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虹色 - LGBT特設サイト

連載

全国行脚

2009年08月18日

宮崎にて。グリーンバード宮崎チームリーダーのタケ(右)と、熊本からわざわざ会いに来てくれたマコト(左)。軽トラに乗ってタケの畑にみんなで草刈りに行きました。

どもども!フミノ@何から書いたらいいのかわからない……

というのは毎度のことなんですが、毎度以上に何からどう書き始めていいのかわからないほど頭の中が盛りだくさんです。

みなさまいかがお過ごしでしょうか?

念願だった日本全国行脚を始めて2週間。たった2週間が何ヶ月にも感じるほど濃い濃い毎日を過ごしています。


今回の旅。

ただ単に、踏み入れたことのない土地を訪れたいというのはもちろんなのですが、一つには今まで僕にメッセージをくださった方々にお会いするというのも大きな目的のひとつなのです。


というのも、3年前に本を出版して以来今まで、本当に数えきれないほどのメッセージをいただきました。その数、1000はくだらないでしょう。そしてそのほとんどがGIDの当事者、もしくはその家族やパートナーからのものでした。

「勇気をもらいました!」「ありがとう!」「応援しています!」

嬉しいことにたくさんいただきました。その一方でやはり

「助けてください。」「もう死にたい。」「家族に否定されて…」

など、その人が10年、20年、ときには50年以上誰にも言えなかった超ヘビー級な悩みも次から次へと僕のメールboxに投げ込まれてきたのも事実です。


当初はできるかぎりひとつひとつに返信していこうと試みたんですが、その量と内容にいつしか返信をためらうようになりました。

一度返信すれば、また返事が返ってくる。いろんな相談を受ける。でも僕にも限度があって……、しかも内容が内容なだけに、中途半端に返信するのは逆に無責任で失礼になるのではと思うようになったのです。以来、いただいたメールには一切返事をしてきませんでした。


それでも止まないメール、みなさんからの本気のヘルプに何もできない僕自身に大きなフラストレーションを感じていたんです。


何かできないものだろうか?


考えた結果、出てきた答えがこうやって全国をまわって今までメッセージをくださった方にお会いするというものでした。10回20回とメールのやり取りをするよりも、一度お会いしたほうが「何か」が生まれる。人との出会いにはものすごいパワーがあると、僕は思うのです。


もちろん会ったからって何ができるわけでもないし、全員にお会いするのは不可能だけど、それがたった一人だとしても、better than nothing。行動あるのみ。


今回の旅は鹿児島からのスタート。そしてちょうど鹿児島入りの前日、一通のメールをいただきました。


「会いたいです」


と書かれたタイトル。内容を見てみると、中学生の娘さんがどうやらGIDらしい、そして親子ともども悩み、どうしてよいのかわからなかった時、ハートでもおなじみのGIDmediaのページで僕を見つけてくれたらしのです。鹿児島に住んでいるので一度会えないかとのことでした。

「まだ中学生だし、おかあさんの悩み過ぎなんてこともあるんじゃないだろうか…」一瞬頭をよぎったものの、それでもすぐに返信し、鹿児島入りした翌日にお会いすることにしました。


待ち合わせ場所まで迎えにきてくれたのは、「かわいい少年」という形容詞がぴったりなMくん。13歳。

いい笑顔してるなぁ。

最初の印象。相当悩んでいると聞いていたので、もっと重たい雰囲気かと構えていた先入観が一気に吹き消されました。


「彼女とかいるんですか? 僕も今好きな子がいて……」

彼の家まで5分もない道のりの中、あどけない笑顔でいきなりそんな質問をしてくる中学生。

今まで僕に会いにきてくださった方は沢山いたけれど、自分から出向いて行くのは初めてだし、僕自身も会ってどうすればいいかわからないし、どんなこと相談されるんだろうかなんていろいろ考えすぎていたんだけれど、そんなことはすぐにこの笑顔に吹き消され、すっかり微笑ましい気分になりました。


そして登場したお母様がまた素敵で熱い方、


「この子がもし明日から学ランで学校に行きたいって言えば、すぐにでも校長先生のところに行く覚悟はできているんです。」

と。


僕、ビックリですよ。


てっきりもっと悲惨なお話されるのかと思っていたのに。話している途中で偶然早く仕事が終わってご帰宅されたお父様も会話に参加。


「僕が学生のときからよく行ってる串揚げ屋の大将もエリちゃんって言って、もともと女性なんだけど、そんなこと関係なく立派な人だよ。だから何も問題はないんだよ。お前が学ランで学校行ってもかまわないし。ただ、全部自分に返ってくるからな。学ランで行けば、どうこう言う人もいるだろう。そうやって何か言われたときに本人がちゃんと耐えられるかどうか。だから人として、強くしっかりしなきゃいけないんだよ。」


たんたんと話されるお父様。

話も終わると、せっかくだからえりちゃんの串揚げ屋さんにご飯でも行こうかということになり、Mくんのお姉さんも交えてみんなで楽しい晩ご飯。

えーっと……


僕から見ると、何も問題はないように見えるんですが(笑)


って笑っちゃいけないのかもしれませんが、なんて言うんでしょう、、、すごい変化ですよね。僕が中学生のときには想像もできなかったような光景ですよね。


もちろんそれでもまだまだいろんなことがあるし、一言では片付けられないけど「社会の変化」というものを改めて実感させられた瞬間でした。


他にもあげればきりがないのですが、

宮崎では19歳の医大生や、熊本在住で僕と同い年のフリーター。
大分では30代半ばの会社員、福岡では20歳の元陸上自衛官などなどなど。

全員FTMで、年齢や状況はそれぞれ違いましたが、今までメールはたくさんいただいていたものの、こうやって実際会ってお話を聞くのは僕にとってもとても新鮮なことでした。

そこでのやりとりはここには書ききれませんが、思いが確信に変わったこと、ひとつ。それは確実に社会が変化しているということ。

その手応えをとても嬉しく感じました。


また他にも嬉しかったこと。


鹿児島を離れた数日後、先ほどの中学生から
「一番仲のいい子にカミングアウトすることができました! 恋愛も生活も頑張りまーす!」と元気なメール。家では平気でもなかなか友達には言えないというのが彼のひとつの悩みでした。いやぁ、よかったなぁ。


また、カミングアウトしたことでお母様自身が「死んだほうがましだ」と、それを聞いて自身も死にたい死にたいと思うことがあると言っていたSくん。半日ほど共に過ごした後、帰り際に「性同一性障害でもこんなに楽しそうに生きている人がいるのを見たら、僕もなんだか頑張れそうな気がします!」 と、笑顔になって帰っていった彼。

そうです。そうなんです。辛いことはいっぱいあるけれど、それでも生きることはやっぱり楽しいのです。その楽しさを伝えたい。


旅を続けることで、FTMに限らず一人でも多くの友に伝えていけたらと思います!


ってちょっと熱くなりましたが。。。

ふぅ。

ホントにここじゃ書ききれません。ちなみにこれを書いている今は東京です。

2週間で九州を駆け巡り、そのまま一気に行きたいところだったんですが、いろいろあって一度東京に戻ってきたのです。たまった用事を片っ端からやっつけております。

用事のひとつというわけでもありませんが、一昨日4本目の注射を打ってきました。初注射から一ヶ月半がたちましたが変化はどうなんでしょう?


声が少しかすれてきたのはホルモンのせいなのか、ただの叫び過ぎか。。。
体がだるく感じるのはホルモンのせいなのか、ただの疲れか。。。

自分ではよくわかりません。


ただ、うっすらとヒゲが濃くなったようなないような。
そして性欲も強くなったようなないような、、、ってのは今に始まったことじゃないか(笑)


なんてボケ突っ込みをひとり頭の中で繰り返しながら自転車で区役所へ。

9月からの就職でいくつか提出しなければいけない書類のひとつに住民票があってそれを取りにいったのです。

必要事項を記入して、窓口で300円払って受け取り。


杉山文野 1981年8月10日 本籍 東京都新宿区◯◯◯

性別 女


それを見てしどろもどろになっている区役所のおっちゃん。

旅はまだまだ続きます。

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