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これって“依存症”? ―“やめたいのにやめられない” あなたへ―

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―“やめたいのにやめられない” あなたへ―

「回復」とはどうなること?

100人の当事者がいれば100通りの「回復」があります。

前節で述べたように、アディクションからの回復とは、単に表面上の行為をやめることではありません。それでは、いったいどうなることが「回復」なのでしょうか?
さまざまな考え方がありますが、当事者の間でよく聞かれる言葉は次のようなものです。

  • 自分の抱えている「生きづらさ」の正体に気づくこと
  • 自分の奥底にある「本当の感情」に気づくこと
  • できない自分、完璧じゃない自分でもいいと思えるようになること
  • 自分を許してあげられるようになること
  • 何もかも自分が責任を負わなくていいことに気づくこと
  • 人に「助けてほしい」と言えるようになること
  • 他人に何かを委ねられるようになること
  • 本当の気持ちを言える仲間を得ること

どうでしょうか?これらはほんの一例であって、100人の当事者がいれば100通りの「回復」の表現があります。ただ、いずれにしても肝心なことは、アディクションからの回復とは、このように「生き方」そのものに関わってくるものだということです。つまり、さまざまな助けを借りながら、「不健康なとらわれを必要としない生き方」を作っていくことであると言えるでしょう。
これは、思考や行動のパターンを変えたり、ライフスタイルや価値観を見直したり、ストレスに対する新しい対処スキルを身につけたりといったことを意味します。いわば、それまでの生き方を変えるわけですから、「アディクションになる前の状態に戻る」ということではありません。以前の生き方では無理があり、心の痛みや苦痛に耐えられなかったからこそ、アディクションを使って「生き延びる」ことをせざるを得なかったのです。ですから、アディクションを手放そうとするのなら、元に戻ろうとするのではなく、「新しい生き方を手にすること」が必要なのです。

言葉で言うのは簡単ですが、実際にはたやすいことではありません。生き方を変えるのには長い時間がかかりますし、順調にいかないこともしょっちゅう起こります。「ここまで行けばOK」というはっきりしたゴールもなく、一生をかけて向き合っていくプロセスそのものが「回復」の道程であると言えるかもしれません。 しかし、「回復」とは誰かと比べて評価するものでもありません。もし、その人が以前より少しでも楽に生きられるようになったと感じ、そのことを喜べるのなら、それはその人にとっての「回復」です。あなたの「回復」は、あなたが決めていいのです。