします。
ちょっと一番多いのが、言われたことしか出来ない特徴がありまして。毎日やる動作でも一般の方は普通にできるんですけど、私の場合は 言わない事に対しては何年たってもやらないので、そういったことで教師とかには大変目をつけられていたということがあります。

発達障害の当事者の気持ちを分かってほしい。
90分間、一生懸命話しました。
終了後、学生から質問が。

学生:自分の近くにそういう障害の子がいまして、例えば実体験の話でいいんですけど、こういう関わり方されたら嬉しいとか、そういうことってありました?

沖田:話しかける時に、誰に言っているのかをわかりやすくっていうか、例えば普通の話をしてても、名前を言いながら話すと私の場合は結構伝わったりするので。

自分の体験が誰かの役に立つかもしれない。
沖田さんは新鮮な驚きを感じていました。

母からの手紙

(VTR終了。スタジオでのトーク)

風間:沖田さん、この大学の講義を終えてどう思いました?

沖田:いまだにドッキリだって思ってます(笑)。
いや、だってねえ…看護師をしてた時よりも役に立ってるっていうのもおかしな話なんですけど。

風間:実はですね、沖田さんにないしょでお母様から手紙を受け取ってきていますので、代読させて頂きます。

沖田:マジですか?

風間:はい。

風間(代読):×華ちゃんへ
突然手紙なんてさぞびっくりしたでしょう。
お母さんも話しがきた時は、本当に驚き、最初は断りましたがこんな機会もないな、と思い引き受ける事にしました。
小さかった頃を思い返せば、確かに言葉より行動が先で三輪車に乗りたいと思えば乗っている子を突き落として奪っていくような子でしたね。
クラスの子や先生から問題視されている事は解っていたけど、あなたがちゃんとしないから、勉強頑張らないからって机に向かわせては叱ってばかりいましたね、かわいそうな事をしたと思います。
でも、あなたの書く漫画で勇気が持てた、励まされた、と言ってくれる人達がいる事、理解をしてくれる人が一人でも増えてくれるなら、人の役立つ事をしているんだな、と思えるようになりました。
たくさんの人に理解してもらい応援してもらってるんですね。
あなたが元気で笑顔で頑張れるよう願っています。
母より

エンディング

(VTR)

自分の体験を、もっと誰かのために。

沖田:お邪魔しま~す。

この日 訪れたのは、発達障害の人たちが集まるカフェ。

男性:どうも初めまして。こんにちは。
よろしくお願い致します。
じゃあ、こちらの…。

インタ―ネット放送を通して、全国の発達障害の人に情報を届ける。

男性:3、2、1。

いよいよ放送開始。

男性MC:はい!始まりました。という事で、「バリバラ」じゃない…「バラバラ」始まりました!
よろしくお願い致します。

沖田:こういった公開的な…こういうのが、本当に生まれて初めてなのですごく緊張しているんですけど…。

この日のテーマは「相手を傷つけない会話テクニック」。

沖田:一番、言いやすくて、相手が不快に思わない言葉が「なるほど」、「なるほどなるほど」って言えばいい。
あと「そうですね 」。
そういったことを何回も続けていくと、例え自分が話をわかってなくても話が止まったりしないんですよ。

男性MC:人の話を聞いて納得してる感じの持っていき方ですね。
私も結構あるんですよ。
人の話をうまく聞き取れなくて、聞いてるふりをしないと、話が進まないですよ。

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