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福祉Q&A

バリアフリー

質問:1. 今秋、施行される見込みの「新バリアフリー法」。注目点は?

回答:

建築物に関するバリアフリーの基準を定めた「ハートビル法」と、公共交通機関に関する「交通バリアフリー法」を一体化した法律が「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」、通称「新バリアフリー法」です。「新バリアフリー法」は国会に提出されており、2006年秋に施行される見込みです。

生活環境から障害を受けている人すべてが法の対象に

高齢者や身体障害者のためだけでなく、子育て中の母親なども含め、生活環境から障害(バリア)を受けている人すべてが法の対象になります。

バリアフリー整備は「点から面へ」

これまでのバリアフリーは、建物だけ、交通機関だけと分けて考えられてきたため、これらを結ぶ部分が利用者にとって不便なことがありました。法律が一体化されると、建物・道路・交通機関などをひとまとまりとして整備を考えることができます。

市民や利用者はバリアフリーのまちづくりを提案できる

市民や利用者はバリアフリーに関して市町村に提案でき、市町村はそれを実施すること、できない場合は理由を説明する必要があることが盛り込まれました。行政まかせのまちづくりではなく、市民にも責任が求められるという意味合いもあります。

罰則を強化

法律で定められた基準を満たしていない事業者などに対する罰則が強化されることになります。単純に事業者に対する警告だけではなく、「バリアフリーは、行うべきもの」として、国民全体の意識の変革を促す意図があります。

2006年5月1日放送より

質問:2. バリアフリーのまちづくり、取り組み例を教えて!

回答:

岐阜県高山市は伝統的な古い町並みが人気の観光地です。高齢化率が高いことに加え、年々減っている観光客を呼び戻すため、「福祉観光都市」を目指して10年前から地域一帯でバリアフリー化に取り組んでいます。障害のある人にとって便利なまちは市民にとっても住みやすいまちづくりにつながっています。
高山市が行っているバリアフリー対策は、道路の改修や多目的トイレの設置のほか、ホテルやタクシーなど民間事業者への補助などがあります。また、まちづくりの成果を確かめるために、年に2回障害のある人を招いてモニターツアーを実施し、アンケート結果をもとに継続して改善を行っています。

道路は段差をなくし、歩道の幅を広く

車道と歩道の段差をなくし、歩道の幅を広くとっています。車道が狭く、車が通りにくいので減速することになり、車と歩行者が接触するという心配はありません。また、道路のわきの溝には、ふたをかぶせて凸凹を減らす工夫もされています。

市内のいたるところに「車椅子トイレ」または「多目的トイレ」を設置

市内の約40か所に「多目的トイレ」が設置されています。「多目的トイレ」では車椅子でも楽に使える広いスペースはもちろん、子どもも高齢者も使える広さのおむつ替えシート、人工ぼうこうや人工肛門の使用者が利用できる設備もあります。

民間事業者のバリアフリーへの取り組み

バリアフリー対応の客室を持つホテルもあります。客室は高齢者や視力障害の人に配慮した大きなボタンのプッシュ式の電話や、車椅子に座ったままかけられるハンガーを設置しています。また、車椅子のまま入浴できる大浴場などもあります。

2006年5月1日放送より (2007年6月情報更新)

質問:3. 車いす利用者にとって、駅のエレベータは使いやすい?

回答:
設置数が増え、車いす利用者の行動範囲が広がる

障害者やお年寄りに配慮した「バリアフリー」の公共施設の設備は、トイレや階段など、身の回りの様々なところに整えられています。2000年に「交通バリアフリー法」が施行されたことにより、バリアフリーの設備はさらに普及してきました。
駅のエレベータもそのひとつです。駅にエレベータが増えたことで、車いす利用者の行動範囲は大きく広がりました。
例えば、JR・私鉄・地下鉄を合わせて12の路線がある東京・新宿駅は、ほとんどのホームにエレベータが設置されていたり、駅とつながっているビルが多くあるなど、車いす利用者には便利な駅です。
しかし、夜になると様子が変わります。各エレベータの管理が駅とは限らないため、稼働時間がまちまちで、電車が動いている時間でも止まってしまうエレベータがあるのです。あらかじめエレベータがある場所や、稼動時間がわかっていないと、長い距離を移動しながらエレベータを探しまわることになります。

車いす利用者の立場になって考える

駅のエレベータの設置が比較的進んでいる新宿駅でさえ、利用者にとっては不便な点があるのが現状です。設備を整えると同時に、利用者の立場に立った管理や運用の必要があります。

バリアフリーが確保された駅

大阪市営地下鉄・なんば駅では、地下街に隣接するビルとの協力体制のもと、始発から終電まで利用できるエレベータが8カ所あります。ビルの営業時間終了後もエレベータは稼働しているのです。

2005年11月22日放送より

質問:4. 視覚障害者のための音響信号について教えて!

回答:
音響信号から流れる音には種類がある

「音響信号」は、音が鳴ることによって、青信号を知らせるものです。音を頼りに暮らす視覚障害者にとっては命綱と言えます。流れる音には、メロディが2種類と、鳥の声が2種類あり、信号によって異なります。
鳥の声は、前後の信号機から交互に音が出る「鳴き交わし方式」で、進行方向がわかりやすいという利点があるため、現在、音響信号の8割以上を占めています(2006年3月末現在約90%)。しかし、「鳴き交わしには『間』があり、いつ終わるかわからなくて怖い」など、利用者によって使いやすさが異なるのが現状です。

音響信号の不便な点

音響信号を利用するための視覚障害者用押しボタンは、原則として、横断歩道のすぐ脇の柱の手の届く位置に設置することになっています。しかし実際は、利用者にとって不便な位置に付けられている場合もあります。

最新式の音響信号

これらの問題解消のひとつに、利用者が持ち歩けるタイプの端末があります。信号機の近くでボタンを押すと、端末が信号の状態を声で知らせます。信号機に設置された装置に端末が反応する仕組みです。音が小さく、押しボタンを探す必要もありません。

2005年11月22日放送より (2007年6月情報更新)

質問:5. 最近増えている「多目的トイレ」とは、どういうトイレ?

回答:
ユニバーサルデザインの考えのもとに作られたトイレ

「多目的トイレ」とは障害のある人や高齢者、子ども連れなど、誰でも使いやすいように作られたトイレです。車いすでも利用できる広いスペースがとられており、手すり付きの便器やおむつを替えるためのベビーベッドなどが備え付けられています。
人工ぼうこうや人工こう門を使っている「オストメイト」の人たちに対応した設備もあります。
ユニバーサルデザイン(誰もが使いやすいデザイン)という発想が広がり、今まで「車いす用トイレ」だったものを多目的トイレとして設置する施設が増えています。

多目的トイレの問題点

「多目的」だからこそ起こる問題もあります。誰もが使用できるため、例えば車いすの利用者がトイレを使いたい時に待たされる場合もあります。用を足す前に便器に乗り移ったり、いろいろな準備が必要な車いす利用者にとって、切実な問題です。

本当に誰もが使いやすいトイレとは

東京都多摩市の駅に隣接されたショッピングセンターには多目的トイレのほかに、車いすでも十分利用できる広めの一般トイレがあります。トイレの通路を工夫することにより、トイレの面積を変えずに広い個室を作り出しました。
多くの施設では多目的トイレを設置しても、一般トイレはそのままという状況です。障害の程度によっては、一般トイレより多少広めのスペースがあれば十分な人もいます。利用者の状況や程度に応じて選択できるトイレが、本当に誰もが使いやすいトイレといえると思います。

(一級建築士 川内美彦さん)

2006年6月19日放送より