本文へ

虹色 - LGBT特設サイト

連載

恋人の先は……。

2009年08月07日

長きにわたって続いてきたこの連載もいよいよ最終回! 今回は「恋人の先にあるもの」というテーマで将来について語ります。なお「修学旅行をリベンジする!!」と銘打って開催されたこの夏の合宿イベントですが、GIDmediaではこうした交流会が定期的に行われているのでご興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか?

ゆえ(MtF) 恋人の両親と合うのってやっぱり怖いよ。うちらの場合、特に実家が地方だから。
ゆえ彼 地方って結婚に対する考え方とかすごく古いから……。
ゆえ 親だけならまだいい。
ゆえ彼 地方の場合、親戚一同だからね。
ゆえ そう、「初孫はいつだ」って言われてもさ、親戚一同に全部説明しなきゃいけないわけじゃん。
ゆえ彼 そうなると、別に悪いことしてなくても、ゆえちゃんが謝らなきゃいけない状況になっちゃうわけじゃん。
まい 結果的には……
じゅん そうならざるを得ないよね。
ゆえ やっぱなんだかんだ言って、男と女っていう世の中のベースがあるから。戸籍を変えて結婚という形をとれるならその意味では一般的なベースに乗れるけど。そうでない人はどうすればいいのかという…。
けい 子どもが産めるか産めないかという以前に、結婚という、いわゆる一般的な意味での「恋人の先」がないからね。
つばさ でも、私がもし戸籍上女の人とつきあっていたとしたら、まず親にきちんと挨拶してくれる意志があるかどうかなの。一生一緒にいたいと思ってくれてるんだったら、やっぱり親に挨拶に来て欲しいし、自分の性別を偽らずにちゃんと言って欲しいし。それがあって初めて、今後戸籍どうするか、あるいは養子に入るとか、そういう話になるわけじゃない。
ゆえ 親類に対して説明することを考えるとそうは言ってもなかなか・・
つばさ いやでも、好きな人と一緒にいたいと思ったら、「こうこうなので、わかってください」って親類一同に頭下げると思う。
ゆえ 結婚にしろ、仮に養子縁組という形を選ぶにせよ、結局は相手のためにどこまでできるかだよね。
つばさ なにがしか将来的にはこういうことを考えてて、っていう提案をする必要は絶対にあると思うの。それは男女間でもそうでしょう。だから私は別にFtMとかMtFとか関係ないと思うんだけど。どこまで責任を負えるかじゃない、最終的には。


(語り手)
じゅん:27歳、社会人、FTM
なかじ:21歳、社会人、FTM
ゆう:23歳、フリーター、FTM
ゆえ:28歳、社会人、MTF
まさ:21歳、学生、MTF
みや:28歳、社会人、FTX
けい:26歳、社会人、女性
つばさ:24歳、社会人、女性
まい: 22歳、社会人、女性
そーちょー:21歳、学生、男性


【解説】

GID特例法の制定以降、諸条件を満たせば戸籍の性別変更が可能となったので性別変更を終えた当事者であれば、元々は結婚できなかったパートナー(戸籍上同性だった相手)と結婚できることになりました。しかし、戸籍の性別変更をするというのは、当然ですが簡単にできるものではありません。身体的・精神的・金銭的に大きな負担になってくる部分があることは否めません。
そのような現状も含め、GID当事者でも性別変更までは望んでいない人たちもたくさんいます。その場合、生涯を共にしようと心に決めたパートナーがいたとしても結婚することは不可能です。つまりは家族になれないということですから、本来であれば婚姻によって得られるはずの権利を得ることはできません(養子縁組という制度を利用することは可能ですが親子または兄弟関係になります)。
例えば、
・パートナーが突然入院することになったが、病院からの知らせは家族にしか行かない
・病院へ連絡を入れるも「家族の方にしか状況説明はできない」と言われる
どんなに長年連れ添っているパートナーだとしても、家族でない限り、このようなことが起こりえます。他にも、保険や遺産相続など、家族あるいは夫婦にのみ認められる権利は様々にあると思いますが、それらを得ることができないケースも多くあります。

かと言って、元々は性別変更手術までは望んでいなかったのに結婚をしたいがために多くのリスクを抱えて手術を受けるというのは違うのではないかと思います。結婚のために自分の身体を犠牲にし、金銭的にも精神的にも大きな負担を抱え、周りの人たちにも心配をかけて……。逆に言えば、そこまでしないと家族(夫婦)になれないのですよね。

しかし、個人的には性別変更の要件を緩和するべきだとは思っていません。それよりも、戸籍上同性であっても結婚と同様あるいはそれに近い権利が得られるパートナー制度のようなものがあった方が、救われる人がたくさん出てくるのではないかと思います。諸外国ではそのような制度を設けている国もいくつかありますよね。
GID当事者や同性愛者、その他にも何かしらの理由で婚姻はできないという人たちもいると思います。それらすべての人々が、生涯を共にするパートナーと安心して暮らせる社会こそが、あるべき姿なのではないかと感じています。

今回で修学旅行リベンジVol.2の連載も終了となりますが、読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました。GIDmediaではこのように真面目な話から笑える話まで、GID当事者・非当事者ごちゃ混ぜになって本音トークを繰り広げています。それを通して、僕らは精神的にとても強くなれましたし、社会に対して嘆くなんてことはなくなりました(笑) 視点が変わることによって、こんなにも生きやすくなるものなんだと日々実感しています。いつも支えてくれている皆さん、応援してくれている皆さん、本当にありがとう。

GIDmediaでは交流会やイベントなどを定期的に開催していますので、当事者・非当事者問わず、ご興味のある方はぜひ参加してみてください。お待ちしています!
(GIDmedia 園田 純)

連載一覧へもどる