松本さん

プロフィール

神奈川県立精神医療センター、横浜市立大学附属病院精神科などを経て、現在、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所、薬物依存研究部 診断治療開発研究室長(自殺予防総合対策センター副センター長併任)。

薬物依存の治療プログラムの開発、実施のかたわらで、中学校や高校で生徒にアルコール・薬物や自傷行為についての健康教育を行ったり、自傷行為の調査を行い、それらの分野で社会に向けての啓発活動も行っている。

著書に「薬物依存の理解と援助―『故意に自分の健康を害する』症候群」 (金剛出版 2005)、「自傷行為の理解と援助〜『故意に自分の健康を害する』若者たち」(日本評論社 2009)、ほか多数。

松本俊彦さんのコラム

「もっと多くの場所で多様な支援を」 松本俊彦

薬物の依存症をどこで治療したらいいのか、刑務所なのか病院なのか、いろんな議論がありますが、私は病院でも刑務所でもやったほうがいいだろうと考えています。でも最後に引き受けるのは地域なのです。当事者たちが一住民として「生きていてよかった」と思えるような生活、できれば薬を使わなくて済むような生活を支援していくのが本当の意味での治療だと思っています。
 
今回VTRで紹介された刑務所での「薬物依存離脱指導プログラム」も刑務所だけで終わるのではなく、刑務所のがんばりを地域で受け止めて、その先もずっとずっと支援が続いていくような体制をぜひ作ってほしいと願います。
 
しかし、実は多くの精神科病院は薬物に関連する病気を診るのをいやがっています。国内にある依存症の専門病院はごくわずかです。ほとんどがダルクという当事者たちのグループに丸投げになってしまっているのが現状です。行政もそれに頼ってしまっているところがある一方で、ダルクへの寄付などお金の面はきびしい。こういう状況を変えていかなくてはいけません。ダルクをもっと支援していく必要があるし、他にももっと公的な援助機関ができて、薬物依存を抱える人たちの多様なニーズに応えていけるようになっていかなければならないと考えています。
 
薬物依存を抱えた人たちは大変なときはとてもとても大変ですが、良くなる時は劇的に良くなります。支援をしていて本当に感動させられるし、非常に人間くさい病気だなと思うことがあります。だから、援助者の方々は恐れずにこの問題と向き合っていってほしいと思います。