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自治体アンケート

「災害と障害者」に関する自治体アンケート

NHKでは、2015年12月~2016年1月にかけて、「災害と障害者」に関するアンケート調査を、「南海トラフ地震防災対策推進地域」と「首都直下地震緊急対策区域」に指定されている市区町村に行いました。その結果を以下にまとめます。
アンケート対象 自治体数  923  回答 661(71.6%)

回答した自治体
回答した自治体
要支援者対策に取り組む際の課題について
個人情報の開示が壁となっている
当事者の理解が進まない
支援対象者の絞り込みが難しい
人材と予算がない
支援者の確保が難しい
形式的なものになっている

そのほかの回答としては、
危機意識の欠如、具体的な課題の整理ができていない、地域の防災意識の温度差、
庁内連携が難しい、情報更新の煩雑さ、などがあげられていました。

避難行動要支援者(災害時要援護者)名簿の作成状況
避難行動要支援者(災害時要援護者)名簿の作成状況
要支援者名簿の更新について
要支援者名簿の更新
名簿は必要な人をカバーできている?
名簿は必要な人をカバーできている?

カバーできていない理由として多かったのは、
「要支援者でも登録を希望しない人がいる」「声を上げられない人、支援を拒否する人の存在がある」という意見でした。
また、「名簿登載は重度障害等だけで、外国人、妊婦などは対象外、搭載する人の範囲をひろげても支援ができない」「難病の方はこれから」「日中同居の高齢者、要介護認定を受けていない認知症の方など、把握できていない」と対象者の範囲についての記述もありました。
「年2回の更新なので、カバーしきれない」「制度の周知が十分でない」というコメントもありました。

一方で、カバーできているというなかに、
「一島一村で住民すべてを把握しているから」という自治体もありました。

平時から名簿を共有しているか?
民生委員
自治会
自治防災組織
相談支援事業所
地域包括支援センター
社会福祉協議会
個別計画の作成状況
個別計画の作成状況
避難所での要支援者への対応
対応職員の配置を決めている
配慮スペースを決めている
視覚・聴覚障害への情報保障を決めている
差別解消法に向けて見直す
福祉避難所について
福祉避難所を指定しているか
場所を住人に伝えているか

周知のしかたについては、
広報、ホームページ、という回答が多く、地域防災計画に示している、全戸配布の防災マップにのせている、との記述もありました。

一方で、「伝えていない」と答えた自治体は、その理由として、二次避難所であり受け入れ人数に限りがあることをあげたうえで、「協定施設の意向により公表していない」
「市の判断がないと混乱になるため」 「専門の支援チームが(振り分けを)行う」
「被災の状況によって福祉避難所が開設できない、予定以上受け入れができないなどに混乱が生じるため」
また、「町外施設を指定しており、近隣市との共同利用のため、人数に限りがある」
「具体的マニュアルができていない」 「避難時当事者の申請があってから、福祉課経由で対応のため」とこたえた自治体もありました。

要支援者へのニーズと合っているか

福祉避難所がニーズに見合っていないという理由として、
「現在高齢者のみが対象となっており、障害者が対象になっていない」
「ベッドの用意がないので種別によっては支障がある、受け入れ数も見合っていない」
など、そもそも数が足りない、障害種別にみあっていない、という回答が数多くありました。
また、
「特別支援学校に通う生徒と家族は、災害時通学先の学校に避難するとなっている。環境の変化を少なくできるが、受け入れ可能数と支援者確保が必要」と回答したところもあります。

一方で、
「要支援者の数に合わせ指定を行っている、施設ごとに対象者も分けている」
「自立支援協議会を通じ、課題抽出検討を進め、二-ズに見合った体制を構築中」という自治体もありました。

地域防災計画を立てる委員に障害当事者がいるか?
地域防災計画を立てる委員に障害当事者がいるか?
自立支援協議会で防災について議論しているか?
自立支援協議会で防災について議論しているか?
防災と福祉の部署の連携はとれているか?
防災と福祉の部署の連携はとれているか?
要支援者の対応は十分か?
要支援者の対応は十分か?

最後に、自治体の担当者の方が、自由に書いてくださったなかから、いくつかあげておきます。
まず、課題としてあげられていたこととして・・・
「避難所に配置する職員の不足 福祉避難所に移すべき基準の判断も課題」
「支援者の重複支援、高齢化が問題。地域の温度差もある」
「10万人の人口で3万人が自治会未加入、民生委員が担うには負担が大きい」
「要支援者に対応する支援者にどこまで依頼すべきか、不安がある」
「災害時に職員が災害対応、誘導に追われて要支援者の十分対応できない可能性がある」
「各自治体での体制整備は順次出来上がっていくであろうが広域的な防災に対する連携が見えない」

取り組んだ実例として・・
「障害者団体と市内大学が協力して障害者向けの避難訓練を実施した」(愛知県・日進市)
「障害者・支援者向けのマニュアル作成」(東京都・八王子市)

「自立支援協議会で障害者のための防災対策に関する調査を実施。誰もが活用しやすい防災カードと障害者用防災カード記入例を完成。 関係団体や市民に配布」(宮崎市)
「障害者災害対応力強化として当事者の要配慮者と家族と地元などと協議検討をしているワークショップや避難所宿泊体験など理解促進を図った」(東京都・墨田区)


今後のこと、意見、要望など。
「サポーター養成研修など実施し支援者を増やしたい」
「障害者用の簡易トイレや物資等の要望があるが、財政状況で準備ができない、国の対応をお願いしたい」
「自助困難な人を地域で守る意識を持ってもらいたい、また、健常者も災害時に要支援者となりうる、日ごろの連携が必要」
「自助・共助・公助の意識が浸透していない、行政で台帳を作成してもこの意識が高まらなければ、減災につながらないことを、番組から伝えてほしい」
「災害対策基本法改正を受けて、庁内の検討続けている、課題は多いが鋭意取り組んでいく」


ご協力くださった自治体の皆様、お忙しいところ本当にありがとうございました。
なお、このアンケート調査は、各自治体の障害福祉担当部署に郵送で行い、必要に応じて防災担当部署等に確認をとってお答えいただくという形でお願いいたしました。


アンケートについて、同志社大学社会学部教授で、福祉防災学がご専門の立木茂雄さんが分析を加えてくださっています。

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