上岡陽江さん

プロフィール

ダルク女性ハウス代表。精神保健福祉士。自身の薬物・アルコール依存症や摂食障害の体験から、女性の薬物依存症回復施設を立ち上げた。最新の当事者研究をもとに、依存症の女性の回復、依存症の親をもつ子どものプログラムづくりにも力をそそいでいる。著書に「虐待という迷宮」(共著:信田さよ子 シャナ・キャンベル)、「その後の不自由」(共著:大嶋栄子 2010年8月刊行予定)。

上岡陽江さんのコラム

「家族の声に耳を傾けて」 上岡陽江

ご家族の苦しみがすごく伝わってくる内容の番組収録でした。依存症という病気はそもそも孤独や孤立といったところから起きてくる病気なので、元から家族の孤立があるか本人の孤独があるかの状況だと思うのですが、依存症にかかることでそれらがさらに深まってしまうというのを改めて認識しました。
 
番組の中で、当事者のご家族と相談窓口とを繋ぐルートが確立されていない点についてコメントしたのですが、特に不法薬物に関して、家族は相談すると通報されるんじゃないかと思ってらっしゃるんですね。実際に何年か前までは「通報します」と言っていた相談機関もあったようです。それを聞いて私も本当にびっくりしましたが、今は相談に関してはどこも「聞く」ということになっている。けれどそれがご家族にきちんと伝わっていないという問題があります。
 
そもそもどこへ相談したらいいのかよくわからないとおっしゃるご家族もいます。また、相談しても「うちでは受けていない」と断られるケースもあって、ご家族は混乱の中ギリギリの状態で電話をかけているわけですから、その電話一本で全ての希望を失ってしまったりすることもあるわけです。
薬物依存は再犯が50%と率が高く、家族も本人も依存症の教育をしないかぎり抜け出すのがなかなかむずかしい。ご家族が相談できる場所というのは本当に重要だと思います。
 
薬物依存症は病気です。ですから本人もきちんと治療した方がいいし、ご家族もきちんとサポートを受けた方がいい。早い段階で情報が入れば入るほど、本人たちにとっては回復が近くなります。ですから、気付いた人は相談窓口へ連絡してください。そうしたら、窓口の人がどうしたらいいかを教えてくれますから。
 
相談を受ける側も、特に違法な薬物に関しては相談を受けていいのか悩まれる方も多いと思います。でも、本人は法律を破っているかもしれないけれど、ご家族はそうではないのですから。特に薬物依存症のご家族は恥の感覚が強くて他所に相談できない傾向があります。薬物依存症のご家族から相談には本当に丁寧に対応していただきたいと思います。