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日本初、LGBTに貢献した人を称える授賞式「Tokyo SuperStar Awards」

2010年12月21日

2010年12月4日、日本で初となる、LGBTと社会をつなげることに貢献した企業やメディア、団体、個人を称える授賞式が行われ、「ハートをつなごう」がメディア賞に選ばれました。 

12月4日の授賞式典の模様。タレントのMEGUMIさん、ブルボンヌさんが司会を務め、およそ350名の来場者が集まる中、表彰式が行われました。(本記事の写真すべて=山口美紀)

文=今村裕治(「ハートをつなごう」番組ディレクター)

アメリカでは、GLAADというLGBTの人権擁護を目的に活動する団体の主催で、LGBTを公正に、また素晴らしく表現したメディアに賞を贈る大々的な表彰式が毎年開かれています。100社以上の企業のサポートを受け、ニューヨーク、ロサンジェルス、サンフランシスコの3都市で行われるこのイベントは、有名俳優やミュージシャンなどがプレゼンターとして登場する、大規模かつ華やかなものとして知られています。これまで日本ではそのようなイベントはありませんでしたが、今回、12月4日に東京都庁展望室を使って行われた「第一回Tokyo SuperStar Awards」は、東京でもダイバーシティー(多様性)を祝うイベントが定着し、毎年この街の風物詩のひとつとなっていくのではないか——そんな可能性を感じさせてくれました。

Tokyo SuperStar Awardsとは、レズビアン&ゲイ・カルチャーとLGBTコミュニティーをテーマに、社会との架け橋になる文化事業やプロジェクトで活躍した個人・団体を顕彰することを目的として、民間の団体によって新しく設立された賞ですが、そこでこのたび「ハートをつなごう」はメディア賞を受賞しました。メディア賞は、LGBTコミュニティーとそのカルチャーを正確かつ公平に報道、描写したテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどのメディア・作品に贈られる賞です。

インターネットによる一般投票を経て、ノミネートが発表され、LGBT当事者を中心にした選考委員による選考の末、受賞者が決定されました。 授賞式は、タレントのMEGUMIさん、女装パフォーマーのブルボンヌさん司会のもと、東京都庁第一本庁舎45階の南展望室で華やかに行われました。

その他にもさまざまな賞があり、カルチャー賞には、19年にわたりセクシュアルマイノリティーをテーマにした映画を紹介する活動を続けている「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」、コミュニティー賞には、NPO法人東京プライド代表で、「ハートをつなごう」の出演者としてもおなじみの砂川秀樹さん、企業賞には、LGBT社員の社内ネットワークを設立したり同性パートナーにも配慮した福利厚生制度を充実させるなど、ダイバーシティー(多様性)への積極的な取り組みを行うgoogle、ブレイクスルー賞には、今年テレビや雑誌などのメディアで活躍したマツコ・デラックスさん、海外賞にはLGBTにフレンドリーな発言で、世界中に大きな影響を与えているアーティストのレディー・ガガさんがそれぞれ選ばれました。

今回、直接会場に来ることができなかったマツコ・デラックスさんからはビデオメッセージが寄せられ、LGBTコミュニティーが主体となった賞が設立されたこと、その賞を自分が受け取ることの感慨が、ユーモアを交えて語られました。また、googleからは人事部長の吉田善幸さんが、そして、レディー・ガガさんの代理として、日本でのプロダクト・マネージャーを務めるレコード会社の井口昌弥さんが登壇、それぞれ賞を受け取り、喜びを表しました。

(左上から時計回りに)メディア賞受賞のコメントを述べるNHK番組プロデューサー・宮田興/海外賞・レディー・ガガの代理としてトロフィーを受け取るユニバーサルインターナショナル プロダクト・マネージャー・井口 昌弥さん/マツコ・デラックスさんはビデオメッセージで登場。/プレゼンターを務め、ライブも披露した歌手の相川七瀬さん。

今回の賞は、スポンサーにもLGBTに対してフレンドリーな企業が複数ついており、賞の趣旨の通り、LGBTのコミュニティーの中だけでなく、社会とLGBTをつなぐ役割を果たした人や企業が選ばれ、そして、当事者もそうでない人も多くの人が参加して行われました。 近年、ダイバーシティー(多様性)をうたって社内でLGBTの人たちが働きやすい環境を整えたり、LGBTの人たち向けの説明会を行う企業は増えており、パレードや今回の賞などLGBTの人たちが中心になって行われるイベントにスポンサーや協賛企業として積極的に参加する企業も出てきています。 また、マツコ・デラックスさんはじめ、セクシュアリティーの垣根を越えて、テレビなどのメディアをにぎわし、活躍する人たちが増えてきました。

企業賞を受賞したgoogleの人事部長や、レディー・ガガさんの所属するレコード会社の担当者が、LGBTコミュニティーが主体となった賞に参加し、受賞の喜びを語ったこと、また、マツコ・デラックスさんように、LGBTコミュニティー内に留まらない活躍をする人が受賞したことは、LGBTとそうでない人たちとの距離が縮まってきた日本社会の変化を象徴する出来事です。

「ハートをつなごう」は、メディア賞のプレゼンターの相川七瀬さんより、「この番組は、日本のテレビ番組で初めて日本のLGBTの現状を深く理解した上で多様性を尊重し制作されている。他のテレビ局に先んじてセクシュアルマイノリティーを取り上げ、特にLGBTの若者に『一人ではないんだ!』と、希望と勇気を与えてくれた」と授賞理由が発表され、番組プロデューサーの宮田興が登壇、トロフィーを受け取りました。「ハートをつなごう」が性同一性障害のテーマで番組の制作を始めたのが4年前、その後、ゲイ/レズビアン、LGBTと放送を重ね、セクシュアルマイノリティーの皆さんと一緒に多様な性について語り合ってきました。また、ウェブサイト「虹色」では、皆さんからのたくさんのメッセージを掲載、さらに今年は、「ハートをつなごう LGBT BOOK」を出版することができました。

特に、ゲイ/レズビアンのテーマを立ち上げた際、多くの当事者の皆さんから、マスメディアがこのテーマを正面から取り上げることに対する驚きと、そして、これまでそういった放送がなかったことに対する不満の声が寄せられたことから考えれば、本を出版できるまで番組を継続することができたことに、本当に大きな時代の変化を感じると同時に、その一因として、「ハートをつなごう」が当事者の皆さんに支持していただけたことに制作陣一同喜びを感じています。

一方で、今でも一人で悩んでいる当事者からはメールが多く寄せられており、また、無理解と偏見からLGBTに対して差別的な発言を繰り返す人がいる残念な現状もあります。 「ハートをつなごう」、そして、このウェブサイト「虹色」では、これからも皆さんの思いを大切にしながら一緒に多様な性について語っていくことで、多くの人がセクシュアリティーについての理解を深めるきっかけを作ることができればと思っています。

セクシュアリティーについての悩み、生きづらさ、そして、喜びや楽しさも……、引き続き皆さんからのメッセージをお待ちしております!

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