生命操作 -復刻版-

出生前診断

出産前に、生まれてくる子どもの状態を検査し、医学的診断をおこなうことを総称して「出生前診断」という。検査時期と方法によって以下のようなものがある。

  • 着床前診断体外受精によってできた受精卵が卵割した時点で、割球の一部を摘出して染色体や遺伝子に異常がないかを診断する。異常が発見された受精卵は子宮に戻さない。これまで体外受精の目的は不妊治療であったが、着床前診断の登場により、不妊症ではないカップルが、遺伝子診断のために体外受精をおこなう場合が世界各国で出てきた。
  • 羊水検査妊婦の腹壁に針を刺して羊水を抜き取り、羊水中に浮遊している胎児細胞を培養して染色体や遺伝子を検査する。妊娠15週から17週におこなうことが多いが、診断が確定するのに2~4週間かかる。感染や流産の危険性がある。
  • じゅう毛検査母体と胎児を結ぶ血管の通り道となるじゅう毛という胎児側の組織の一部を、膣やお腹から針や細い管を入れて吸引採取して染色体や遺伝子を検査する。妊娠10週以降におこなう。感染、流産の危険性がある。
  • 母体血清 マーカー試験トリプルマーカー検査、クワトロマーカー検査がある。妊娠4~5カ月の妊婦から採血し、血液中のホルモンや タンパク質の量をはかる。この検査でわかることは、ある障害を持つ子どもが生まれる確率であり、確定診断はできない。マーカー試験の結果、より確かな診断を受けたい場合は、羊水検査を行う。
  • 超音波検査妊婦の腹壁に超音波をあてて胎児の形態を画像として映し出す。診断装置の操作が簡単なことなどから、多くの産科医療機関に普及した。最近では画像の精度が高くなってきたため、胎児の成長や男女の性別判断に留まらず、胎児の形態異常(口蓋裂や四肢・指の欠損など)、心臓や腎臓など内臓の異常までわかることがある。
新型出生前検査妊娠10週をすぎた妊婦から血液を採血し、妊婦の血液中にわずかに循環する胎児のDNAの断片を分析して染色体異常を検出する。正確にはセル・フリー・DNA検査(circulating cell free DNA- ccf DNA)、もしくはNIPT(non-invasive prenatal test)といわれ、妊婦や胎児へのリスクもなく、母体血清マーカー検査よりも、妊娠の初期に調べることができ、かつ異常の検出の精度もかなり高い。最終的には確定診断(羊水検査)が必要になる。

羊水検査やじゅう毛検査は、検査自体に負担がかかるため、すでに染色体異常がある子どもの出産経験がある場合や高齢妊娠など限られた女性に対しておこなわれてきた。しかし、母体血清マーカー検査や新型出生前検査は、検査方法が簡便なため、検査を受ける人が増加しており、結果次第では中絶を選ぶ場合も多く、議論となっている。

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