自殺について語ろう

雨宮 処凛(あまみや かりん)さん

1975年北海道生まれ。00年『生き地獄天国』(太田出版)で作家デビュー。著書に『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!  難民化する若者たち』(太田出版)など多数。現在は生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。
(2008年度掲載)

雨宮 処凛さんからのメッセージ

 昨年の自殺者もまた、3万人を突破した。この国では1日に約90人、16分に1人が自らの命を絶っているということになる。
自殺について語られるたびに、いろいろな人がいろいろなことを言う。自殺はいけないだとか、精神的な治療についてだとか。そのたびに、思う。そもそも、この国では「ただ生きること」そのものが認められていないじゃないか、と。
 この社会では、「条件つき」にしか生きることを許されない。人の役に立ったり、いい成績をとったり、職場の競争に勝ち残れたり、「生産性」が高かったりと、なんらかのハードルを常にクリアしていないと存在そのものが認められない。
 だけど、そんなのって、明らかにおかしいのだ。役立たずだろうが、「生産性」が低かろうが、KYだろうが、当り前だが生きていていい。私やあなたの「生存」は、誰かに条件つきで「許される」ようなものではない。だからこそ、「役立たず」でも堂々とのさばろう。そのことこそが、この優しくない社会への、ひとつの抵抗だと思うのだ。

 
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