生命操作 -復刻版-

臓器移植

現在、世界でおこなわれている臓器移植は、心臓・肝臓・腎臓・膵臓・肺・腸など。

  • 骨、皮膚、心臓の弁などの組織、骨髄などの細胞も臓器移植とする考え方もある。 最近では、手の移植や顔面移植、子宮移植など、生命にかかわる病気以外にも広がっている。

    臓器移植は、臓器の提供者(ドナー)がいないと始まらない。
    患者と医師のほかに第三者が必要であるという点でこれまでの他の医療と異なる。ドナーによって、死体移植、脳死移植、生体移植の三つにわけられる。

心臓移植は、脳死者から心臓の提供を受ける。1967年12月、南アフリカのクリスチャン・バーナード医師によるものが最初。はじめは、移植医自身が死の判定をおこなっていたが、その後、死の定義が問題となり、1968年、ハーバード大学が脳死判定基準をいちはやく作成、その後、各国が独自に脳死判定基準をつくる。日本では1985年に厚生省(当時)研究班が脳死判定基準(厚生省基準―竹内基準ともいう)を発表。現在は、1997年に成立した臓器移植法のもと行われている。

年をおって増え続ける移植希望の患者に対して、臓器が慢性的に足りない状態が世界的につづいている。2008年5月には、「臓器取引と移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言(国際移植学会)で、「渡航移植禁止」という内容を提示し、自国での臓器調達を促すよう声明文がだされた。日本では、本人の意思が不明な場合も家族の承諾があれば臓器提供が可能となるよう法律が改正され、15歳未満からの脳死後の臓器提供も始まった。

最近では、臓器移植にかわるものとして再生医療に注目が集まっている。

人の細胞を材料に臓器や組織を作れれば、臓器不足の問題の解消を期待することができる。再生医療の分野で、近年注目されているのが胚性幹細胞(ES細胞)研究と人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究だ。

ES細胞を得るためには受精卵が不可欠である。受精卵は5日目くらいになると、胚盤胞という段階に入る。その胚盤胞の中の内部細胞塊という細胞は、あらゆる身体組織をつくる能力を持っており、この内部細胞塊から取り出して培養される細胞がES細胞だ。ES細胞は、人体のどんな細胞でもつくる能力を持ち、それに加え、半永久的に分裂し続けられる。1998年にアメリカウィスコンチン大学の研究チームが、初めてヒトでES細胞をつくることに成功した。しかし、受精卵を壊してつくることに倫理的な課題も指摘される。

一方、2007年11月、日本の山中伸弥教授がヒトの皮膚からiPS細胞という万能細胞ができたと発表した。すなわち、大人のヒトの細胞をもとに万能細胞をつくったのである。この技術が確立されれば、移植が必要になった場合、自分の身体組織から必要な臓器や組織をつくれるようになる。臓器移植に伴って起こる免疫による拒絶反応も起らない。 2014年9月には神戸市にある理化学研究所で、目の網膜の組織を再生して加齢黄斑変性の70代の女性に移植する手術が行われている。

該当するケーススタディ